感情











「――馬鹿めが。あんなにずぶ濡れにまたなれば今度こそ風邪を引く。」

「あはは、そうかもっ。」








夕立が外で降っているなか、司馬懿の皮肉な言葉に私は素直に笑えた。




あの日、私が何もかもを『思い出』にできた日から何かが軽くなった気がした。

それは良い意味でも。また悪い意味でも。







「ねぇ、司馬懿?司馬懿のことを聞かせて?」

私が少し遅い夕飯を作るために台所に立っているとき、彼に聞いた。

歴史上の人物なのだから本を見ればわかるはずなのに彼の口から聞きたかった。

包丁の音が響く中で、彼の声色が一緒に響く。

「――貴様は私のことを聞いて楽しいのか?。」

彼のそんな言葉が聞こえてくるけれど私は嬉しげに答える。

「楽しいよ?…というか、嬉しいな。だって司馬懿自身のことを聞けるんだもん。」







二人でいる心地良さに酔ってしまいそうだった。







「…貴様だけなのだからな。」







そんな言葉も心をくすぐる材料になる。











―――ただ。











この感情に名前を付けるのなら、それはすでにわかっていた。










私が、あの雨の日に、一度捨てたもの。

そしてその感情は私を恐怖に陥れるもの。



















けど。

けどね、司馬懿。



















…それは『思い出』の中のと同じので、少し違う感情。




















なんだか久しぶり過ぎてすみません…。いや、でもちゃんと終らせますんで!!(滝汗)