| まるで
湿り気のある風が部屋を通り過ぎた。
その部屋の主の司馬懿が、顔をしかめた。 「ふん…また私の嫌いな季節か。」 吐き捨てるようにそう言って、気分を変えるように席を立つ。
窓から空を見ると雨雲が漂っていた。 しばらくして、大粒の雨が降り出した。 軍議が続いた所為か、雨粒が光っているようにも思える。
雨粒が、窓から少し入ってきて、司馬懿の持っている黒扇の羽に乗った。 揺れ動くそれに目を取られた。 その中に、酷く虚ろな表情をした女が見えた。 その様子にまた顔をしかめて。
そして。
大粒の雨が降りしきる中、高校から帰宅途中のは傘を差さずに歩いていた。
その頬に伝うのは雨と、彼女の体液。
『…あのさ。』
言われた言葉が頭の中に回る。 自分で選んだはずなのに、どうして出てくるんだろう。
そんなことを思いながら、歩いていた。 途中、雨にも関わらず、子供たちが商店街のゲーム屋の軒でゲームの体験をしているようだった。 「すっげーっ!司馬懿挑発イベント無くなっちゃったよ!!」 「俺楽しみだったのにー!」 そちらに目を向けると、今時のゲームらしく、グラフィックが綺麗で、ちょっと美形の男性キャラクターが敵を倒している。
―――未練がましいなぁ、私。
口元に笑みを浮かべて、また歩き出した。 そろそろ、この雨にも慣れてきて、だんだんと頭が冷静になっていく。 それと同時に、笑みがたえなくなってきた。
――何よ。 ―――私は、私。
まだ雨は止まない。
「―――はっはは…!バカみたい、私ってば…!!」 声に出してみると呆気ないものだった。
まるで。 私は何も知らない。
ふざけた戯曲みたい。
天に上げた顔を戻して、また地面を見た。 大粒の雨に自分の顔が重なって。 その中に、さっき見たゲームの中の男性キャラクターが見えるような気がした。 特徴的な黒い扇を持ったキャラクター。
自嘲的な笑いを浮かべると。 目の前に大きな音がして。
それがいた。
降りしきる雨はまだ止まない。
はい、新しい連載ですー。司馬懿逆トリップ夢!!すっげぇシリアスなんですけど…。っていうか、主人公泣かす気満満(笑)次回からはちゃんとしますよ、少し明るめに。 |
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