真っ白な世界に、ただ、一つだけ、彩があった。








安原少年は、その彩を見つけて、駆け寄る。

「――原さんっ!」

呼ばれた日本人形のような儚い少女は、振り向いた。

「…安原さん?」

「どうしたんですか?こんなところで。」

初雪が降り積もった公園のベンチに、一人で少女は座っていた。






「見ていましたの…真っ白な世界を…。」

黒のコートを着込んだ安原は彼女の横に佇んで、彼女の目線の先を見た。

初雪が、茶色の地面を覆って、白色にしていた。

公園にある、全てのものを白色にしていた。















「…初雪、ですね…。」

「えぇ…。」

彼女と同じように、安原もその景色を眺めた。

二人の肩や頭にも雪は積もり続けている。








ぽつりと、少女が呟く。

「……眺めていますとね…まるで、あたくし自身も溶け込んでしまいそうだと思っていたんです…。」















無機質で純粋で、孤高を保つようなこの白色に。








上目で少女は青年を見た。

目を合わせて、その青年は穏やかな笑顔を浮かべて言う。















「確かに、そうかもしれませんね。けど、溶け込ませませんよ。だって、僕が貴女を見つけますから。」















そう言って、彼女を後ろから、抱きしめた。

「――ふふっ…そうですわね。」

彼女が、先ほどとは違った、彩を湛えて笑う。






















真っ白な世界で、ただ






















―――自分だけの彩を見つけた。























時季外れかもしれませんね…。ラブラブ?な安原真砂子を書いてみたかったんです…。

20081020 伊予