Is this the true dreams?
夕日が沈む頃、人間台風であるヴァッシュ・ザ・スタンピードはテラスの長椅子で夢見心地気分を味わっている真っ最中だった。 テーブルに置かれたマグカップの中身のコーヒーも温くなっている。
…平和、だなぁ…。
双子の太陽が段々と地平線に隠れていく。 夜の帳が落ち始めていた。
「――ニャー…。」 膝の上に腰を下ろしていた黒猫が、一鳴きしていなくなった。 代わりに、聞き慣れた靴音と気配。
「…まったく、毎日毎日こんなことしててよく飽きませんわね、この人は。」
そう言って、白いマントを少しだけまくって、メリルはヴァッシュの隣に座った。
少しだけ…タヌキ寝入りでも、してみようか…。
「……。」 少しの沈黙が続いた。もっとも、ヴァッシュはタヌキ寝入りをしているし、メリルは話しかけない。 あたりはもう暗くなり、風がほんのりと冷たくなってきた。
「――どうして、こんなにバカな笑顔で寝てるんでしょうね、貴方は。」 メリルの不満そうな声と共に、ヴァッシュは頬に何か触れるものをを感じた。 それが、メリルの手だと気づくのは容易い事。 「……ヴァッシュさん、起きてください。」
メリルの指先が離れようとしたその瞬間。
唇にやわらかい感触がした。
「…寝てるときにしか出来ないなんて、私ってばホント意気地なしですわね…。」 少し遠い宿屋の方から、ミリィの呼ぶ声が聞こえた。 「起こしてなんかしてあげませんから、もう…。……バカみたい、私…。」 そう言って、隣から気配が無くなった。
まさかこんなことをしてくれるなんて思っていなかったヴァッシュは顔を真っ赤にして目を開けた。 「……夢…じゃないよね?」 まだ微かに唇には甘い感触が残っている。 自分の右手で、もう一回触って、ヴァッシュは頭を抱えた。
「…バカなのは、僕のほうだよ…メリル…。」
その囁きは、夜空に浮かぶ三つの月にしか言えなかった。
fin
あとがき 結構久しぶりなカンジのヴァメリです。 寝込み襲いのメリルさんです。 …ごめんなさい。 そして、リク(笑)してくださったあけびさんありがとうございました(爆) あけびさん、よろしかったら持ってってください(爆笑) 読んでくださいましてありがとうございました。 2004 6 19 伊予 |
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