勇気のない私へ










魔法歴史学が終わって、ロンが私の元にきた。

目が合って、少し驚いてしまった。

あんまりにも綺麗な空色をしていたから。

私の脳内ではこういう言葉が回っていた。








――今年は、チョコあげてないわ。








「ハーマイオニー、ちょっと教えて欲しいことあるんだけど。」

「な、何かしら、ロン?」







あぁ…なんでこんなに緊張して声が裏返っているんだろう。







自分に呆れながら、手に持っているカバンを強く持つ。

今年あげるはずだったチョコが入っていた。







私の様子も知らないでロンは羊皮紙を広げて今日の授業でわからなかったことを指差しながら話していた。

実際焦っているけれど、勉強のことになるとなんでこんなに私は話せるのかしら。

ロンの質問に的確に答える私。









「――そっか。うん。ありがと、ハーマイオニー!さすが君だね。」

理解したのかロンが笑顔で私に礼を述べた。





「どういたしまして…。」

「じゃ、次の授業あるから。」







私と反対側の廊下を行こうとする彼。

思わず、呼び止めてしまった。

「――あっ…ロン!」









その声は酷く、小さいような気がした。

「何?ハーマイオニー。」

ロンが止まって振り返る。









また戸惑って言葉がうまく出せない。







「あ…うぅん。なんでもないの。ごめんなさい、ロン。」







ロンはまだ変な顔していたけど、廊下の先を行ってしまった。









彼にちゃんと言いたいのに言えない私。

終わってしまったことはしょうがない。








だけど。








勇気のない私への教訓。

来年はちゃんと。












そう思ってまた小さく私は呟いた。










「――…ごめんなさい、ロン。」








勇気のない私へ。







滅茶苦茶ギリギリバレンタイン小説ロンハーです…(汗)あげてないことにしました。ちなみに、ハリーにバタービール飲みながら愚痴をこぼしたというボツネタが。

この小説は3月14日までフリーです。

2005226 伊予