ユーリ「『リドル』って英語でしたっけ?」バレリア「そや。つづりは『riddle』やったな、確か。けど気を付けまいよ。これって動詞にもなるんやで」
ユーリ「ほほお。なるほどね」
バレリア「そのセリフだけやとあんたも馬鹿には思えんな」
ユーリ「僕は三輪青午ですか?」
三輪青午:みわ・じゅうご、と読む。たがみよしひさ(本名:田上義久)の「なあばすぶれいくだうん」に登場する。脳みそが筋肉の探偵。
バレリア「ま、脱線はここいらまでやな。さて、このリドルというやつやが……中世風ファンタジー向けやね。『ブレイド・オブ・アルカナ』には不適切なように思うの。『BofA』を『予定調和』のTRPGやとみなしている人なんか特に。で、舞台が近現代になると、リドルより暗号をセッションに持ち込んだ方がええな」
ユーリ「『バトルクイズ52』は駄目なんですか?」
「バトルクイズ52」:「ゲーマーズ・フィールド」4th VOL6の48ページ参照のこと。
バレリア「うーん、あれって筆者は解けなんだしなあ。個人でやるならさして問題はないな。コンベンションやと困るのう」
ユーリ「何でですか?」
バレリア「コンベンションでは『時間が最大の敵』って前から言うとるやろが!リドルで詰まると、セッションの流れそのものが止まってしまうんや」
ユーリ「じゃあ、どうすればいいんですか?」
バレリア「他力本願やな、あんたは」
ユーリ「筆者は真言宗徒ですよ」
バレリア「どついたろか!?ま、腹を立てても仕方ない。リドルっちゅうんはのう、解かれることに意義があるんや。トラップと似とるな。トラップも発見・解除されんと意味なし」
ユーリ「ヤマなしオチなしイミなし、ですかあ?」
バレリア「筆者もあほらしいて注なんて入れへんぞ。リドルがシナリオにうまく組み込まれると、スリルが生じるんや。で、プレイヤーは普通、セッション中に論理的思考能力が低下しとるもんや。だけん、リドルは簡単なものか、正誤どちらでも構わんちゅうのがええ」
ユーリ「でも、ゲーム性が損なわれるじゃないですか?」
バレリア「TRPGが競技性を重視するゲームならその通り。けどな、TRPGはコミュニケーション・ゲームなんやで。そこんとこ忘れたらあかんな」
ユーリ「はあ」
バレリア「例をあげるわ。『三国志演技』やったかな。孟達がPCらに二者択一の問いかけをするんや」
「三国志演技」:たのあきら/FEARデザイン。「歴史のスキマ」型TRPGである。
ユーリ「そんなの皆でやっつけりゃいいじゃないですか!」
バレリア「それやったら、単なるパワープレイやろが!あっ、『パワープレイ・プログレス』のこととちゃうで」
ユーリ「じゃあ、何なんです?」
バレリア「孔明の兄貴が呉でからかわれた時、そのせがれが何と書いたか、と問いを発させてPC及びプレイヤーを困らせた」
ユーリ「それって二者択一じゃないですよ」
バレリア「下らんことは気付くんやな。ま、プレイヤーは考えこんだの。さらに、『時間制限5分ね』と言って、ちくま文庫の『三国志』を読ませたんや。ずい分困っとったな。けど、実を言うと答えが合うとろうが間違うとろうがどーでも良かったんや。単にPCに緊迫感を与えることだけが筆者の狙いやったっちゅうこって」
ユーリ「それが『正誤どっちでもええリドル』ですか。他にも何かいいネタありません?」
バレリア「まだやってはいないが、詰碁リドルってのも考えとる。むろん、三目ナガテやコウ争いやセキやオイオトシやダメヅマリや両アタリとかはやらへんで」
ユーリ「『ヒカルの碁』が好きな人ならチャレンジするかも」
バレリア「ゲーマーとかゲームデザイナーでそこまでやる人は鈴木銀一郎さんぐらいやろ」
ユーリ「それって暴論」
バレリア「どんなもんかの。と・に・か・く、単に難しいだけのリドルは百害あって一利なし。ハンフリー・ボガードのマネをしてハマキを吸う日本人のようなもんや」
ハンフリー・ボガード:名作「カサブランカ」で主演。共演はイングリッド・バーグマン。
バレリア「筆者の知り合いに因数分解(?)みたいなリドルぶつけてきた人がおった」
ユーリ「1991年のセンター試験で筆者は数学で81点でしたからねえ」
バレリア「それと今回のテーマは別やろが。分数とか円周率ぐらいやったら構わんかもしれへん。そやけど、サイン、コサイン、タンジェントはあかんやろ」
ユーリ「それだったら、セージ技能でチェックしたらいいんじゃないですか」
バレリア「それは昔、水野良さんが『ドラゴンマガジン』で書いとったなあ」
ユーリ「へ!?」
バレリア「結論から言うと、ダメダメ。プレイヤーが考える『楽しみ』を奪っちゃったそうや」
ユーリ「うーむ、勉強になりますねえ」
バレリア「分かっとんかいな」
ユーリ「今日はこの辺で」
(「白い花ビラ」は良かったので続く)