ユーリ「何か、前にもよく似た話をしましたね。『コンベンションにおいて最大の敵は時間である!以上!』でいいんじゃないですか?」
バレリア「あんなあ、それは『時間配分の重要性』の指摘やろ。今回は『時間配分の技術』、つまりテクニカルな問題や。そこんとこを忘れたらあかんで」
ユーリ「はあ、そんなもんですか。じゃあ、語って下さい」
バレリア「まずはシナリオ作りからやな」
ユーリ「え、そんなとこまで戻っちゃうんですか?」
バレリア「そ。コンベンションにおいてキャラメイクの時間を抜くと、セッションに費やせるのはたかだか3〜4時間。間に休憩をはさむともっと少なくなる。やから、その範囲内で片付けられるシナリオを作っとかんとな」
ユーリ「でもお、セッションの進行なんてプレイヤー次第じゃないですか。そんな予測立てられませんよ」
バレリア「ま、あんたは『王妃マルゴ』の調香師ルネとは違うしの」
「王妃マルゴ」の調香師ルネ:「王妃マルゴ」は「三銃士」で名高いアレクサンドル・デュマの大河小説の一つ。95年に映画版が公開され、調香師ルネ(頭のはげたおっさん)が毒薬つくりと予言(というより占い)をやっていた。これ以上知りたい方は原作を読むように。映画の方は原作を読むかフランスの宗教戦争の知識がないと何がなんやらさっばり分からない。
バレリア「ええか、ゆとりをシナリオに持たせるんや。つまり、時間があれば盛りこめるが、なければカットしても構わない部分をあらかじめこしらえておくんやな」
ユーリ 「うーむ、で、いざコンベンションに臨む場合は?」
バレリア「ま、ここは筆者が会長やっとる『Rの鉄人』を例として説明するわ」
「Rの鉄人」:「ゲーマーズ・フィールド」に載っちゃったので名前を知っている人もいるかもしんない。公共施設を借りて定期的にコンベンションを開くという、よくあるタイプのTRPGサークルである。
バレリア「まず、スタッフ集合が9時半。ま、遅れる奴もおるがの。で、セッション開始は午前10時……と言いたいところなんやが実際には10時半にズレる場合が多い。キャラメイクには1時間ないし1時間半かけることになる。ただし、作成時間は使用するシステムやプレイヤーの『慣れ』によってかなりくい違ってくるんや」
ユーリ「じゃあ、マスタ一は無力なのでは?」
バレリア「あんたはコピー機なる便利なものに着目したことがないんか?必要なチャートなんかは人数分コピーして準備するっちゅうことや。初歩的なことやで、ワトスン君」
初歩的なことだよ、ワトスン君:大昔のホームズ映画ではよく用いられていたセリフ。原作には存在しない。なお、シャーロック・ホームズは世界で最も多く映画に登場した人物である。個人的にニコル・ウィリアムソン主演の「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」をプッシュしておく。
バレリア「さて、『Rの鉄人』のコンベンションではセッション終了は4時半までとなっとる。破る卓も稀に生じるがの。それを防ぐにはラスボス戦闘、いや交渉でもいいんやが、とにかくクライマックスを3時前後に持ってくるよう心がけんとの」
ユーリ「なんでですか?」
バレリア「クライマックスは時間がかかるんや!それにエンディングも入れないとあかんやろが!」
ユーリ「でもお、3時半ぐらいでいいんじゃないですか?クライマックスとエンディングに1時間半もかかる訳ないし」
バレリア「そないな風に楽観的に考えてると墓穴堀るで。ええか、あんたはセッション終了後に感想を話し合うことの重要性を忘れとる」
ユーリ「は?ゲームが済んだらパーッとお開きでいいのでは?」
バレリア「この狐の息子が!およそ対人ゲームには交流が不可欠なんやぞ。あんたはコミュニケーションレスな世界に驀進するんかい!」
ユーリ「すいません、謝罪します」
バレリア「ほんまかいな。ま、繰り返すことになるが勝負の別れ目は3時や。そのためには2時前後の時点で進捗状況を把握し、3時にクライマックス・フェイズに突入せんとあかん」
ユーリ「難しいですね」
バレリア「(寅さん風に)それを言っちゃあおしめえよ。結局、常に批判的に自分のマスタリングをとらえていくことやな。筆者はそこらへんよお分かっとらんが」