Morning repose
少し早めに目が覚めて、朝靄がかかっている外を見ると、暴れ柳の近くにあるベンチに誰かが座っていた。 僕は目を凝らして見ると、それは見慣れている人だった。 朝陽がその人の髪の色に馴染んで、その人の愛猫と同じ色に見える。 僕がその人を――彼女を見間違えるはずがない。見間違えるほど、僕はバカじゃない。 どうしてこんな朝早くに外にいるのか判らなくて、椅子にかかっているローブをパジャマの上から羽織って、箒に跨った。 ハリーやシャーマスたちを起こさない様に、窓を開けて外に出た。
ひんやりとした空気がまだ夜の余韻を残している。 クィディッチの選手に選ばれて、以前よりは箒の乗り方も上手くなったかも知れない。 そんなことを考えていると、すぐに彼女の近くに来れた。
彼女は心底驚いた様子だった。 空から降りて、彼女に駆け寄る。
「――おはよう、ハーマイオニー。ホント、君って早起きだよね。」 そんな風に冗談を言った。 本当は朝で少し照れくさかったからだけど。 「…おはよう、ロン。いつも寝坊するあなたがこんな朝早くにいるなんて信じられないわ。」 少し困ったような笑顔でハーマイオニーは僕に笑いかけた。 あんまり良いタイミングじゃなかったのかもしれない。 僕は持っていた箒をベンチに立てかけ、彼女の隣に座った。
「ところでさ、どうしてここにいるのさ、君は。それにまだみんなが起きてこない時間に。」 「あなただって、今日に限って…!」 「ふぅーん、毎朝来てるんだ。」 彼女がしまった、という表情で僕を見る。意地悪くなって笑顔で答えた。 「…そうよ、悪い?」 「いんや、悪くないよ。」
なんだか、ハーマイオニーと二人っきりで話すのは久しぶりなカンジがして自然と頬が綻ぶ。 彼女もそう思っているのだろうか、いつもより笑って、朝の所為なのかいつもより、可愛く見える。
―――僕ってホント、バカだなぁ…。
なんて言うんだろう、今の僕らは友達以上恋人未満というかなんというか。 ハリーいわく、「君らはもう両思いなんだから、くっついちまえよ。」とのこと。 僕だってそうなりたいけど、やっぱり勇気が出せないんだよな。 そうこうしているうちに陽が高くなり始めていた。
「ねぇ、ハーマイオニー、そろそろ、毎朝どうしてこんなところに来ているか教えてくれない?」 本題を持ち出したら、彼女はユデダコのように顔を真っ赤にした。 「い…言わなくちゃいけない?」 口ごもりながら、彼女は聞き返してきた。 それがやっぱり可愛くて。 「うん、もちろん。」 少し黙って、彼女の口から出た言葉に驚いた。
「……ここからだと…見えるのよ……あなたの部屋の窓が…ロン。」
その言葉を耳にしたとき、本当に驚いてしまって呆然とした。 ――なんだって? ―――僕の部屋の窓を見てたって? ――――それって…。
「…僕に会いたかったの?ハーマイオニー。」 少し声が上ずって、恥ずかしくなった。
「……ロンのバカ。……いつも、思ってるの、会いたいって。」 彼女は僕に早口でそう言って、ベンチから立ち上がって、玄関ホールに走っていった。 しばらくすると、朝靄の中に消えていった。
僕は彼女のこの告白にどう答えようか。 まずは、僕もおんなじ気持ちだとわからせなくちゃいけないな。
「……明日から毎朝、早起きかぁ…ま、いっか。」
箒に跨り、地を蹴って、部屋に戻った。 彼女のあの顔が毎朝見れると思うと早起きもそんなに苦じゃないかもしれない。
君と過ごす朝のひとときが楽しみになってきた。
fin |
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あとがき
ヒントは耳をすませばの逆バージョン(爆笑)いや、ロンもハーマイオニーも別キャラで撃沈。許してください(え) 読んでくださいましてありがとうございました。 2004 10 2 伊予 |
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