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2.中世
2-1.荘園公領制と武士の発生
2-2.院政期の社会と文化
2-3.鎌倉幕府の成立
2-4.執権政治
2-5.元寇と鎌倉幕府の衰退
2-6.鎌倉文化
2-7.室町幕府の成立
2-8.室町幕府の衰退と庶民の台頭
2-9.戦国大名の興亡
2-10.室町文化
2.中世
・公領の再編成――荘園公領制の成立
荘園(初期荘園(自墾地系荘園、8〜9世紀)→寄進地系荘園(10世紀〜))
開発領主(荘官)→〔寄進〕→領家→〔寄進〕→本家(摂関・皇家)
名主…荘官の下で名田の年貢・公事を取りまとめる有力農民。田堵より成長
荘園領主への荘民の貢租…年貢(←租)、公事(←調)、夫役(←歳役・雑徭)
官省符荘・国免荘…さまざまな特権――不輸の権・不入の権
国衙領…公領が国衙の私有物化。在庁官人が領内の行政実務を分担
・武士団の成立
武士の台頭
武士――家子・郎党を従え、武士団を形成。滝口の武士(武者)<中央>、押領使・追捕使<地方>に任命される
武士(武門)の棟梁
桓武平氏…平高望、上総介となって任地に土着→子孫が関東各地に広がる
清和源氏…源経基、藤原純友の乱を平定
承平・天慶の乱――平将門の乱、及び藤原純友の乱
平将門の乱(935(承平5)〜940)…所領争いを発端に反乱→関東地方の大半を占領、新皇と称する
藤原純友の乱(939(天慶2)〜941)…伊予掾の任期終わるも帰京せず、海賊を組織して反乱→大宰府の焼き討ち
大武士団の形成
桓武平氏
平忠常の乱以後、勢力が関東から伊勢に移る
清和源氏
源頼信…平忠常の乱(1028〜1031)を平定し、関東進出
源頼義…前九年の役(1051〜1062)平定、関東に勢力確立
源義家…前九年の役に従軍、後三年の役(1083〜1087)平定。清原氏を滅ぼす
奥州藤原氏――平泉を拠点に奥州に約100年間栄華を築く
藤原清衡、藤原基衡、藤原秀衡
・院政と平氏
院政――上皇・法皇が院庁で国務を執行。側近に乳母の血縁者や受領出身者(院の近臣)
後三条天皇(第71代(1068〜1072))…藤原氏と外戚関係がなく親政。延久の荘園整理令発令(1069(延久元))→記録荘園券契所(記録所)設置
白河天皇(上皇)(第72代(1072〜1086、院政1086〜1129))…院政開始。北面の武士を置く。法勝寺造立(六勝寺のはじめ)
鳥羽天皇(法皇)(第74代(1107〜1123、院政1129〜1156))…知行国制導入。平忠盛を登用
後白河天皇(法皇)(第77代(1155〜1158、院政1158〜1179、1181〜1192))…源平の争乱の中、5代にわたって院政を行う
僧兵――興福寺(南都)、延暦寺(北嶺)の武装僧侶→朝廷に強訴
保元・平治の乱
保元の乱(1156)…崇徳上皇(第75代(1123〜1141))が藤原頼長らと結び、後白河天皇らを攻撃→上皇側敗北
平治の乱(1159)…源義朝、藤原信頼と結び、平清盛留守中に挙兵→後白河の院近臣藤原通憲(信西)を殺害するも、帰京後の清盛の前に義朝、信頼敗死
平氏政権――1167.平清盛、太政大臣となり政権樹立。公家政権の踏襲が多いが、武家政権の先駆
高倉天皇に娘徳子を嫁がせ、安徳天皇の外祖父となる
大輪田泊(現.神戸港)を修復し、日宋貿易に力をそそぐ
政権末期には鹿ケ谷の陰謀(鹿ヶ谷事件、1177)など、平氏打倒の動き
・院政期の文化
歴史物語
『栄華(花)物語』(11世紀頃)…藤原道長の業績を賛美
『大鏡』(11世紀前半)…道長を批判的に叙述
『今昔物語集』(平安末)…日本・中国・インドの仏教・民間説話集
