夕日も落ちたある夕暮れに、空には一番星が輝いていた。




「ねぇ、ねぇナル!一番星!!」







ナルと呼ばれた美少年の前を歩いていた少女が声を上げた。

「それがどうした。」

「それがって、何よ。綺麗だと思わない?」

「別に。」

会話をすることが面倒なくらい嫌味な溜息が吐かれる。

それを聞いた少女は、頬を膨らませた。

「そーいうことじゃなくてっ。もぅっ。」

それが余りにも子どもらしく見えた。

頬を膨らませたまま、先を歩く。

次第と距離が離れる。










離れて。







離れて。







そして。













「ナルっ!こっち!!」

素早く戻ってきて、手をとって走り出す。

「麻衣。」

「いーからこっちきて!」

距離がまたもとに戻って、そして縮まった。










少女が向かった先は、開けた場所だった。

そこには、空き地だったけれど違うことは、背の丈ほどあるススキと満月。

「ふふん。これならどうだ!」

自慢げに、それでいて、手は放さずにいた。

それでも、漆黒の少年は顔色一つ変えずに隣に立っていた。

「もういいか、麻衣。帰るぞ。」

また溜息をついて、体の向きを変えようとすると、少女が顔を近づけてくる。







また。










距離が縮む。










「くっそぉ〜!!また一つ目標が出来たっ!ナルに『綺麗だ』って言わせてやる!!」

満月の光を浴びて、少女が、息のかかるくらい顔を近づけて、そう宣言した。

その宣言と顔を見て、美少年とも称される彼が口元を緩めた。







「ご自由に。」













嫌味を言うときと同じ顔だと、きっと破壊僧は言うだろう。

けれど、そう言われた相手には、違う意味として受け取られた。







「見てなさいよっナル!」

「帰るぞ。」

「はーい!」










その場所から、二人で土を踏みしめて歩き出す。

繋いだ手は放さずに。
















きっとこれが、理由。













僕たちが恋をする理由











難産…。最近安原真砂子が書きやすいんですけど?(え)久しぶりに真綾のメドレーを聞いたら、こんなになりました。「僕たちが恋をする理由」をBGMにして。

20080807