偽RPGめおと漫才 プレイヤーのいぢめ方

 偽ユーリ「まずはファンタジーからですなあ。盗賊ギルドなんかに所属しとるキャラに『組合費納めろ』と半ば脅迫して所持金を巻き上げる。もちろん、これはコンベンションで1レベルのパーティに押しつけるべきであります。それも冒頭で。それにより彼らをより危険な冒険に駆り立てることも可能可能」

 偽バレリア「ひょひょひょ、お主もなかなか考えおる。しかし、『システムが要求するプレイスタイルにそぐわないセッション』を強要するのも愉快愉快。『BofA』で『あぶない壇ノ浦』をやるとかのう」

 「あぶない壇ノ浦」:タイトルはふざけているが、中身はいたって真面目。源平争乱を背景として、源頼朝と義経の葛藤を描いた力作。ちなみに、北条政子は美人で義経は美形。作者は「24年組」の内の福岡出身者。当たり前だが、殺戮者など登場しない。同シリーズに「あぶないシンデレラ」というのもある。

 偽ユーリ「『天羅・零』で本気になって日本の南北朝をやるのはどうでしょう?鎌倉攻略戦で副大将があっさり戦死するとか、湊川の戦いで足利尊氏が間接アプローチを用いて楠正成を包囲殲滅するとか、足利直義が護良親王を雑魚侍に殺させるとか。さあ、どうでしょう?」

 南北朝時代:関心のある方には、中央公論社の「日本の歴史 9」をお薦めします。また、2001年12月に法人化した「ゲーム・ジャーナル」にも筆者の記事が連載されています(宣伝)。同人誌版「ゲーム・ジャーナル」63号には付録ゲームとして名作「太平記」がついています。

 偽バレリア「南北朝では『突き返し』なぞないぞえ。その点でもいぢめやすいのぢゃ。キャラクタ−は新田義貞のごとく、射殺されるのぢゃ」

 新田義貞:1333年に鎌倉幕府を滅ぼした武将。後に足利尊氏と対立し、南朝の一翼(もう1人は北畠顕家)となるも、少数の騎馬隊で偵察中に射すくめられて戦死。南北朝時代に「突き返し」のルールがなかったことの証明である(冗談)。

 偽ユーリ「他にはどのような……。おお、それがしは『トーキョーN◎VA・R』向けのいぢめをたった今、一方的に思いつきましたぞ」

 偽バレリア「聞いてみようかの」

 偽ユーリ「ゲストの<動員>レベルを10以上にするのでございます。さすれば、トループの能力値と制御値は恐るべきものに……」

 偽バレリア「甘いのう。神業一発で沈むではないか。まあ、神業の使用数を減らすという程度の意味はあるが」

 偽ユーリ「ううー、ではクライマックス・フェイズにクロマク三重取りのゲストと戦わせるのはどうでしょうか?クライマックス・フェイズが豪華三本立てになる訳です。わっはっは」

 偽バレリア「悪くはないのぢゃ。しかし、『N◎VA・R』の神髄はリサーチ・フェイズにあるからのう。話は変わるが、あの評判の悪かったMAGIUSシリーズを無理矢理持ち込む手もある」

 MAGIUSシリーズ:ベテランゲーマー(もしくはそう自称する人)からは酷評されていた。筆者はさほど悪いとは思っていない。シリーズ後半に単なるキャラ・ゲーになったのは残念だが……。

 偽バレリア「『サイバーパンクやるぞー』と宣言して『MAGIUSサイレントメビウス』をやり始めるのぢゃ」

 偽ユーリ「『サイレントメビウス』はサイバーパンクでは?」

 偽バレリア「何を戯言を言うておるのぢゃ。あのゲームのデザイナーの山北篤は大のサイバーパンク嫌いとしてよお知られとる。第一、サイバーパンクなのなら何が悲しくて別世界の化け物とバキバキ戦うような目に合うのぢゃ。あれは近未来伝奇アクションぢゃろが。それはともかく卓に参加したプレイヤーはブウブウ言うやろの」

 偽ユーリ「キャラを金融業にからませるのは?」

 偽バレリア「そこそこの発想ぢゃ。ファンタジーなら『奴らは休日にも、利息を取る、という形で金を稼いでやがらあ』とNPCの大軍がPCを襲うとかのう。むろん、中世欧州における金貸しへの偏見など説明せずにの」

 偽ユーリ「『ナニワ金融業』辺りが参考文献になるんですかいな」

 偽バレリア「シェイクスピアの『ベニスの商人』でも良かろう。無茶な担保を取られて四苦八苦。愉快愉快。フランシス・ベーコンの『随想録』なんかも参考になるかのう」

 「ベニスの商人」:「金返せなんだら1ポンドの貴様の肉寄こせ」などというろくでもない金貸しの出てくる戯曲。で、その金貸しはユダヤ人だったりする。あのねえ……

 フランシス・ベーコンの「随想録」:十六世紀イギリスの政治家・思想家ベーコンのエッセイ。金融業、演劇、ノストラダムス(同時代人なのだ)批判等多岐に渡って書きつづられている。

 偽ユーリ「うーん、筆者もネタが尽きたようです。今回もこの辺で終わりかあ」

 偽バレリア「というよりも、最近のゲーム・システムの急速な進歩に筆者が充分対応できていないというのが真相だろうて」

(今頃になって「軽井沢シンドローム」を読んでるけど続かない)
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