軍記物
『陸奥話記』(11世紀前半)…前九年の役の実記
建築
中尊寺金色堂…藤原清衡建立(平泉、1124)
富貴寺大堂(ふきじおおどう)…阿弥陀堂(豊後高田)
白水阿弥陀堂…阿弥陀堂と浄土式庭園(いわき、1160)
厳島神社…古くから安芸国一の宮として信仰があり、平清盛も「平家納経」奉納
絵巻物
「源氏物語絵巻」(平安末)…『源氏物語』を描く
「伴大納言絵巻」(平安末)…応天門の変を描く
「信貴山縁起絵巻」(平安末)…毘沙門天信仰の霊験縁起談を描く
「鳥獣戯画」(平安末〜鎌倉初)…鳥羽僧正覚猷らの筆
「扇面古写経」(平安末)…装飾経
風俗
田楽の熱狂的流行
『梁塵秘抄』…後白河法皇が編纂した今様歌謡集
・平氏打倒の動き
以仁王・源頼政の挙兵(1180.5)→平氏の福原遷都→以仁王・源頼政敗死
源義仲の挙兵(1180.9)→平氏を破り入京(1183.7)→源範頼・源義経軍に敗れ、粟津で敗死
源頼朝の挙兵(1180.8)→源範頼・源義経を派遣し、壇ノ浦の戦い(1185.3)で平氏滅亡→議奏公卿、守護・地頭を配置(1185)し、鎌倉に政権樹立→奥州藤原氏(藤原泰衡)を滅ぼす(1189)
・鎌倉幕府の成立
職制
<中央>
侍所(1180、別当:和田義盛)、公文所(政所、1184、別当:大江広元)、問注所(1184、執事:三善康信)
<地方>
京都守護(1185、のち六波羅探題)、鎮西奉行(1185)、奥州総奉行(1189)
守護…治安維持、大犯三カ条の権限(謀叛人の逮捕・殺害人の逮捕・大番催促)
地頭…国地頭(1国単位に荘園公領を支配→守護に権限委譲)、荘郷地頭(平家没官領・謀叛人跡地に設置)
源頼朝、征夷大将軍に任命(1192)→鎌倉幕府の成立(鎌倉時代:1192〜1333)
・幕府と朝廷
御家人制度(封建制度)
将軍→御家人:御恩(本領安堵・新恩給与)
将軍←御家人:奉公(京都大番役・鎌倉番役)
二元支配
幕府…知行国(関東御分国)と荘園(関東御領)
朝廷…国衙領と荘園
・北条氏の台頭と承久の乱
北条氏の台頭
源頼家…2代将軍(1202〜1203)。北条氏と対立し、北条時政に謀殺される(1204.5)
北条時政(初代執権)…頼家死後、北条政子とともに幕府の実権を握る→他氏排斥(比企・畠山・和田氏)
北条義時(2代執権)…和田義盛を滅ぼし(1213)、執権の地位確立。以後世襲の執権政治
源実朝…3代将軍(1203〜1219)。公暁に暗殺され(1219.1)、源氏滅亡
承久の乱(1221)――二元支配の終了。幕府の優位が実現
後鳥羽上皇(第82代(1183〜1198、院政1198〜1221))、倒幕の挙兵→破れて隠岐へ配流
六波羅探題の設置
新補地頭の設置――新補率法(1223)…免田、加徴米など
※新補地頭以前の地頭は本補地頭
大田文の作成
・執権政治の展開と武士の生活
執権政治の展開
北条泰時(3代執権)…連署(1224)・評定衆(1225)の設置
京都より摂家将軍を迎える(1226)
御成敗式目(貞永式目)制定(1232)――頼朝以来の先例や武家社会の慣習を基準とした最初の武家法
北条時頼(5代執権)…宝治合戦で有力御家人の三浦氏を滅ぼす(1247)
引付衆の設置(1249)
摂家将軍を廃し、皇族将軍を擁立(1252)
武士の生活・武芸
自分の所領に堀・土塁をめぐらせた館を構えて居住
惣領制…惣領(一族(一門)の長)を中心とする支配体制。その下に庶子(嫡子以外の子)・下人(下層農民)
分割相続→所領の細分化
騎射三物――笠懸・犬追物・流鏑馬
荘園体制の変質――地頭の荘園侵略
地頭請…地頭に一定額の年貢の納入を請け負わせ、荘園の支配を任せる
