10:おわり









荒れ果てたこの大地の呼吸が聞こえる気がした。








この数百年間、僕はこれを聞いてきた。

変わらない時とともに、様々な人々との出会い。

繰り返される別れもあって、僕はたまに泣いてしまう。

この涙でさえも、この大地の水になるのかもしれないと思って、僕は泣き続けた。













「――貴方はまたそうやって泣くんですのね、ヴァッシュさん。」













凛とした、それでいて数々の出会いのなかで、彼女だけが醸し出す声。

「…うん。」

「私、貴方の泣いた顔と笑った顔しか見たことありませんわよ?」

ちょっとした皮肉も込めて、彼女はまたそういう。けれどそれは僕に対する気遣い。

「あはは…そうだね…。僕、これでも結構真面目なところもあるんだよ?保険屋さん。」

呼び慣れた彼女の愛称でそう呼ぶと眉間の皺がよった。

「まったく貴方って人は…。」

何度目かわからない溜息を彼女はついた。

どうして名前で呼ばないのかと問われたことがあったけど、それはまだ秘密。









ただの僕の我が儘。君の名前を独占したい自分の。














風が舞い、僕の赤いコートと彼女の白いコートが砂風に煽られる。








「――この惑星の『おわり』が来たら、君はどうする?」






遠くの彼方の地平線を見ながら、僕はそう呟いた。









それは、最終確認。

これから始まる戦いの一つの未来。













「…そうですわね…出来るなら――。」





















「――ヴァッシュさんのそばにいられれば、それだけで良いですわ。」















そう言って、彼女は涙が伝った頬をその天使のような手で拭ってくれた。

それだけで、僕はまた涙を流す。











きっと『おわり』がどんな形であろうとも。

破滅しかこなくても。

この先の未来が白紙だろうとも。














―――僕は『おわり』のそのときも、君のそばにいたいよ、メリル―――





















彼女の暖かい胸に抱かれ、砂風がこの星の新たな息吹に聞こえた。















どうもお久しぶりです(え)やっとこの「恋愛小説が書きたいあなたに10のお題」クリアできました。最後のこのお題「おわり」はどうしてもヴァメリで書いてみたかったのです。伝えたかったこと、書ききれたかなぁ…。

超カメ足ですがこれからもよろしくお願い致します♪

20060106伊予