| 確夢
会話を思い出す。
「――…やはり、貴女は の…。」 「えぇ、親族ですよ。正確には姪です。」 武器を構えたまま、お互いを見据えた。 周りの雑音が一切聞き取れない。 「名前は、 。最も、敵として貴方の前に立っているのだから、関係ありませんね。」 は自分でそう口に出して言っているが、見た目には、辛そうに見えた。 「…けれど、今は、 叔母さんの姪の です。」 ふっと、微笑をたたえた。 それが本来の彼女の笑顔でもあった。 「それで、 殿。」 「はい。伝えに参りました。 叔母さんの伝言です。」 と同じ群青色の瞳が、揺れた。
次々と敵をなぎ倒して、ふと の方へ目を向けた。 そのとき、丁度、敵将の趙雲と鍔迫り合いをしていた。 以前、 から聞いていた。
『うちの家系は話したよね、凌統?母さんのときは陸遜が来て、 叔母さんのときは、蜀の趙雲が来たの。』 凌統の寝台に無邪気に寝転がって、そう言った。 椅子に座って、凌統は聞いていた。 『だから次の戦…夷陵では、あたし、伝えに行かなくちゃいけないの。』 その表情は、穏やかでもあったし、何かを決心するような顔だった。
「…さっき言った言葉は、本気だかんな、 。」 そう呟いた。
「 叔母さんは、ずっと、『幸せだった』と言っていました。」 「――そうか。」 「――…『ちゃんと、言葉にしてなかったから、言葉にするね。子龍。』」
それを話している の声が震えてきている。 趙雲はそれしか耳に入らなかった。
「――――…『…大好きだよ。』」
別れる時に言った言葉を彼女はちゃんと覚えていた。 在り来たりだけれど、大切な言葉。 新しく生まれた、その絆は今でも繋がっていた。
趙雲のその顔に、穏やかな微笑みが浮かんだ。 そして、すぐにそれを消す言葉を は吐いた。 「… 叔母さんの手首には、大事そうに緑の布が巻かれています。――病床に入って、痩せ細った腕に。」 「何…?!」 悲し気に、言葉を続ける。 「あたしが…っここに来る前に、叔母さんはこう言ってきたました。『私、もう長くないの。』って…。」 「…!!」 の顔が項垂れ、声を紡ぐ。 「治らない、病気だったから…。だから、あたしは伝えに着た。」 きっと顔を上げて、趙雲を見た。 恐る恐る趙雲は言葉を言う。 「――そうか…。 殿、礼を言う。」 趙雲のその言葉を聞いて、 との会話を は思い出した。
『きっと、 ちゃんは、敵として、趙雲と会うんだろうなぁ。』 いつもと変わらない笑顔で は言う。 『私の伝言、伝えたら、ちゃんとするんだよ?』 それに は「それで良いのか」と聞いた。 そしたら、 は面白そうにまた言った。 『だって、あっちの世界はしょうがないもの。大丈夫。 ちゃんが気に病むことはないの。』
それを思い出していると、趙雲が、武器を構えなおした。 やはり、そうなるのかと、どこかで予感はあった。 ただ一つ、疑問があった。 「趙雲殿は、 叔母さんが死ぬと聞いて、動揺しないんですね。」 「…少しは動揺している。けれど…私たちは、また会うことが出来る。繋がっているんだ。」 その言葉を聞いて、 も自分の刀を構えなおした。
「――では、今からは呉の 、です。」 「あぁ…。本当に、礼を言う。 殿。」 お互い、見詰め合って、敵として、武器を持った。
打撃はとても重かった。 これが、想いなのかと。 想いがあるのだと。 そして、受け取ろうと。 少女が懐に入ったと思った瞬間、鈍い痛みがした。
そして、その少女の右耳の、飾りが砕け散った。
周りが、火に囲まれていた。 腕に傷を負い、熱かった右耳のピアスは趙雲に斬り込んだときに砕け散った。 今は左耳の紅いピアスしかない。 趙雲の傷は死には至らないだろう。 だが、傷を負わせたのは事実だ。 出血する懐を抑えながら、趙雲は馬に乗って、劉備と共に、奥へ引いていった。 顔はとても穏やかだった。 凌統が、言っていた。 「戻ってこい」と。 その言葉が、響いて、彼の元へ、駆け出した。
馬上で揺られるたびに、出血していた。 諸葛亮殿が編み出した、迷路をただ進む。 から、 からの伝言を聞けて幸せだった。 もうすぐ、死ぬと聞いて、心が苦しくなった。 けれど、すぐに、 の笑顔で救われた。 微笑み、呟いた。
「――… 、私だって、ずっと、これからも―――。」
シュッと風を切り裂く音がしたと思ったら、身体に衝撃が走った。 馬が驚いて、地面に落ちる。 立て続けに、弓がいくつも刺さった。
――――見えるのは、ただ貴女の笑顔だけだ。… 。
はいーっ。こんなカンジです。趙雲編(え)ごめんなさい、としかいえない(笑)こういう大事なところはガーッと書いちゃったほうが良いですよねー。まだまだ終らなさげ(爆) |
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