伝えたい想い

「君が好きだよ。だから追いかけてきたんだ、ナツミ。」
部活の終わりを告げるチャイムの中、キールは突然ナツミの前に現れ言った。
結界を通り抜けてきたためキールの体には無数の切り傷があった。
それを見るたび、ナツミは胸が痛くなるのを感じた。
「…キール…ッ」
「…ナツミ?」
まだ床に座っているキールの元にナツミはかがみ、もたれかかった。
頭がキールの胸板にトンッとつく。
「……あたしも…会いたかった…!ずっと…想ってた…ッ!」
紅い夕日が二人を照らす中、キールはナツミの肩を抱いた。
「カンパーイッ!!」
さて、うってかわってここはリィンバゥムのフラットのアジト。
今は、ナツミの帰還パーティーの真っ最中である。
テーブルにはリプレとペルゴの自慢の料理が置いてある。
「あの時はあんな別れ方だったからな、後味めちゃくちゃ悪かったぞ、ナツミ!」
「うん、ゴメンね、ガゼル。」
「アネゴ〜〜〜ッッ!!また会えてオレッちはマジでうれしいっす〜〜〜〜っ!!!」
「ちょっと誰ー?!ジンガにお酒飲ませたのー?!」
「ジンガ、おまえはこっちにこい。」
「何しやがる、エドス!ア、アネゴォォ〜〜〜!!」
「あはは〜!」
仲間の熱烈な歓迎にナツミは大いに楽しんでいるようだった。
と、ナツミのそばへレイドがやってきた。
「ナツミ、楽しんでいるかい?」
「あっ、レイド。うん、楽しんでるよ!」
ナツミはレイドに向かって極上の笑顔と手に持っているグラスをあげた。
「それはよかった。みんな、ナツミが帰ってきたからタガがはずれていてね。少しの無礼は許してくれ。」
「ええ、もちろん!」
「ところでナツミ、キールは?」
「キールは部屋で休んでるわ。まだ帰ってきたときの疲れが残っているみたいで。」
少し寂しげな顔でナツミは言った。
そしてレイドも真面目な顔でこういった。
「……ナツミ、君たちがこの世界にまた帰れたって言うことは何か………。」
「レイド!今は楽しみましょう!難しい問題は後!」
ビシィッとナツミはレイドの顔の前に指を指した。
「…ああ、そうだな。」
フッとレイドは苦笑した。
それを見、ナツミは置いてある料理を少し皿に取り分けた。
「あたし、キールの様子見てくるね。料理、少しでも持っていかないとアイツらに食べられちゃうし。」
テーブルの上はまさに戦場だった。
レイドはナツミが行ったのを見送ってから戦場の沈静にかかった。
仲間のざわめき(叫び?)が少し遠くに聞こえる。
ナツミは料理をこぼさないようにキールの部屋に向かっていた。
息を整え、ノックをし、そろっと入る。
「…キール、入るよ?」
返事はない。まだ寝ているようだ。
カタンッと料理を机の上に置き、ベットの横にあるイスに腰掛ける。
「…ナツミ…?」
「あっ、起こしちゃった?体の具合は大丈夫、キール?」
体を起こしながらキールは「いや、大丈夫だよ。」と答えた。
「軽い料理を持ってきたんだけど食べる?」
「ああ、ありがとう。後で食べるよ。」
ニコッとキールはナツミに向かって笑う。
(最初の頃は、こんなに笑わなかったなー…。)
「どうした、ナツミ?」
ボーッとしているナツミにキールは問いかけた。
それを聞き、穏やかな顔でナツミは返した。
「…最初の頃のこと、考えてたの。あの時は、あたしがこうなるなんて全然考えなかったなーって。」
テヘッとナツミは照れ笑いをした。少し、頬が赤く染まっている。
「−−僕もだよ。泣いたり、笑ったり、怒ったり、昔の僕じゃこんなこと出来なかった。みんなと...君のおかげだよ、ナツミ。」
「キール…。」
「君がいるから今の僕がいる。君に出会えたから僕は居場所を見つけられたんだ。…君を言う居場所を…ね。」
さすがにナツミはゆでだこになってしまった。
そして赤い顔のままナツミはこういった。
「…あたしだって、あなたに出会えたから今のあたしがいるの。最初は何がなんだかわからなくて不安で帰ることばっかり考えてたけど、あなたがいたから乗り越えられた…。ホントはね…帰った後ずっとキールのこと考えてた…。」
「…ナツミ。」
「だけどね、あたしわかったの。あたしの居場所はあそこじゃなくてここだって。キールだって…っ!」
突然、キールはナツミの体を抱き寄せた。座っていたイスが音を立てて倒れていく。ナツミの体にキールの暖かさが直に伝わってくる。
「−ナツミ、ずっと、僕のそばに…。」
突然のことで呆然としていたナツミだったがそっとキールの背中に手を回した。
「…うん…、ずっと、ずっとそばにいる…。キールのそばに…。」
二人の背中に回された手は二人の距離を縮める。
そしてお互いの想いが伝わってくるようだった。
                                           fin.
甘すぎて頭がイカレテマスv

あ、甘過ぎ………(うげぇ)なんて甘いんだ!!(泣)しかも文才ないし!!もう死にたいよぉ〜〜!!キルナツ、難しかったです。ええ、ネストリとだぶってるし;このお話は1のパートナーEDのあとで2のリンカールートまでのお話、みたいな感じで書きました。ま、まとまってねぇ………;;

2002 5 26 伊予

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