バレリア「戦争は国家の大事なり」ユーリ「は?」
バレリア「戦争は政治の延長である」
ユーリ「はあ!?」
バレリア「『孫子』とクラウゼヴィッツの『戦争論』にある名言やがな」
「孫子」:春秋戦国時代の軍事思想書。有名な割にはTRPGゲーマーはあまり読んでいない(少なくとも筆者の知る限りにおいては)。抽象的なので仕方ないか……。
クラウゼヴィッツの「戦争論」 19世紀プロイセンの軍人クラウゼヴィッツの著作。「いかにして戦争に勝つか?」ではなく、「戦争とは何か?」を考察した戦争哲学書。岩波文庫等で翻訳が出ている。筆者は上巻しか読んでいない。なお、小林よしのりの「戦争論」とは関係ない。
バレリア「うちが思うに、日本人は平和ボケやのうて戦争に飢えとるんやないか?」
ユーリ「そんなもの何ですか?」
バレリア「ほな、あんたは本屋で霧島那智の小説でも読んできまい」
霧島那智:粗悪仮想戦記乱造作家。読む価値はない。お笑いとして楽しむなら別だが。
ユーリ「読んできました。いやー、精強な旧日本軍は天地が引っ繰り返ってもアメリカやソ連やドイツに完勝するのかあ。でも、スロバキア公国とは戦いませんね」
スロバキア公国:ナチス・ドイツの傀儡政権。しかし、大戦末期には国防大臣自ら反旗を翻してナチと戦い、徹底的に非人道的な報復を受けた。
バレリア「ま、戦争を賛美しとるとしか思えん作家は別として、司馬遷の『史記』に出てくる呉起のことも忘れてはいかんのう」
呉起:戦国時代の軍人・政治家。楚(そ)の重臣となるもパトロンの楚王が没してからは不遇であった。
ユーリ「『呉子』の著者ですか。でも、さっき『孫子』について講釈たれたばかりじゃあ……」
バレリア「いや、『史記』のエピソードの方や。ある戦いの時に、傷が膿んで苦しむ若い兵士がおって、総大将である呉起自ら膿を吸い取ってやった。で、それを聞いた兵士の母が……」
ユーリ「感激したでしょうねえ。美談じゃないですか」
バレリア「あんたの頭は相変わらずところてんが原料やな。号泣した、と書かれとる。『あの子はどこで死ぬのでしょうか』と言って」
ユーリ「意味がよく分かりません。すいません」
バレリア「つまりのう、呉起はその兵士の父親にも同じことやっとるんや。で、その親父は呉起に心服して結局『名誉の戦死』を遂げてしもた。だから、母は悲しんだという訳や」
ユーリ「なるほど。でも、あんまりそーゆーことばかり強調してると『戦場ロマン』は駄目だという結論になりますよ」
バレリア「……あのな、うちは『戦場にロマンはない』とは言うても『娯楽としての戦場ロマンを楽しんではならない』なんて他のプレイヤーに押しつけるつもりはあらへん」
ユーリ「じゃあ、一体全体どういうことなんです?」
バレリア「『理解して、楽しむ』ゆうこっちゃ。バランス感覚を保つのが重要」
ユーリ「具体的にはどうすれば?」
バレリア「あんたもたまには自分で考えんかい」
ユーリ「『アンネの日記』を読むとか」
バレリア「あのな、あれは反戦書やのうて日記文学やぞ。あー、惜しいことをしたのう。長生きしとったらアンネ・フランクはノーベル文学賞取っとるわい」
ユーリ「じゃあ、どうすればいいんですか?」
バレリア「児島襄さん(故人)の『太平洋戦争 上下』(中公新書)や『ヒトラーの戦い』(全10巻 文春文庫)がええやろうのう。特に前者がオススメやな。分かりやすいだけでなく、中公新書なんで図書館でも手軽に手に入るのがええ。まあ、真珠湾奇襲の評価とか大陸打通作戦にふれてないとか少々『古いなー』と思わせる部分はあるけどの」
ユーリ「『大東亜戦争』じゃないんですね?」
バレリア「当たり前や!日付変更線越えて雷爆撃しに行って『大東亜』はないやろが。筆者は『アジア・太平洋戦争』と呼ぶのがベターと思っとるそうや」
ユーリ「でも、普通TRPGゲーマーの好きな『戦場ロマン』モノって第2次世界大戦とは何の関係もありませんよ」
バレリア「ガンダムの『一年戦争』はどこから見ても太平洋戦争のパロディと筆者は勝手に思い込んどる。『ザクの設計コンセプトは「ジーク」や!』と」
ユーリ「ああ、零戦のコードネームでしたよね」
(「ウインドトーカーズ」はなかなか良かったので続く)