二人の空白
あの日から二年がたったその日、ネスティはトリスの元へ帰ってきた。
少し髪が長くなっていたけれど昔と変わらず、トリスに文句を言っている。
トリスはそれがとてもうれしくて昔と変わらない笑顔で返す。
「……お帰り、ネス……。」
「…ただいま…。」
その言葉を言った瞬間、二人の間には二年の歳月の長さとやっと会えた喜びがこみ上げてきた。そして二人とも笑顔になる。
アメルはそれを見ると突然、パンッと手を鳴らした。
「私、パーティーの準備をしてきますね!ネスティがやっと帰ってきてくれたんですもの。
先に小屋に戻ってますからね、トリス!」
そう言うとアメルはうれしそうに小走りになりながら坂を下っていった。
「あたしたちもいこっか、ネス。」
「ああ、そうだな。何か着るものがほしいしな。」
ちょっと恥ずかしそうにネスティは掛けてある布を引き寄せた。
それを見たトリスはクスクスと笑い、スッとネスティの前に手を差し出した。
ネスティも微笑し自分の手を重ねる。
「……ずっと、君の夢を見ていたよ……。」
「えっ?」
その手の温もりを確かめるようにネスティは話し始めた。
「暗闇の中、自分はもうダメだと思ったときいつも君の笑顔が僕を救ってくれた。
そのたびに僕はその暗闇に立ち向かえたんだよ、トリス。」
「ネス…。」
「君との約束と、この言葉を伝えに帰ってきたんだ。」
二人の間に優しい暖かい風が通る。その風に吹かれ髪の間からネスティをトリスは見るとドキッと胸が高鳴った。
「……愛してるよ……トリス…。これから、ずっと、一緒だ。君が嫌だといっても…ずっと…。」
その言葉を聞き、トリスは泣きじゃくりながらネスティにまた抱きついた。
「ネスッ!!」
「わっ…!ト、トリス…!」
「…あたし…あたし、ずっとネスが帰ってくるって信じてた…!泣いちゃったときもあったけどネスのこと考えて……!!」
「トリス…。」
ネスティもまたトリスを自然と抱き寄せていた。
「ありがとう…トリス…。」
「うん…!」
二人の瞳の中にはお互いの姿が映し出されそれを離そうとしない。
と、突然トリスはネスティを引き寄せ、耳元で小さな声で言った。
「…あたしも世界一、ネスが大好きだよ…!」
ネスティの顔が徐々に赤くなるのを見、トリスもまただんだんと恥ずかしくなっている。その恥ずかしさを隠すようにネスティの手を取り、引っ張るようにして歩く。
「…さっ、早くいこネス。」
ふっと振り向き、まだ少し赤い頬のまま太陽な笑顔で言った。
それはネスティが暗闇の中で見ていたトリスの笑顔。
ネスティも蔓延の笑顔で言った。
「−−ああ…!」
つながれた手を握り返し二人は坂を下った。
その夜、トリスたちが住む小屋に盛大なパーティーが開かれた。
もちろん、ネスティの帰還祝いである。
そこにはちょうど昔の仲間、世話になった人たちも着ていた。
と、そこへ二人の先輩、ミモザがやってきた。
「ネスティ、トリス!」
「あっ、ミモザ先輩!」
トリスが先にミモザの声に反応した。
「先輩、お久しぶりです。」
「ネスティ、やっと帰ってきたわね…。」
ミモザは二年ぶりに見る後輩に優しく言葉をかけた。
そして目が真剣になり話し始めた。
「…ネスティ、トリスはねあなたがいない間ずっと泣いていたんだから。幸せにしなきゃ許さないわよ…!」
ミモザの指がビッとネスティの顔の前に突きつけられた。
それにたじっとしたが一回、トリスの瞳を見、そして言った。
「もちろんです、先輩。」
それを聞くとミモザは満足げにニコッと笑った。
「よしっ!いい答えよ!」
ミモザが去るとトリスはネスティに告げた。やっぱり顔を赤くしながら。
「あたしを幸せにできるのは、ネスティだけなんだからね!」
ネスティはふっと笑みをこぼし、答える代わりにトリスの額に小さくキスをした。
トリスは真っ赤になりながらもそれを受け入れる。
まるでそれは二人に空白を埋めるかのように。
あとがきv

くは〜(死)どーして私が書くSSはこんなにも下手なんでしょうか・・・?うう、もっとうまく書きたいです。

これは昨年の12月2日にサモナイ2を全クリしたときに書き上げたものです。伊予恒例全クリ記念SSというわけですね☆(なんや、それ;)

内容的にはこうなってたらいいな〜って感じです。しかし、あのネスティさんの布はどこからでてきたんでしょうか・・・?木の光合成でできたの?(笑)

このSSを書いてから異様にミモザ先輩がお気に入りだったりしますv

2002、4、20 伊予

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