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夏の夜に久しぶりに は夢を見た。 娘の が泣きながら陸遜に『父さん』と言っている夢。 穏やかな、暖かい雰囲気が自分の方にも伝わってきた。
朝の光に起こされて、目を開けた。 久しぶりの、爽やかな気分で起きた。 耳元の、すでにくすんだ色をしている紅色のピアスが少しだけ温かみを帯びて光っていた。
思えば、自分はなんて幸運な人生を歩んでいることだろう。 心から愛した男性の子供を生めてなんて幸せなんだろう。
たとえ、時空を越えて、別れていても。
『ねぇ、かあさん。とうさんはどこにいるの?』 陸遜とも歩んだことのある道で、 と手を繋ぎながら、歩いていた。
『…父さんは…空にいるのよ。母さんも空。 は、鳥なの。』 そう言って、陸遜と眺めた青空を母子で見上げた。
娘が成長していくにつれ、面影が出てくる。 もちろん、自分にも似ていると思うが、陸遜にも似ていた。 娘の、父に似た絹糸のような柔らかな髪を結うと、微笑が漏れた。
『あたしって、父さんに似ている?』 『――えぇ、そうね…。特にこの髪の毛が。』 『そっかぁ…。でも瞳は母さんからだよねー。…えへへ。』 『どうしたの、そんな笑って?』
『だってさ。父さんと母さんは違う世界の人だったのに、その子供があたしだなんて…凄い誇らしい。』
家事をこなして、姉の世話に行って、もうすでに夜の帳が落ちていた。 夏の風が縁側に座っている の頬にあたる。 今朝見た夢が蘇ってくる。
「驚いてるかな、陸遜。」
口調がいつの間にか、あの頃の、陸遜と出会った頃のままに戻っている。
風が一層強くなって、木々が揺れて、その音の間に、あの懐かしい声色が聞こえた。
『――それはもう、驚いていますよ。 ―――』
彼の、暖かい優しい声色が。
中休み〜みたいなカンジで の心情を書いてみました。もうゆったりとしたカンジを出したかったのです。 |
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