☆2月13日・有明コロシアム

▽WBA世界S・フェザー級タイトルマッチ12回戦

× 王者 畑山 隆則 VS × 挑戦者 サウル・デュラン

113−113

113−116

114−111

mario's scorecard

畑山隆則

10

8

10

10

9

10

10

10

10

9

9

9

114

サウル・デュラン

9

10

9

9

10

9

9

9

9

10-1

10-1

10

111

by mario kumekawa

 

「ヘビーな」判定が出るとき特有の長い間があって、判定が読み上げられた。一人目は113−113のドロー。「えっ」という空気が寒い寒い有明コロシアムの中を流れる(この会場、柱は邪魔だし、冬はもの凄く寒いし、交通は不便だし、好きになれないなー)。2人目、113−116でデュラン! ひんやりとした中にも、またひんやりとした雰囲気。なんと、もう畑山の勝利はないのだ。

結局、ドロー。おいおい、そりゃないぜ、というのが、正直な感想だった。僕の採点は一応上の通りだ。減点がなくとも、どうにか畑山の勝ちというところだ。微妙なラウンドもあったから、もっと接近していてもおかしくはない。けれども、減点が2点もあってなおかつドローとは……。あの内容で、「減点がなければ負け」という評価は、王者(しかも地元の)畑山にとって厳しすぎないだろうか。

たしかに軽くてはあるがダウンを食った。中盤は攻めたけれども、随分空振りもした。しかし、ただでさえ難しいと言われる初防衛戦。ダウンを食いながらも、強打のメキシカンにぐいぐいと接近し(デュラン陣営の言う通り、プッシングもあったのだが)、自分のペースにしたとまでは言えなくとも、劣勢を跳ね返し、王座を守った底力は称えてあまりある。

デュランは大体予想通りだった。世界戦だからもう少し手数を出してくるかも思ったが、結局、後楽園ホールで見たデュランよりも少しだけ動きが切れているという程度だった。だがやはり、かつん、と当ててくる固いパンチは厄介だ。序盤の畑山は中間距離で正確で、速く、強いパンチを受けて、非常に苦しい展開になるかと思われた。

だがここから、畑山はボクシングのテクニックや戦術ではなく、格闘家としての凄さを見せはじめた。歯を食いしばって気迫で前進、距離をつめることでデュラン得意のアッパーやフックを殺し、左ボディーブローでしたたか痛めつけた。ずいぶんと空振りもしたが、総合的に見て、攻勢をとり続けていたのは立派だ。

たしかに接戦、ドローになってしまったが、畑山の精神的タフネスと闘魂は大したものだった。具志堅用高が、初防衛戦のリオス戦でダウンを挽回して伸長し、疲労困憊、意気消沈の上体から13度防衛の大記録がスタートしたことを思い出しておきたい。


コーナー目次へ