下地中分…領主と地頭が荘園を折半して支配(ex.東郷荘(伯耆国))
・元寇
大陸の動き
チンギス=ハン、モンゴル民族統一→オゴタイ=ハン、金を滅ぼす(1234)→ユーラシア大陸の大部分を占領して大帝国を形成→フビライ=ハン、国号を元と定める(1271)
文永・弘安の役
文永の役(1274)…北条時宗(8代執権)、元への服属を拒否→元軍の博多侵入→モンゴル軍内部の対立(威嚇攻撃の完了? 暴風雨の被害??)で翌朝には撤退→幕府は再度の襲来に備え、石塁を設置し、異国警護番役を強化
弘安の役(1281)…南宋を滅ぼした元軍、再び侵入→モンゴル軍、上陸を果たせないまま、暴風雨により元軍退却→幕府は鎮西探題を設置(1293)
得宗専制政治…御家人と御内人(得宗家家臣)の対立→霜月騒動(1285)
永仁の徳政令(1297)…元寇で窮乏した御家人の救済策→経済界の混乱、幕府に反抗する悪党の出現
・都市と農村
荘園領主への貢租…年貢(←租)、公事(←調)、夫役(←歳役・雑徭)
産業の発展…二毛作の普及。刈敷・草木灰(肥料)の普及
定期市…月に3回の三斎市(ex.福岡市(備前国))
都市経済…日宋貿易(南宋との民間貿易)によって流入した宋銭の使用、遠隔地の取次ぎには為替(かわし)
借上(高利貸)、問丸(輸送業者)
座(同業組合)の結成
2−6.鎌倉文化
・仏教・信仰
鎌倉仏教(鎌倉新仏教)
浄土宗…法然(源空)――専修念仏を唱える、主著『選択本願念仏集』
浄土真宗(一向宗)…親鸞(しんらん)――悪人正機説をたてる、主著『教行信証』、『歎異抄』(弟子唯円が親鸞口伝の異説を正す)
時宗…一遍――踊念仏を行い、全国を遊行
日蓮宗…日蓮――題目唱和(南無妙法蓮華経)、主著『立正安国論』
禅宗――座禅によって悟りを開く
臨済宗…栄西――幕府の保護
曹洞宗…道元――主著『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』
南宋僧の蘭渓道隆・無学祖元来日
旧仏教
戒律の復興――貞慶(じょうけい)(解脱、法相宗)、高弁(明恵、華厳宗)、叡尊(律宗)、忍性(にんしょう)(良観、律宗)
伊勢神道――伊勢外宮神官、度会行忠の創始
・学問・文学
学問…宋学(朱子学)、有職故実、金沢文庫(北条実時(ほうじょうさねとき)開設)
和歌集
『新古今和歌集』(1205)…8番目の勅撰和歌集、藤原定家ら編纂
『山家集』…西行(さいぎょう)の歌集
『金槐和歌集』…源実朝の歌集
紀行文
『十六夜日記』(1279)…阿仏尼の著
随筆
『方丈記』(1212)…鴨長明
『徒然草』(1331頃)…吉田兼好
軍記物語
『保元物語』(鎌倉初期)…保元の乱を記す
『平治物語』(鎌倉初期)…平治の乱を記す
『平家物語』(鎌倉前期)…平家の興亡を記す。琵琶法師が平曲として語り継ぐ
歴史物語
『愚管抄』(ぐかんしょう)(1220)…天台座主慈円の著。歴史哲学的
『吾妻鏡』…1180〜1266の諸事件を記した幕府の記録
・美術
建築
大仏様(天竺様)――重源(ちょうげん)が東大寺再建に当たり採用。代表的遺構に東大寺南大門
禅宗様(唐様)――禅院に多く用いられる。代表的遺構に円覚寺舎利殿
彫刻
「東大寺金剛力士像」(1203)…運慶・快慶の合作
「空也上人像」…康勝作
絵巻物(鎌倉後期)
「一遍上人絵伝」…円伊筆
「春日権現験記」…高階隆兼筆
「石山寺縁起絵巻」…高階隆兼筆
「平治物語絵巻」(鎌倉中期)
「蒙古襲来絵巻(蒙古襲来絵詞)」
「男衾三郎絵巻(男衾三郎絵詞)」
「北野天神縁起絵巻」(鎌倉初期)…伝藤原信実
似絵――肖像画
「伝源頼朝像」(鎌倉初期)…藤原隆信作
頂相(ちんぞう)――禅宗の肖像画
