My wish is a Sun Flower!
「ウルフウッドさ〜んっ!!」 「うわぁあぁああ?!」 ガタガタッと大きな音を立てて、ウルフウッドが座っていた椅子がぐらついた。 今日も空の青いホリディ。 ゆっくり椅子に座りながら煙草をふかしていたウルフウッドにとって度肝を抜かれる音を立てた。 犯人はいつも決まっているわけで。
「…ハニー…心臓に悪いやんけ…。」 「えへへ、ごめんなさい、ダーリンッ。」 ちょっとバツの悪そうな顔をしたミリィが後ろにいた。 「ま、ハニーには何されてもええねんけどな。」 「いやですよ、あなた、何も出ませんからね〜。」
いつもの調子でドタバタ夫婦漫才をかます二人。 二人の旅の同行者がもう二人いるのだが、証言によると寝ても覚めてもこうなのだそうだ。 本人たちはどうもなにも思っていないらしく、きわどい発言だってあったりもする。 「そーいや、トンガリとちっこい保険屋のねぇちゃんはどないしたんや??」 「あ、先輩、ヴァッシュさんに用があって探しに行きましたよ。また今日もお昼寝でしょうね!」 つい先刻あった出来事を素直にミリィは話した。もっとも、これが毎日の習慣になっていることは言うまでもない。 「…で、暇になったとこに、ワイを見つけたわけっと。」 「はい、そうなんですよ〜。しかも気持ちよさそうに見えるモンですから、脅かしたくなって!」 「そりゃ、煙草やってるときは気持ちええよ…。」
そこまで言って、ウルフウッドはミリィの腕に抱えている紙袋を見つけた。
ウルフウッドの視線を感じたのか、いち早くミリィが言う。 「あ、これを見せに来たんです。」 それはちょこっとだけかさ張るらしく、大きな音を立てて中身を出した。
そこには、黄色の大輪の花が何本も入っていた。 「今日街を歩いていたらお店にあったんです。今朝、プラントさんが頑張って出してくれたんですって!生花ですよ?!ほらっ!」
目の前に出されたそれは見事で微かに鼻を刺す臭いがした。
「まためっずらしいもん持ってきたな〜!ワイ、本物の花なんてそんな見たことないけど、ホンマ驚いたわ…。」 花びらを触ったり、茎にうっすらと生えてる毛も見つけた。 「――あっ!」 「――うわっ!」 ウルフウッドが触っているうちに、一本の花が折れてしまった。
「あぁぁ!!!カ、カンニンやっハニー!」 「もう、ダーリンったら…。」 焦るウルフウッドと悪戯を叱るような顔をしたミリィ。 やはり、はたから見れば、面白い組み合わせだ。
「…そやっ!」
と、ウルフウッドは何か閃いて、折れた花の付いた茎を手に取り、邪魔な葉っぱを取り、ミリィの髪の毛にさした。 「ちょい失礼っと…出来た!」
ミリィの茶色の髪の色に黄色が映える。 「あ・・・!」 ミリィはというと、腕に持ったほかの花を落とさないように頭のそれを触って確かめている。
「それで、許してとは言えへんけど、最初っからミリィに良く似合うなおもてな。」 「ウルフウッドさん…。」
先ほどまで吸っていた煙草を口に咥えていう。
「ホント、太陽のような花が似合うなぁ…!」
周りに煙草の匂いが漂う。 それと同時にミリィは微笑んだ。少し、照れて。少し、おかしな風に。 「な、なんや?」 「ウルフウッドさん…。この花の名前わかりますか?」 「知らんけど?」
ミリィは笑みをより一層深めて誇らしげに言った。
「――Sun flowerっていうんです。私の大好きな、花、です。」
空の青さと太陽の輝きで映し出された。
ウルフウッドは自分には眩し過ぎると思った。 けれど。 いつまでも照らされていたい気持ちもあって。 この娘に心底惚れているのだと痛感する。 「…ホンマ、ミリィのような花やな…。」
ミリィはこの花が一番好きだと自覚した この花のように、空の一点に、まっすぐに伸びて。 彼の元へ追いつこうと。 それが彼女の願い。
「…これ、ありがとうございます、ウルフウッドさん。あ、そろそろ日が暮れますね。先輩たち、まだかな?」 両手いっぱいの花を抱えてミリィは歩き出した。 「またトンガリのヤツ、昼寝してっからに…。」 その後ろからウルフウッドが追う。 「先輩たち、驚きますかね?これ見て。」 「普通驚くわいっ!」 「やっぱりそうですよね〜!」
いつしか日は傾き、二人の影は並んでいた。
fin
あとがき 農業選択草花な伊予のネタはもっから花です。ハイ。 ウルフウッドの関西弁はエセなのであしからずー!! しかも英語の題名は小学生でも和訳出来るお手軽さ!! …たまに自分の学力の低さを痛感します…(汗) いや、草花は一ミリだけ他の教科より良いですが! 読んでくださいましてありがとうございました。 2004 7 17 伊予 |
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