失敗したセッション:「トーキョーN◎VA」

 ユーリ「今回も笑いはとれそうにないですね」

 バレリア「筆者はサムイ冗談言うのがやっとの男やからの」

 ユーリ「で、何があったんです?」

 失敗したセッション:「トーキョーN◎VA」を遊んだことのない方にはやや分かりにくいと思われる。そのため、特殊用語を使うことは極力避けるようにする。でも、たいがいの人はN◎VA知ってるからわざわざ断る必要ないか……

 バレリア「コンベンションでの話や。筆者は『トーキョーN◎VA』のマスターをやっとった。ところが、シナリオに問題があったあげくに、マスタリングも最悪やったっちゅうていたらく」

 ユーリ「具体的には?」

 バレリア「まず、シナリオの方から始めよか。一つ、シナリオにPCらが『行動』をおこすだけの要素(注・依頼等)をほとんど盛りこんどらんかった。二つ、最重要NPCのデータを別用紙に記入せんとシナリオ用紙の隙間に書きこんどったので、データを確認する度にセッションが『止まる』結果を生んだ。三つ目はシナリオ作成に2週間程度しかかけず、情報収集のパートが練れとらんかったことや」

 ユーリ「うーん。でも、他にもシナリオ面でのミスはあったんじゃないですか?」

 バレリア「そやな。ほやけど、これ以上挙げているとページ数が足らん。ちゅう訳でマスタリングの方に移るで」

 ユーリ「はいはい」

 バレリア「『はい』は1回でええんや!本題に移るで」

 ユーリ「へいへい」

 バレリア「筆者はPCらに依頼を受けさせるべきパートをPCを集合させるために当てたんや」

 ユーリ「そりゃダメでしょう」

 バレリア「あんたの言う通り。ヒドイもんやで。そのせいで情報収集パートの進め方が完全にいかれてしもた」

 ユーリ「というと?」

 バレリア「あんなあ、このセッションはコンベンションで行なわれたんや。つまり……」

 ユーリ「『時間は最大の敵』という原則にこだわり過ぎたんでしょ?」

 バレリア「あんたにしては鋭いやんけ」

 ユーリ「はっはっは、こう見えても僕は何年も君の亭主をしてますよ」

 バレリア「ふーん、『女房と畳は新しい方がいい』という言葉はあんたには無縁なんやな」

 「女房と畳は新しい方がいい」:何か死語(もしくは旧語か?)のような気が……。しかし、これって差別表現とちゃうんか?

 バレリア「話をもとに戻すで。筆者は『こ、これでは時間切れになる』と焦って強引にセッションを進めようとした訳や。しかも、筆者は『ストーリーテラー型マスター』やったからな……」

 ユーリ「……」

 バレリア「本来ならTRPGにおけるストーリー作りはプレイヤーが主導権を握るべきやのに、マスターたる筆者がそれを奪ってしまったんや」

 ユーリ「何かコメントするのも嫌になりますね。そうなると、『種明かし』も筆者の独壇場になったということですか?」

 バレリア「そ。しかも最悪の事件が最後になって出てきた」

 ユーリ「はあ」

 バレリア「ラストにPCやNPCのその後についてフォローするパートがあったんやがな、筆者はPCをすっぽかしてNPCのその後をしゃべり始めたんや」

 ユーリ「怒られませんでしたか?」

 バレリア「もちろん、怒られた。謝ったけど、それですむ問題とちゃうわな」

 ユーリ「はあ……。ため息が出ますね」

 バレリア「まぁ、結局の所、筆者がN◎VAに求めていたことがデザイナーの意図から全くずれとったってことやな」

 ユーリ「というと?」

 バレリア「極端な表現を取るならばや、筆者はN◎VAにシェイクスピアを求めていたんやな。黒澤明でもええけど」

 ユーリ「でもそれって違うでしょ、N◎VA的世界とは」

 バレリア「気付いとったら、あんなひどいセッションにはならなんだな」

 ユーリ「じゃあ、今回はこの辺で」

(市川雷蔵の「忠直卿行状記」は傑作や!なので続く)

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