瀬戸焼…鎌倉時代に著しく発展
2−7.室町幕府の成立
・建武新政と南北朝動乱
両統迭立
持明院統(後深草天皇→北朝)と大覚寺統(亀山天皇→南朝)の対立→幕府、両統迭立を提議(文保の和談(1317))
後醍醐天皇即位(1318〜1339、大覚寺統)――院政廃止し、天皇親政
正中の変(1324)、元弘の変(1331)…倒幕計画失敗。隠岐配流
鎌倉幕府の滅亡(1333)
護良親王・楠木正成の挙兵、足利高氏(→尊氏)の六波羅探題攻撃、新田義貞の鎌倉攻撃→得宗北条高時(14代執権)が自殺して幕府滅亡
建武の新政(建武の中興)
政治機構
記録所…一般政務
雑訴決断所…訴訟
恩賞方…論功行賞
武者所…京都の警備
鎌倉将軍府、陸奥将軍府、国司・守護
新政の混乱――二条河原の落書(1334.『建武年間記』)
新政の崩壊――中先代の乱(1335)→足利尊氏、乱鎮圧後、新政に反旗を翻す
南北朝の動乱
尊氏、後醍醐天皇軍を破り入京。光明天皇(1336〜1348、持明院統)擁立(北朝)→後醍醐天皇、吉野へ(南朝)
北朝内の内紛――観応の擾乱(1349〜1352)…足利尊氏・高師直と足利直義の政治路線の対立
・室町幕府(1338〜1573:室町時代)…守護大名の連合政権
室町幕府の成立
足利尊氏(初代将軍)…建武式目制定(1336)、征夷大将軍に任命(1338)
足利義満(3代将軍)…室町に「花の御所」造営、南北朝の合体(1392)
政治機構<中央>
管領(三管領――細川氏・畠山氏・斯波氏)…将軍補佐
侍所(長官:所司、四職――山名氏・赤松氏・京極氏・一色氏)…京都警備、刑事訴訟
政所(長官:執事、伊勢氏)…財政事務
問注所(長官:執事、三善氏)…記録・訴訟文書保管
評定衆・引付衆(方)
政治機構<地方>
鎌倉府(長官:鎌倉公方、初代足利基氏、以下世襲。補佐:関東管領、上杉氏が世襲)…関東8カ国+甲斐・伊豆統括。鎌倉府の下に侍所・政所・問注所・評定衆・引付衆(方)
九州探題(今川了俊→渋川氏)…九州統括、南朝勢力(懐良親王)討伐
奥州探題・羽州探題
守護・地頭
財政…臨時収入に依存し、不安定
御料所…幕府直轄地
倉役(土倉役)…土倉業者への税(重要財源)
酒屋役…酒造業者への税(重要財源)
段銭…田畑の段別に課す臨時税→のち一般化(重要財源)
棟別銭…戸別に課す家屋税→のち一般化
関銭…関所通行税
分一銭
抽分銭
守護大名の成長
守護領国制…一国全体の支配権を確立して国人(在地武士。荘官・地頭)を支配下に置く(大犯三カ条+刈田狼藉取締・使節遵行権)
半済令(1352)…年貢半分の収納権獲得(近江・美濃・尾張→全国へ)
守護請…守護による年貢の請負→荘園制崩壊・守護の大名化
幕府と守護大名の対立――足利義満の守護大名弱体化政策
明徳の乱(1391)…山名氏清(11カ国の守護)の乱→鎮圧
応永の乱(1399)…大内義弘(6カ国の守護)の乱→鎮圧
中国(元・明)との関係
元(1271〜1368):建長寺船(1325)、天竜寺船(1341)の派遣
明(1368〜1644):倭寇の禁圧・入貢要求に足利義満が応じ国交を通じる
遣明船派遣(1401)
勘合貿易(日明貿易)開始(1404)…朝貢貿易。勘合の使用(輸出:銅・硫黄・刀剣、輸入:銅銭・生糸)
寧波(ニンポー)の乱(1523)…博多商人・大内氏と堺商人・細川氏の紛争→大内氏が貿易独占
朝鮮との関係
李氏朝鮮(1392〜1910)…李成桂の建国
日朝貿易…対馬島主宗氏が貿易統制。通信符使用(輸出:銅・硫黄・刀剣、輸入:綿布・人参・大蔵経)
三浦(富山浦・乃而浦・塩浦)に倭館設置
応永の外寇(1419)、三浦(さんぽ)の乱(1510)
