ターデンの町にて、子供たちと彼らの担任の先生が社会見学のため、赤の月の神々の神殿を訪れるのだった。

シャストア
〜解放と混乱を司る赤の月の主神。ガヤン神の片割れ〜

先生「次はシャストア様のことをお勉強しようかと思ってるのですが……」

シャストア神官「うわははははははははははははははははははははははは」

先生「あの声がする方に行ってみましょう」

生徒「いつもおもしろいしてお話をしてくれるおじさんだね」

シャストア神官「その通り。シャストア様は物語と伝承を司る神だけど、それだけじゃ誰もお話を聞いてくれないだろう?だからある程度の誇張や歪曲をも認めてくださっているんだよ。それというのも、昔々、<悪魔>戦争のころ……」

先生「(遮るように)そういったここに無いことによりいっそうの真実がある、というわけですね」

生徒「でも、なぞなぞみたいでよくわかんないときもあるよね」

シャストア神官「はじめはよくわかんないかもしれないけれど、よく考えてみると深い真実を隠しているわけさ。隠すといえば、影や幻もシャストア様が司っておられるね。幻といえば、この前、国都デューラーに行ったとき……」

先生「(遮って)シャストア信者の方は、詩人や道化師になられる方が多いですね。中には迷宮の設計者をしているなんて方も」

シャストア神官「自分自身の物語を作り出すために冒険をする信者もいるね。かく言う私も……」

先生「まだまだたくさん神殿を回らなければいけないので、これで失礼しましょう」

生徒「またお話をきかせてね」

アルリアナ
〜思い出の双子神の片割れ。サリカの双子〜

先生「今度はアルリアナ様の神殿に行ってみましょう」

 夜は妖しげな宿や酒場がにぎやかなのだが、昼のためにほとんどの店は閉まっている。

先生「ここでは、アルリアナ神官のミオさんにアルリアナ様のことを教えていただきましょう」

ミオ(黒板に筆談で)『よろしくなの』

生徒「アルリアナ様とサリカ様って本当に双子なの?ぜんぜん印象がちがうんだけど……」

ミオ(筆談で)『同じ思い出を司っていても、アルリアナ様は気まぐれと忘却を司ってるの』(一度文字を消して書き直して)『いろんなことを憶えておくのも大切だけど、忘れた方がいいこともあるの』

先生「サリカ様が天気を司っているように、アルリアナ様は季節を司っているんですよね?」

ミオ『そうなの。風は気まぐれだから、アルリアナ様は<とどまらぬ風の乙女>と呼ばれて、風を司っているの』『風は暑さや寒さをはこんでくるから、季節を司っていることになったの』

生徒「アルリアナを信じている人は、とっても強い人が多いけど、どうしてなの?」

ミオ『それは、ダルケスという格闘技を神殿で教えてくれるから、それを習っている人のことだと思うの。』『ダルケスの使い手は、素手で武器を持った人と互角にたたかえるほど強いの』

先生「アルリアナ様には、その他にもいろいろな側面があるのですが……」

ミオ『みんなが大人になってから教えてあげるの』

先生「というわけで、このへんでお別れしましょう」

生徒「ありがとうございました」

ミオ『どういたしましてなの』

タマット
〜知恵の双子神の一柱。ペローマ神の兄〜

先生「次はタマット様の神殿に行きましょう」

生徒「もう着いちゃったね」

タマット神官「いらっしゃい」

生徒「はたらくおじさん、はたらくおじさん、こんにちわ」

先生「タマット様は、ペローマ様と同じく、知恵を司っておられるのですよね?」

タマット神官「あぁ、そうだ。だが、タマット様は直感と感情を司っておられる。そこがペローマ様と違うところだ。判断に困ったとき、ぐだぐだ考えてもはじまらないだろう?だから、パッと行動して、そして考えるのさ。それがタマット様の知恵さ。『まず行動せよ。そして考えよ』ってわけさ」

生徒「どんな人たちがタマット様を信じているの?」

タマット神官「タマット様は直感だけでなく、幸運も司っておられるからな。傭兵や勝負師、それに商人といったところだな。運がほしいやつは、大抵タマット様を信仰している」

先生「タマット様にも、別の一面があるのですけど……」

タマット神官「子供はまだ知らないほうがいいってこともある」

生徒「そればっかりだね」

リャノ
〜環境の双子神の一柱、青の月のジェスタ神の片割れ〜

先生「いよいよ最後の、リャノ様です」

生徒「リャノ様はどんな神さまなの?」

リャノ神官「リャノ様が司っておられるのは、ざわめきと流れなんだよ。そこから大抵の人々は水を司っていると思っているね」

生徒「海や河を守ってくださっているの?」

リャノ神官「海には銀の月や彷徨いの月の信者がいるから、すべて守ってくれているわけじゃない。でも、河はリャノ様が守ってくださるところだね。そのせいで、船乗りたちはほとんどリャノ様を信じているんだ。それに、船の舳先にはリャノ様の聖印である鈴がとりつけられているんだ」

生徒「船乗りさんたちのほかには、どんな人たちがリャノ様を信じているの?」

リャノ神官「ざわめきを司っておられるだけあって、吟遊詩人が多く信じているな。そのほかにも、コックさんが信じていることが多い。これは、リャノ様が酒と料理を司っているからなんだ」

先生「それでは、このへんでお暇しましょう」

生徒「ありがとうございました」

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