雨音










「――…何よ、この人…?」






どしゃぶりの雨の中、目の前にいる変な男性を見て、は呟いた。

それは紛れも無く、先ほど目にしたゲームのキャラクター。

コスプレかと思わせる服装だった。

驚いてはいたけれど、この気持を落ち着かせるのには充分だった。












目蓋を開けると、そこは自室ではなかった。

雨が降っていて、見たこともない景色。

下の道と呼ぶべきものは土とは違い、灰色で固い。

ところどころ、緑の木々が見えるが、変な建物ばかりだった。

そして、自分の目の前には、虚ろな顔の少女がずぶ濡れで立っていた。









「あなた、誰?」

先にから口を開いた。

「――貴様こそ、誰だ。」

声を低くして、警戒するように司馬懿は返した。

それに少し驚いた顔をしたは、その後、何事も無かったかのように普通にまた言う。







「私は、。…あなたは?」

「…司馬仲達だ。」








まだ雨は止まない。

二人でずぶ濡れになって、顔を見合わせた。








「とりあえず…うちに来る?」








ぎこちない笑みを浮かべて、は司馬懿に手を差し伸べた。













は、親元から離れて、一人暮らしをしている。

友達からは羨ましがられるが、実際、一人で寂しいときもある。

の性格を現したような清潔感のある部屋に、今は一人の男性がいた。

「…狭いな。」

「このくらいが落ち着くの。さ、服着替えなくちゃ。」

言葉少なげに、二人で、別々の部屋で身体を拭き、新しい乾いた服に着替えた。

司馬懿には、大きめのシャツとズボンを履かせた。

お互いの濡れた服を洗濯場に置いて、ひとまず、椅子に座って、暖かい茶を飲んだ。

「――さて、えっと…。」

「司馬仲達だ。司馬懿とも呼ばれている。」

「じゃ、司馬懿?ひとまず落ち着いたところで。」

まだぎこちない笑みを浮かべて、湯のみを持って、が言葉を続けようとしたら、司馬懿がしゃべった。

と言ったな。ここは一体どこなのだっ!」

席は立っていないが、今にもがしゃんと行きそうなカンジで司馬懿が言う。

それにも差して驚きもせず、は「落ち着いて」と言った。

「見たところによると、司馬懿はこの日本とは違うところから着たみたいだね。…なんて国?」

そう聞いて、次の司馬懿の言葉に驚いた。

「魏も知らぬのか、馬鹿めが。」

あまり驚かないはこれには驚いた。

司馬懿が「魏」と言った国は、大昔の、しかも中国で三国時代にあった国で。

そういうのに、詳しくないも授業でやったのを覚えていた。

「―――な、なんだか大変なことになっちゃったかもね…。」

そう呟いて、「とりあえず、そこに戻れるまで、うちにいる?」などと、至極普通に司馬懿に言った。

それに、司馬懿は同意した。













夜になっても雨は止まない。

司馬懿は使われていない、の隣の部屋を借りることになった。

夜になると、まだ少し肌寒かった。

布団に包まって、は考えていた。

(何で私、訳の判らない人をうちに置くなんて言ったんだろう…。)

そんなことを考えていると、雨の音が、また酷く耳の中に入ってきて。

怖くなって、瞳を固く瞑った。












雨の音を聞きながら、司馬懿は今日のの顔を思い出していた。

あれほどまで、虚ろな顔を見たのは久しぶりだった。

そして、色々話していた彼女は明らかに無理をしている感じだった。

話を聞いたり、周りのものを見ていると、明らかに異世界だと司馬懿は思っていた。

いつになったら自分の元いた場所に戻れるのだろう。

考えを廻らすが、今は彼女がここにいてもよいと言っていた。

それならば、今はまだ、ここにいよう。

元の世界では軍師で、人を操っていた。

けれど、今は、疑問が。どんなに考えても、わからないことがあった。

そして、小さく呟いた。











「―――…何故、そのような顔をしていたのだ…。」















この小説ん中のように雨ばらばら降っております(笑)今回の連載は早くから司馬懿出せていますね。良かった良かった(爆笑)