PCの正しいいぢめ方

偽ユーリ「ほほう、よーやく我々にも出番が回ってきましたなあ」

偽バレリア「そなたの言う通りぢゃ。毎回毎回闇討ちを試みていたが……」

偽ユーリ「……全部失敗しましたな」

偽バレリア「くっくっく、しかあし、わあが軍には腐るほど増援部隊がいるのぢゃ」

偽ユーリ「全部隊に福引きをやらせたのが成功でございます」

偽バレリア「あの馬鹿者(注・バレリアとユーリのこと)は『ホンコン・マカオの旅』セットで海外に旅行させたから、当分は戻ってこないのぢゃ」

偽ユーリ「まあ、タクアンを桶ごと買って、福引き2000回しましたからね」

偽バレリア「では、いぢめ方を賢明なる読者諸君に教えるのぢゃ。まず、モンスターに合理的な戦闘をやらせるのぢゃ。包囲殲滅・各個撃破。これを徹底すればよい」

偽ユーリ「むろん、プレイヤーが『何でゴブリンがこんな隊形を組んで整然と攻撃してくるんだあ〜』と悲鳴を発した場合、『指揮官がダーク・エルフなんだよ〜ん』と答えることも忘れてはいけませんねえ」

偽バレリア「その通りなのぢゃ。他にもあるぞ。前方でモンスターに防御専念させ、PCがてこずっている時に後方から主力部隊を投入するのぢゃ」

偽ユーリ「シナリオを本格ミステリにして戦闘をカットするという手も効果的です」

偽バレリア「ひょ〜ほっほっほ、まさにそれこそサディスト・マスターの境地というものぢゃ。戦闘を期待して思い切りPCの戦闘技能を上昇させたプレイヤーにはストレスがたまるのお〜。それでこそ、楽しいのぢゃ」

偽ユーリ「盗賊ギルドに顔を出す度に、手数料をぼったくることも忘れてはいけません」

偽バレリア「ひしゅと〜りかる、ひしゅと〜りかる」

ひしゅと〜りかる:ヒストリカル(history<歴史>の形容詞)の派生語。くつるおか教徒(山口大学ボードゲーム研究会御出身の狂人ゲーマーである、くつるおか様が教祖とされる)が使用し、日本語訳では「我々人間では理解できない狂ったゲーム展開」という意味になる。

偽バレリア「それから、大昔の『ドラゴンマガジン』にもあった手ぢゃが、魔法の盾をPCの重要装備と取り替えて、プレイヤーが『ラッキー。タダみたいな値段でマジックアイテムを手に入れたY』と喜んでいるところへ……」

偽ユーリ「盾の効果を無視する装備をした敵を出すと」

偽バレリア「その通りなのぢゃあ〜。そして、『1日10ガメルでいいや』などとぬかしておる不遜な輩には『1日10ガメルというのは現代日本で言えば、大学生が昼まで寝て朝飯を食わずに昼はお好焼きですませ、晩飯はまずーい学生食堂で定食を食べるという生活なのぢゃ〜』と教育してやらねばなるまい」

偽ユーリ「PCの財布を軽くすればするほど、危険な依頼を引き受ける確率は上がるというもの」

偽バレリア「そして、報酬は当初PC1人当たりのように見せかけておいて、『実はパーティー全体でした』というオチも使えるのぢゃ。忘れるでないぞ」

偽ユーリ「むろん、報酬から『必要経費』と称して天引きすることも基本です」

偽バレリア「それでこそ、源泉徴収のサラリーマンの悲哀が理解できるというもの。とにかく、PCに金を持たせるといぢめるのが難しくなるのぢゃ」

偽ユーリ「だらだらダンジョンの利用法はどうですか」

だらだらダンジョン:マップの広さが4畳半もあり、セッション終了までに2、3日かかるようなダンジョンのこと(注・そんな狂ったダンジョンはない!)。

偽バレリア「だらだらダンジョンのう……単調な作業、すなわち罠発見・解除及び鍵開けを何十回もやらせて集中力が途切れたところで、神経を使う罠やモンスターを出すのぢゃ。これこそ、キラー・ダンジョンの極みよのう」

偽ユーリ「そーです。PCを1人ずつ消していって空しさを感じさせる。滅びの美学ですなあ」

偽バレリア「もちろん、初心者プレイヤーが卓に来た時にはロールプレイの難しいクラスを選択させるのぢゃ。その上で何の助言もせず、初心者プレイヤーを途方に暮れさせる。筆者も体験させられたことなのぢゃあ〜」

筆者の体験:4年前「ブルーフォレスト物語」を初めてプレイした時に、クラスが一般市民になった。そして、ブルフォレにおける「一般市民」の概念が理解できないまま、そのセッションは終わったのである。

偽ユーリ「今日のところはこの辺でカンベンしてやるのぢゃあ〜」

偽バレリア「偽バレリア様の言葉をお忘れなく」

(注・このような馬鹿者の戯言めいた譫言を信じてはいけない。よいこのみんなはきをつけてまねをしないでね)

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