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白い花が風に乗って舞う。

視界が見えないくらい花弁が舞う。

腕で顔を守っていたら、暖かい貴方の腕が私を包んだ。

それだけで。






先日の雨の日とは打ってかわって、晴天な休日。

窓から漏れる朝陽に は勢い良く起きた。

「さってと!今日は庭のお掃除しなくちゃ!」

三兄姉妹の中で、 は家事全般担当。もちろん、庭の手入れもそうだ。

先日の雨で、庭にある桜の花弁がほとんど落ちてしまった。

ちなみに、兄と妹は二人で外泊中で今この家にいるのは と、数週間前に現れて、拾った趙雲の二人っきりだった。

もちろん、 はすぐに支度を整えて、すでに起きていた趙雲を引っ張って庭に出た。

「じゃぁ、趙雲。私はこっち掃くからそっちをお願いね。」

黙々と二人で竹箒を持って、花弁を集めていく。

趙雲は桜の木を見上げ、 に質問した。

「この木は『桃』ではないのだな。」

「そうなの、『桜』の木だよ。『桃』にも似ているけど。」

集めた花弁をちりとりに集める。

雨で散った花弁は水気を帯びていて、薄紅色が際立つ。

「じゃ、私これ捨ててくるね。」







裏口の捨て場に持っていき、また庭に戻ってくるとまだ趙雲は木を見上げていた。

「どうしたの?趙雲。」

「いや…。殿や関羽殿、張飛殿が『桃園』で義兄弟の誓いをしたのを思い出したんだ。」

趙雲のその言葉を聞いて、 は無双のムービーを思い出した。

そして、趙雲の瞳が、少し寂しそうに見えた。








「趙雲、寂しい?」

小さな身体で背伸びをして問うた。








「還りたい?もとの世界に。」








の声が胸に染み込む。

目の前にいる、小さな少女の身体をゆっくりと抱きしめた。





「――還りたい、とは思う。けれど、貴女がいるから寂しくはない、 がいるから…。」

趙雲の声が耳元で聞こえて、 は笑顔を作った。

「そっか。」








彼の肩越しで、まだ残っていた花弁が風に舞った。






白に薄紅が架かった花弁。

その瞳に焼きついたのは夢の中の白。

そして、暖かな腕があった。

は笑顔で趙雲に言った。




「大丈夫だよ、趙雲。私がいるから。」




風に乗る白い花。

夢で見た、彼女の笑顔。

その笑顔が傾きかけた心に染み込む。







「…夢の中で、貴女を見ていた。この異界で、私がいる理由は がいるから。」

「うん。」

「――ありがとう、 。」

彼が来て、 はわかったことがある。








私がいる理由。

家に生まれた理由。

すべてに趙雲に会う為に。

もし別れが来ても、きっと心は温かさに満ちているだろう。

趙雲もきっとそう。

だから、別れ来るまで。










この暖かさを胸に一杯にしよう。












「ね、趙雲。しゃがんで。」

の言葉の意味がちゃんと取れなくて、言われたとおり、しゃがんだ。

彼女の顔がすぐそこに来たかと思ったら、唇に彼女の感触がした。

何か、暖かいものが宿る。








見ると、白い花弁が舞う中で、それだけで。










幸せになった。










あれですか?5話目は難産なんでしょうかね?(汗)それと久しぶりに書いたからこんなに難産だったのでしょうかね?(滝汗)この人たちは5月のほわほわした感じを出したいんですよ。だから、妹と違って、告白もしないで。ってカンジ(え)姉ちゃん編は7話で終る予定…。頑張ろう。自分(笑)