I teasted








「――リス!起きろ、トリス!!」

「はわぁあ?!」






耳元で叫ばれて、トリスは大きくベットから跳ねた。

耳がじんじん言っている。





「まったく。君はいつまで寝ているんだ。」




いつもいつも聞かされている言葉を少し上で聞いた。





「…ネスゥ…もうちょっと静かに起こしてよね…。」

「これくらいしなければ君は起きないだろう?トリス。」

「むぅ〜…。」

なんだか、この状況はいつかの旅の始まりの朝のようでちょっと面白かった。

そう思って、おかしくて、トリスは笑ってしまう。






「何を笑っている?早く着替えないと遅れてしまうぞ。」

「あ、今日ってたしか、パッフェルさんのケーキ屋さんに遊びに行くんだっけ。」

「遊びに行くのではなくて、ギブソン先輩が頼んだケーキを取りに行くんだ。」

ネスティは今日何度目かわからない溜息をつく。






その横で、トリスはいつものように着替える。

その間に、前パッフェルから貰ったチョコを頬張った。





「…トリス。いつも言っているが、少しは女性としてのだな…。」

「えー?いいじゃん別に。それにネスの前でしか着替えないし。」





さらっと自然に嬉しいことを言ってくれるな、と頭の片隅でネスティは突っ込んだ。

一応は目を逸らしているが、衣擦れの音が部屋に響く。

ネスティは頭を抱えるしかなかった。







そうこうしているうちにトリスはいつもの青の派閥の制服に着替えた。

着替え終わって、そのネスティの様子をトリスがみて。






ちょっと悪戯心に火がついた。








「ネス〜。ネスはさ、ケーキ好き?」

「は?」

「だからケーキ好き?」







上目使いで自分を見てくるトリスは可愛い。






「嫌いとか好きとかじゃないな…普通だ。」

「ふぅ〜ん…。じゃぁ、チョコは?」








トリスの手がいつの間にか、ネスティの手と絡まっていた。








「いや、それはまだ食べたことがないんだ。」









「――味、教えてあげよっか。」










「…え?」






トリスの笑みが深くなって、口付けされた。

バランスを崩して、トリスのベットに倒れた。

彼女の重みがかかって、それが心地よさを引く。

柔らかなものが入るのと同時に甘い、けれど少し苦い味が口の中に広がる。







「―――んっ。……どうネス?美味しい?」








充分に口の中に味が広がった所でトリスは唇を離し、ネスティに問いかけた。

その瞳は小悪魔のよう。








――――やられた。








顔を赤くしてネスティはそんなことを思った。






「…あぁ。そうだな、トリス。美味しかったよ。」

けれど、彼女のそんな行動がまた美味を呼ぶ。










「だけど。美味しいから…もっと欲しくなったよ、トリス。」

そう言って。












上に乗っていたトリスをベットに組し抱いて。

味を味わった。








あとがき。

この頃エロモードだったの危ないカンジになってしまいました…。久しぶりのネストリがこれってどうよ(え)

バレンタイン小説なのでフリーです。

ありがとうございました。

20050218 伊予