琉球との関係
琉球王国…尚巴志(しょうはし)による三山統一、中継貿易で栄える
・農民の自治組織
惣(惣村)…地縁的自治組織(広範囲では郷村制)――入会地の確保
村役人――(乙名・沙汰人・年寄・番頭)←地侍から選出
寄合――惣の自治的協議機関
村掟(惣掟・地下掟)――惣の規約(ex.近江国今堀地下掟)
自検断――村落の警察権・裁判権
百姓請(地下請)――領主から荘園の管理・年貢徴収などを請け負う
宮座――神社の氏子組織
・農民の抵抗
抵抗手段…愁訴・強訴・逃散・一揆
土一揆…土民の反抗(近畿地方)――徳政令発布を要求する徳政一揆も(→分一銭の納入)
正長の土一揆(徳政一揆、1428)――近江坂本の馬借が蜂起→自力で徳政勝ち取る(正長の徳政碑文)
大乗院日記記録に「正長元年九月 日、一天下の土民蜂起す。……日本開白以来、土民蜂起是れ初なり」の記述
播磨の土一揆(1429)――守護赤松満祐が鎮圧
嘉吉の土一揆(徳政一揆、1441)――「代始めの徳政」要求→幕府、徳政令発布
国一揆…国人層中心、守護大名の支配排除を狙う
山城の国一揆(1485)――守護畠山氏を追放→8年間自治支配
一向一揆…本願寺門徒農民・国人・坊主の連合体が守護大名・戦国大名らと抗争
加賀の一向一揆(1488)――守護富樫政親を打倒→100年間自治支配
・幕府・大名の争乱
足利義持(4代将軍)…日明貿易を中止
足利義教(6代将軍)…幕威高揚のため、強圧政治
永享の乱(1438)――鎌倉公方足利持氏を攻め滅ぼす
嘉吉の乱(1441)――播磨守護赤松満祐が将軍義教を謀殺
足利義政(8代将軍)…文化に傾倒し、幕政が乱れる
応仁の乱(応仁・文明の乱、1467〜1477)――享徳の乱(1454)に始まる東国の争乱に、将軍継承問題、畠山・斯波家の家督争いなどが重なり、全国の守護大名が細川勝元(東軍)、山名持豊(宗全、西軍)に属して京都を舞台に戦争を繰り広げる
→公家勢力・将軍権威の失墜。戦国時代へ(下剋上の風潮)
・社会と経済
農業
稲作…早稲・中稲・晩稲。二毛作は関東まで普及
水産業
塩田…揚浜法
商業
六斎市の一般化
店(常設店舗)の増加
座の発達…大山崎油座、北野神社麹座
問屋の誕生…問丸から発展
運輸
海上――問丸・廻船
陸上――馬借(馬を使い、大津・坂本などで発達)、車借(車を使う)
関所(関)――交通税を徴収し、交通・通商の阻害
貨幣
流通の進展…税の銭納化。為替の流通。貫高制の導入
種類
輸入銭――従来の宋銭・元銭に加え、明銭(洪武通宝・永楽通宝など)
私鋳銭――撰銭(えりぜに)行われる→撰銭令(交換比率を定めて撰銭を禁止)
金融機関…酒屋・土倉・寺院
・戦国大名の成長
東北…伊達氏らが割拠し、国を統一する勢力現れず
関東
鎌倉公方家の分裂――古河公方と堀越公方
関東管領家の分裂――扇谷上杉家と山内上杉家
北条氏(後北条氏)の台頭――相模小田原を本拠地に勢力拡大→両公方、両上杉家を駆逐
中部・北陸…有力戦国大名による群雄割拠
守護大名系――今川氏(駿河)、武田氏(甲斐)
守護代系――長尾氏(越後)、織田氏(尾張)、朝倉氏(越前)
その他――斎藤氏(美濃)
近畿…将軍家の威光及ばず。延暦寺・本願寺など寺院勢力も武力を持ち戦国大名と抗争
松永久秀…主家三好家を滅ぼし、13代将軍足利義輝を殺害、東大寺焼き討ち。下剋上の典型的人物
中国・四国
毛利氏の山陽・山陰制覇――大内氏・陶氏・尼子氏を滅ぼす
四国地方は細川氏(→三好氏)を中心に割拠して、統一勢力不在
九州…竜造寺氏・大友氏・島津氏で九州三分
・戦国大名の政治
分国(領国)支配
農民掌握――指出検地、貫高制
治水事業
鉱山開発――甲斐金山、但馬生野銀山、石見大森銀山など
