ハイヒール
「…ッ。」

(やっぱり、履き慣れないハイヒールで来ない方が良かったかしら…。)

シルクの赤いドレスに身を包み、紅色の履いているハーマイオニーがそこに居た。

今夜は何でこんな格好をしているかと言うとホグワーツから卒業して丁度一年になる。

そこで、マグル界出身のハリーとハーマイオニーがロンを呼んで夕食会を開くことになったのだ。

素敵な海辺の見える小さいけれどお洒落なレストランを予約していた。

「…ま、今夜は久しぶりにロンが来るんだし…しょうがないわね…。」

足首の痛さを我慢して再び歩き出した。



「…っと、これで良いかな?」

自室の鏡で着慣れないマグルの正装タキシードのネクタイを不慣れながら締めているロンが居た。

こちらも久しぶりに会うマグル界の友人のため、こうしているのである。

在学中との時と比べてものすごく大人らしくなり、今では町で歩いていると声をかけられるほどになった。

ただ変わらないのは赤い髪の毛だけ。

「ハーマイオニー元気してるかな。」

勝手に口から出る言葉に微笑みを返した。

「さてと、行くかな。」



「…何よ、私が一番乗り?」

待ち合わせ場所のベンチに着くとまだ誰も居なかった。

眼前には真っ黒い海。

風に乗って塩の香りが漂ってくる。

少し癖のついた栗色の髪の毛が風に舞う。

やはりまだ足首が痛むのでハーマイオニーはベンチに座った。



――少しは私、変われたかしら…

あなたのように。

いつも先を見続けていたあなたのように。



そんなことを考えながら何度目か知らない溜息をつく。

気づくと自分の前に誰か居た。

「――久しぶり、ハーマイオニー。」

ニッコリと微笑んだその人は、あの時と変わらない笑顔と赤い髪の毛だった。

「…えぇ、本当に久しぶりね、ロン。」

それにつられて自分でも信じられないくらい穏やかな笑顔で返した。



「…ハーマイオニー、変わったね。すっごく綺麗になった。」

「えっ…。」

さらりと言われたその一言が胸に溶け込む。


あなたも…すごく、変わったわね、ロン・・・


ベンチから立つとまだ足首は痛かった。

けれど、昔はいっぱいに顔を上げなければ見えなかった顔が。

今は、その距離が少し縮まった。

                                           fin

アトガッキ。

初ロンハー小説です。いや、やっぱりハリポタは読み込まなければいけませんね!魔法界に鏡は存在…するよね!(汗)一応設定としては卒業して久しぶりに会った愛しの人vみたいな?(爆笑)この小説の二人は在学中、相思相愛だったにもかかわらず付き合わなかったと(え)

読んでくださってありがとうございました。

2003 3 25 伊予

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