cry









青草色が目立ち始めた。

花は次々と咲き乱れ、夏が近づいてきていた。

けれど、夏の前には、しとしとと梅雨が居座っていた。






そんな今日も雨が降っていた。

は学校で、窓の外を見ている。

「う”〜…雨だなぁ…やだなぁ…。」

ここのところ、毎日毎日この単語が出る。

子供のような体系、言動、そんなことから、周りの友達からは、やはり子供扱いされる。

自身、実はそんなに気にしていないけれど。

「なによ、ったら!雨の日はあんた大好きなんでしょ!」

「そうよねー、大好きな彼氏さんが迎えに来てくれるんだもんね。」

友達の二人が、そんなからかいの言葉をかけてくる。

それを聞いて、は顔を膨らませた。

「それは関係ないよぉ。ずぅーっと雨なんだもん、これから。早く梅雨明けないかなぁ。」

机に顔を乗せて、また窓の外を見た。

少し、雨が小降りになって、校門の前に、見慣れた傘を持つ、男性が現れた。

「ほらっ!お迎えだよ!」

「いいな、あんな彼氏!わたしも欲しいなぁ…。」

羨ましい目を友人たちから向けられ、内心「無双の人なんだよ」なんて教えたくなる。

にやける顔を抑えて、カバンを持って、彼女らに挨拶を行って、教室を出た。

いつもは元気なは、少し、沈んでいるように感じた。

「…彼氏と何かあったのかな?」

「梅雨だからじゃない?」

友人たち二人は梅雨が嫌いと言った彼女の顔を思い出して、口々に言った。









「子龍!」

土が雨で軟らかくなっている。

泥が跳ねて、スカートから伸びる素足に少し付いてしまった。

っそんなに走っては汚れるぞ!」

「いーの!」

彼の声を聞くと、自然と笑顔になった。

趙雲の前では笑顔で。

そう決めたからである。

あの数ヶ月前の雨の日から、趙雲はを迎えに着ている。

それで、友人たちにしっかり顔を覚えられたわけである。




まだ小雨が降る中、趙雲が持つ、一つの傘に並んで入る。

それが毎日の日課であった。

毎日が幸せだった。

「それでね、子龍――。」

あの日から、彼をこの名で呼んだ。

こんなにも、心が温かくなるのは初めてだった。

いつも握っている掌も暖かくて。






この温もりを離したくないと思った。








「――?」

「…え?」

趙雲は、いきなりが黙ってしまい、思わず、彼女の名を呼んだ。

この頃、彼女の様子がおかしいと思った。

いつも自分の前では笑顔だが、その笑顔がここ数週間、ぎこちない。

それが、彼女の悲しみだとすぐに知った。

「ごめんね、ぼーっとしてたよ。子龍。」

疲れてるのかな?なんて言って、舌を出す姿が愛おしく思った。






趙雲を見ると、数週間前から、見てしまうことがある。

夢でいつも見る白い花と、彼の周りに光の柱が見える。

これが「還る」時だと、すぐにはわかった。

この頃、それを見る間隔が多い。

まもなく、別れがくるのだった。







…その、どうしたんだ?」

「んー…やっぱり、子龍には隠せないかな?」

苦い顔をして、は続けた。

「――多分、子龍はもうすぐ還れるよ。」

いつもの笑顔でそれを言った。













家に帰ってきて、は趙雲に話した。

話しながら、彼に抱きしめられた。

苦しいくらい抱きしめられて、それでも話し続けた。









「どうしたの?ね、子龍?」

その広い背中に手を回しながら、は聞いた。

「…貴女は、いつも笑顔だったな、。」

耳元でその言葉が聞こえた。

「――そのわけを聞かせてくれないか?」

趙雲の顔が目の前にあった。

瞳に映る自分の顔が見える。

それが、凄く、悲しそうな笑顔だった。









「……だって、子龍、私が悲しい顔したら悲しくなるでしょ?」

視界がぼやけた。

「それに、もし別れても、貴方が思い出す私はいつも笑顔でいて欲しいもの。それが私の願い…たとえ、別れてしまっても。」

いつの間にか、涙が頬を伝っている。

趙雲の顔がぼやけて見えない。

けれど、暖かさだけは体中に満ちていた。







「…本当に優しい人だ、貴女は。」

趙雲が涙を指で拭いながら、優しい笑顔を浮かべて言った。

「私の支えは貴女だけだ、。いつもの笑顔が支えてくれた。私は、と別れても、支えは貴女だ。いつも、その笑顔があるから。」

腕に力が込められた。

その広い胸板に抱きしめられた。







「だから、私の前では本当の貴女でいてくれ。私のために無理をしないでくれ。…愛している。」








彼のために、どんなことがあっても笑顔でいようと決めた。

けれど、彼はそれはするなと言った。

本当の私でいてくれと。

別れの悲しみを無理に笑顔にするなと。










そして、初めて、彼からの直接の言葉。











「子龍…。私はやっぱり笑顔でいるよ?だって、貴方のこと大好きだから。」

涙で濡れた頬を上げて、笑った。








泣いたのは久しぶりだった。

けれど、最初は悲しみの涙でも。







今は。












なんだか、詰めすぎですよね(汗)すみません…そして何が言いたいのかわか(以下略)

ちゃんのときはもっとシリアスしてましたけど、姉さま編はほんわか感を出せたかと想います。…どうです?(滝汗)

次で終わりかなぁどうかなぁ。