商工業保護――楽市・楽座の制をしき、城下町繁栄
家臣団の統制
寄親・寄子の制度
分国法(家法)の制定――「塵芥集」(伊達氏)、「今川仮名目録」(今川氏)、「甲州法度之次第」(武田氏)、「朝倉孝景条々」(朝倉氏)など
・都市の発達
城下町…領国の政治・経済の中心
一乗谷(朝倉氏)、山口(大内氏)、府内(大友氏)、鹿児島(島津氏)など
港町…海陸交通の要地に成立
桑名(伊勢)、兵庫(摂津)など
自治都市
堺――会合衆による自治
博多――年行司による自治
京都――町衆による自治
門前町
長野善光寺(信濃)など
寺内町…一向宗の寺院境内に出来た町
石山(摂津)、吉崎(越前)など
宿場町
草津(近江)、品川(武蔵)など
・宗教
臨済宗
五山・十刹の制――京都五山…南禅寺(別格上位)、天竜寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺
鎌倉五山…建長寺・円覚寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺
浄土真宗(一向宗)
蓮如…本願寺8世。講の組織と御文により宗勢拡大。吉崎道場、石山本願寺設立
日蓮宗――日親の布教、宗勢拡大(京都・中国・九州地方)
法華一揆(1532)、天文法華の乱(1536)…一向宗・比叡山門徒との対立
神道
吉田兼倶による唯一神道の提唱。反本地垂迹説
・学問
古今伝授…『古今和歌集』に関する故実の秘事口伝の相承。東常縁がはじめる
有職故実――『建武年間行事』(後醍醐天皇)、『職原抄』(北畠親房)、『公事根源』(一条兼良)
政治論――『樵談治要』(一条兼良)
五山文学――夢窓疎石、義堂周信、絶海中津ら
地方普及――南村梅軒(南学派の祖、土佐)、桂庵玄樹(薩南学派の祖、肥後・薩摩)
歴史
『神皇正統記』(じんのうしょうとうき)…北畠親房著。南朝の正統性主張
『増鏡』…四鏡の最後。南朝方に同情的
『太平記』…後醍醐天皇の倒幕計画以後より南北朝内乱を記す軍記物語
『梅松論』…足利尊氏を中心に南北朝内乱を北朝側の立場で記述
教育・出版
上杉憲実の足利学校再興(1439〜1872)…「坂東の大学」
庶民の教科書…『庭訓往来』・『いろは歌』など
五山版…京都五山の漢籍出版物
・芸能
能楽――田楽・猿楽一座の結成
結崎座の観阿弥・世阿弥父子(足利義満の同朋衆)による猿楽能の大成
『風姿花伝』(『花伝書』)――世阿弥の能楽芸術論
謡曲――能の脚本
大和四座――金剛座・金春座・宝生座・観世座
狂言――能の幕間に演ずる庶民劇。武士や僧侶を痛烈に風刺
小歌――『閑吟集』に集大成
茶道(茶の湯)
闘茶・茶寄合(南北朝期)→侘び茶(村田珠光(東山期)→武野紹鴎(戦国期)→千利休)
立花(華道・花道)――池坊専慶が大成
連歌
二条良基――『菟玖波集』(準勅撰)
宗祇――正風連歌の確立。『新撰菟玖波集』・『水無瀬三吟百韻』
山崎宗鑑――俳諧連歌の祖。『犬筑波集』
御伽草子――庶民的短編物語。『一寸法師』・『ものぐさ太郎』・『文正草子』など
・造形美術
建築
足利義満の北山山荘(→鹿苑寺金閣)…北山文化(15世紀初頭)
足利義政の東山山荘(→慈照寺銀閣)…東山文化(15世紀後半)
書院造――慈照寺東求堂同仁斎(とうぐどうどうじんさい)…付書院・床の間・明障子などをもち、現代日本住宅の源
枯山水庭園…大徳寺大仙院庭園、竜安寺石庭
絵画
水墨画――明兆→如拙(『瓢鮎図』)→周文→雪舟(『四季山水絵巻』・『秋冬山水図』)
大和絵――狩野正信・狩野元信父子による大和絵と水墨画の融合→狩野派の創始
・生活文化
年中行事――風流(→盆踊り)、祇園会