自身








父や皆が守ってきたこの国を、私自身の力で守りたかった






そう







私自身で―――














劉禅が、魏に降伏を決めた夜に、星彩は彼の部屋に訪れた。

臣下たちはみな、嘆き、『愚君』と呼んでいる。





「…劉禅様、星彩です。」

「あぁ、星彩か。入ってくれ。」








扉を開けて、少し頼りない自分の夫を見ると、また幾分か疲れているように見えた。

椅子に座り、茶を飲んでいる。








「…星彩も私のことを嘲りに来たのか?」







自嘲を込めた笑いで劉禅は星彩に問うた。

昔から見てきた瞳は、揺れ動いている。

「――いいえ。」

いつもの、普段の声で、そう告げた。

「そうか…。」

そう呟いて、茶に目を落とした。















昔から、人の心配ばかりする人だった。

皇子と言う身でありながら、おどおどとしている人だった。














「――星彩、私は間違ったことをしているのだろうか?」






蝋燭の灯かりが揺れる中、劉禅は静かに呟いた。





「確かに皆の言うことが判る。けれど、私はもう…戦いたくはないのだ…。戦になれば、誰かの悲しみが起きてしまう。戦のない世に、皆の望む平和が…。」









「劉禅様。」

星彩が声をかけると、劉禅は俯き、まるで、幼い頃に戻ったようだった。

「父上はやはり怒るだろうか?このような愚息で。」






「劉禅様がお決めになったことでしょう?貴方自身が、貴方の考えで、民や皆のことを想って。」









少し震える手に重ねて、握った。







「それならば、そのようなことを言ってはいけません。」














心配ばかりする人だと思って同時に








――――なんて優しい人だとも思った。














「…星彩、すまぬ…。」









夜の闇の中、その言葉が木々の囁きの間に聞こえた。












初めての禅星小説ぅぅ〜(滝汗)…ごめんなさい(爆)

私的劉禅はただただんぼーっとしてて、普通の人だったんだと思います。降伏したときもきっとちゃんと考えがあって…!!(祈)

20050511 伊予