●ホリフィールドが勝つ!

 タイソン−ホリィ戦の最初の賭け率は、25−1という記録的な大差でタイソン

有利とでた。マスコミの反応も冷めている。「セルドン戦の再現を見るために、

誰が大金を払うだろうか」というのだ。

 わが愛しのホリフィールドもナメられたものだ。はっきりさせておきたいが、

ホリフィールドはセルドンやブルーノとは全然違う次元のファイターである。統

一ヘビー級王者としての実績があり、技術とガッツは今でもナンバーワンだ。セ

ルドンを「かすりパンチ」で吹っ飛ばしたからといって、「ホリィもこうなる」

となぜ言えるのか。タイソンがダグラスにKOされた時も、その前の試合ではけ

して弱くはないカール・ウィリアムスをやはり初回で倒していたのだ。

 ホリフィールド自身が語ったように、タイソン攻略のカギは「恐れないこと」

だろう。かつて、フレージャーもノートンも踏みつぶした巨象フォアマンを老雄

アリやジミー・ヤングが倒した要因には、彼らが心理的に圧倒されなかったこと

が大きかったはずだ。アリ戦後、フォアマンは自身回復のために一晩で5人のボ

クサーを相手にする変則マッチを行ったが、度胸のすわった2人がKOを免れて

賞金をせしめた。タイソンの相手でも、恐怖の表情を浮かべずにリングに上がっ

たボクサーがKOされていない(グリーン、タッカー、ラドックなど)。

 ホリフィールドほど恐怖への屈伏から遠いボクサーはいない。かつて史上最強

のクルーザー級王者だった彼は、「打倒タイソン」(そんなことをまともに口に

するボクサーはホリィだけだった)を掲げてあえてヘビー級に転向したのだ。つ

いに実現する決戦で、可能な限り最高のファイトをするはずだ。一方のタイソン

は指を痛めたり肺炎になったりして試合を延期するなど、コンディショニングが

完璧とはいえない。ホリフィールド戦に絶好調で臨める保証はない。

 ホリィは多少フケてきたが、髪が薄くなったのはフォアマンに妖気にさらされ

たからだ。モーラーには敗れたが、あの時は心臓に穴が開いていた。それを、ヒー

リング(心霊治療)で塞いでカムバックしてきたのだ。オカルトの力も味方して

いる。奇跡が起きてもいい。