ユーリ「やっちゃったみたいですねえ…」バレリア「それも、『SW 完全版』でのう。まさかこの歳になって自分の失敗でセッションを崩壊させようとは予測だにせなんだ、と筆者は悔やんどったが後の祭りや」
ユーリ「いわゆる『寅の讃岐の皮算用』ってやつですね」
バレリア「違う!」
寅の讃岐の皮算用:「男はつらいよ」シリーズでは1回だけ、香川県が舞台になったことがある。県の観光事業関係者は香川の宣伝になると期待したが、さぬきうどんやしょう油豆を寅さんがほおばるシーンはなく、タウン情報誌に「寅の讃岐の皮算用」と皮肉られた。マドンナは松坂慶子。なお、寅さんはウィーンにも行ったことがある。
バレリア「むしろ、『二束三文』やったな、筆者の場合」
ユーリ「コンベンションに金払って参加してる他のプレイヤーに迷惑かけたんでしょうねえ、やれやれ……」
バレリア「あんた、なんか勘違いしとるな。この男はGMやったんや」
ユーリ「はあ〜、また妙な文学趣味を盛り込んだんですか?」
妙な文学趣味:筆者が生まれて初めてTRPGのルール・ブックを読んだ時、「これでシェイクスピアの初期恋愛悲劇が卓上で再現できる!」と(心の中で)絶叫したことを指摘するだけで十分だろう。
バレリア「いや、そこからは抜け出したみたいやで」
ユーリ「ホントですかあ?『天路歴程』を一気読みするような人物が」
「天路歴程」:イギリスの作家兼宗教家であるジョン・バニヤン(1628〜1688) の代表作。敬虔なクリスチャンが万難を排して「神の国」に向かうという筋書き。第2次世界大戦における豪胆な米国・パットン将軍の愛読書でもあった。
バレリア「GMはな、戦闘バランスを完全に誤ったんや。パーティーが6人程度でその内3人は戦闘に特化しとると思い込んどった」
ユーリ「そりゃまた古い常識にとらわれてましたねえ」
バレリア「いや、そーゆーのとはちゃう。それ以前の問題や。4人しかプレイヤーがおらんと分かってから、シナリオの最終調整を全くやらなんだんや」
ユーリ「『ふざけるなあ!』と罵倒してやりたい気分ですね、僕的には」
バレリア「その『僕的には』は止めてくれんか。何だか気色悪いわ」
ユーリ「はいはい」
バレリア「『はい』は1回でええがな。それに、PCの総合的な生存能力見積もりを怠っとった」
ユーリ「でも、昔やった『数の暴力』とか言うタイトルのシナリオとはスタイル違ったんでしょ?」
「数の暴力」:筆者が11年前にSW旧版でやったセッションのこと。パーティーが石造りの宿屋に立てこもって妖魔・山賊連合軍と戦うというもの。プレイヤーの中にボードSLGゲーマーがいたため、何とか上手くいった。
バレリア「まあな、ダンジョン探索がメインやったし。とはいえ、中ボス戦闘とのシミュレートも不十分ってのはいかにもまずかったのう」
ユーリ「中ボス?ガーゴイルですか?」
バレリア「いんにゃ、スケルトン・ウォリアー」
ユーリ「それって中ボスじゃありません……」
バレリア「うちもそう思う。その上、そいつらはチェインメイル・アーマー着込んでショーテルまで装備していたんや」
ユーリ「相当強いマジック・アイテムがないと手こずるどころじゃないですよ。ただでさえ、スケルトン・ウォリアーって防御点高いのに」
バレリア「確かに。刃の付いた武器はクリティカルせんしのう。で、この時点でセッションそのものが崩壊してしまったんや」
ユーリ「で、他にもミスがあったんでしょ。聞きたくありませんけど……聞いておかなきゃいけないでしょうねえ、この雰囲気だと」
バレリア「まあ、確かに。プレイヤーは全部で4人やったけど、その内1人が高校生やったんや。断っとくけど、そのプレイヤーに責任転嫁する訳やないで。悪いのはあくまでGMや」
ユーリ「は?」
バレリア「その人はSWには不慣れやったってのに、GMはルール・サマリーを作っとらんかったんや!」
ユーリ「では今回はこの辺で」
(「戦場のピアニスト」には短砲身型4号戦車が出ていたので続く)