| 気持
川を挟んで、蜀と呉は長くにらみ合っていた。 広大な陣形を組んでいる蜀。 あたしは、自分の愛刀を抱えて、それを見ていた。
それと同じ頃、蜀の幕舎で白い花弁を持っている趙雲がいた。 今日も、戦況に変化はない。 白い花弁を持った趙雲は、惹かれるように、幕舎を出、川際に歩き出した。 (―――何かが、起ころうとしている…。) 柵があるところまで行って、呉の陣営を見た。
『 ちゃん…私、もう長くないの。』
にっこりと、儚い笑みを浮かべて、 の叔母 が言った。 重い難病を患っているのは知っていた。 けれど、そんなと の頭の中に響いた。 『そんな顔しないでよ、 ちゃん。』 大事を言っているはずの叔母の方がなんだか落ち着いていた。 清潔な布団の上に置かれた痩せ細った腕には、点滴と、翠色の布が巻かれていた。
『――だからね、 ちゃんにお願いしたいの。』
頬を染めて、少女の頃に戻ったように は言った。 それを見て、 は泣き出したくなった。 こんなにも切ないものが、悲しいものがあるのかと言う感じで。
耳を、砂埃が混じった風が通る。 まるで、叔母さんが「よろしくね」といつもの声で言っているように。 一瞬、瞳を閉じて、また開けて、対岸を見ると。 人が、いた。
はらりと、その白い花弁が手から地面に降りた。 趙雲は、対岸に一人の少女を見た。 異国風の着物を着ていて、手には剣のような武器を握っている。 そして、一度戦場で見たことのある呉の軍師そっくりの髪の毛の色。 一生に一度しか見たことのない、群青色の瞳。 誰よりも、その瞳を持つに相応しい少女に似通っていた。 「――…っ …?」 その少女の名前を口に出して、改めて見る。 彼女と同じ瞳。 それで、 と血縁関係なのかと推測した。 けれどその対岸にいる少女の眼差しが。 どこか、そう言っているように思えた。 敵陣地の人間に声をかけるなどとは、間者と疑われてしまう。 声をかけたい衝動を抑えて、趙雲は唇を噛んだ。
対岸にいる、趙雲、が動揺しているのがわかる。 やっぱり、叔母さんの想いはあたしにも宿っているんだって確認した。 その眼差しを彼に投げるようにして見て、背を向けて、歩き始めた。 きっと、また戦場で会えるだろう。 そのときは、叔母さんの気持を、伝える。
夕日が、差す。 同じ夕日を、 と同じ瞳で は微笑みながら見ていた。
ニュータイプですかね?二人とも(笑)すみません、 姉ちゃん、ちょっとこれからあれです、はい(苦笑)すっごい悩んだけれど。 |
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