Snow-man








アークエンジェルを降りて、初めてのクリスマス。





私は、両親から離れて一人暮らしをしながら、カメラマンの勉強をしている。





昔から、スナップ写真を撮る程度はしていた。





今はプロの勉強をしているなんて昔なら考えていなかっただろう。






景色を留めておこうとする気持ちはやっぱり私の心の中にあったんだ。

そう思うようになったのはアークエンジェルに乗っているときからだった。





色褪せない、この気持ち。






今、教えてもらっている先生に弟子入りするとき、そう話したら、

「――君が描くものをカメラに写しなさい」

と、言われた。

今日もその先生の手伝いをしていた。











他愛も無い話をしながら帰路につく。

ふと。

道端を見ると子供たちが雪だるまを作っていた。







「懐かしいね、ハゥ。君も昔作ったかい?」

その様子に気づいた先生が私に話しかける。

「はい、よく作っていましたよ友達と。」




今はもう自分たちの道を歩き続けている友と。




「みんなで大きな雪だるまを作って、それで、目に入れるビー玉の色をケンカして決めていました。」

「ほぅ、ビー玉。」

「えぇ、色々な色があるから。赤い目をした雪だるまとか青い目をした雪だるまとかをビー玉で。」

多分今の子供たちもそういう風にしていると思う。

その雪だるまを作っている子供たちも目にビー玉を埋め込んでいた。






「…あ。」

昔は無かった色のビー玉が埋め込まれている。






綺麗な紫色の瞳。

おまけに黄色のバケツをかぶっている。






その二色に見覚えがあって少し笑ってしまった。

「――先生、ちょっと待っててください。」

バックからカメラを取り出すのを見て先生は微笑んでいた。





――パシャ。






カメラに収めると先生は私に聞いてきた。

「その風景は君が描いていたものなのかい?」

悪戯そうな顔をして聞いてくるものだから、私はまた思い出してしまった。








あのSnow-manの表情があまりにも彼に似ていたから。








「はい…。きっと彼は雪だるまって見たことないと思うから。贈ってあげるんです、この写真。」






『――あなたに似ているでしょう?ディアッカ。』











こんなメッセージを添えて。


クリスマスフリー小説、ディアミリです。

運命と言うより、種の後日談みたいな。

ミリィさん修行中です(笑)

2004年12月22日 伊予