展望: ガンボア小泉 対 星野敬太郎

 WBAミニマム級タイトルマッチ12回戦:12月6日・パシフィコ横浜国立大ホール

ガンボア小泉

27歳

29勝20KO5敗1分

星野敬太郎

31歳

20勝5KO6敗

 

(どたんばになっちゃいましたが、とにかくプレビュー……)

 これは、星野にとってチャンスである。ガンボアとて、暫定王者から正規王者に格上げされたばかりで、弱いはずはないが、リカルド・ロペスとかタイ人たちに挑戦しなくては王座が取れなかったついこの間までと比べれば、やはり大チャンスと言っていいだろう。

 ガンボアはなるほど世界のベルトを巻くに値する実力者で、事実、過去長きにわたって世界ランキングの上位に座り続けてきた。しかし、これまで王座につくことはなく、正規王者になった試合も、アランブレットが試合前に体重オーバーでベルト剥奪されていなければ(つまり、モチベーションが12ラウンドしっかり続いていれば)、勝てたかどうかわからない。あんまり仮定でものを言ってはいけないが、ボクサーとしての格、地力とでもいうべきものは、やはりアランブレットの方が上だったと思うのだ。

 つまり、ガンボアは、まあパンチはあるし、強いことは強いが、ボクサーとしての才能自体は、ひとつ間違うと「世界ランクの常連」どまり、といったところではないだろうか。星野も「B級」の薫り高い選手だが,ガンボアは勝てない相手ではない。

 ガンボアのボクシングには、事実いくつかの穴がある。なにより、パンチ力に頼り過ぎで、手数が少ない。横への動きもない。コンビネーションもそれほど緻密なものではない。あの動き,、攻撃なら、世界チャンピオンになるようなボクサーは致命打はうけない。動きの良いアランブレットに初戦では小差判定負けを喫したのも、動きのバリエーションの少なさが大きな原因の一つだったと思う。

 星野は、こういうガンボアの短所を突くだけの材料は一応もっている。動きはトリッキーだし、コンビネーション・ブローや打ち分けもできる。スピードもまあまあだ。ベストに仕上げることができれば,ガンボアにとって嫌な相手だろう。

 ただ、無論星野にも「穴」はあるし、まず、有名な打たれ弱さがある。また、星野のボディワークは多くの人々が指摘するように、前後にはシャープだが,左右への動きがない。前後のボディワーク,だけでは、ガンボアの重いパンチを殺しきれない。下手をするとルビリアル茨城にダウンさせられた試合の二の舞だ。

 星野が、「左右の動き」を世界戦のリングで披露することができれば、強打者だが単調でテクニックがあるとも言えないガンボアはかなり苦しくなる。31歳と若くない星野だが、その分、勝つために何が必要かはかなり鮮明にわかっていると思う。派手なフットワークはいらないが、とにかく動き続けること、その際、横への動きを忘れないこと、ガンボアよりも多く手を出すこと、……などがその「必要条件」だ。

 デビュー戦で負けた,31歳のボクサーが、奇跡のタイトル奪取するところを見たいものだ。

 


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