ダンジョン・シナリオの利点と作り方

ユーリ「これもまた、ありがちな……」

バレリア「ありがちやけど、ダンジョンの作り方が下手な人は多いけんな。」

ユーリ「でも、今時ダンジョン・シナリオを積極的に作る人はいませんよ」

バレリア「確かに。しかし、上手にダンジョンを作るとセッションの進め方が楽になるんや。」

ユーリ「どーゆーことですか?単に筆者がネタに困ってこんなテーマを持ち出してきただけなんじゃあないですか?」

バレリア「あんたの発言の後半部分は聞かなかったことにしておこう。ダンジョンの中ではシティー・アドベンチャーやウィルダネス・アドベンチャーとは違って選択肢が少ない」

ユーリ「それで?」

バレリア「行動の選択肢が少ない場合、PCの次の行動が制限されるためにマスターはそれを予測しやすいんや」

ユーリ「よーするに手抜きですか」

バレリア「ちゃうちゃう」

ユーリ「犬の名前ですか?」

バレリア「……では、具体的に上手なダンジョンの作り方を説明するか。まず、そのダンジョンの造られた意義を決めておく必要がある。よーするに『何のためのダンジョンか』ということやな」

ユーリ「それだけですか。それにそんな面倒なこと考えなくても……」

バレリア「ほな、あんたは何のためにあるのやらさっぱり分からんダンジョンの方が楽しいっていうんか」

ユーリ「でも、『D&D』のDMにはパソコンで独自にダンジョン製造ソフトをこしらえて五分でてきとーなダンジョンを作る人もいましたよ」

ダンジョン製造ソフト:筆者の知人で実際こんなもんを作っている人がいた。手軽といえば手軽だが、構造に整合性のないダンジョンができてしまうこともままあった。

バレリア「話をずらしとらんかあ、あんたは。それにそーゆーやり方でダンジョンを作るとダンジョンをより無機質なものにしてしまう危険性があるからのう」

ユーリ「むきしつう?」

バレリア「温かさがなくなりかねんということや。まあ、大昔はそうした無機質なダンジョンでも問題がなかった、と聞くこともあるがのう。フレーバーに欠けると表現してもいいかもしれん。おどろおどろしい崩れかかった迷宮とかポップで陽気なお気楽ダンジョンとかいう風に雰囲気を演出するにあたっては無機質ダンジョンは適合していないと断言せざるをえんな」

ユーリ「そんなもんですかねえ。で、そろそろ技術的な問題についても話が聞きたいのですが」

バレリア「うむ、ダンジョンのみが舞台で時間がたっぷりある場合は一つ一つの部屋に扉をつけても構わんな」

ユーリ「何で条件つきなんですか」

バレリア「コンベンションのように時間制限があるセッションの場合はやったらいかん」

ユーリ「そーゆーダンジョンを作ってヒンシュクかったことがあるんですか?」

バレリア「筆者が高校時代のことやったかな。よりによって、『ウィザードリィ』の好きなマスターがこしらえたシナリオやったんや。おかげで、部屋はやたらと多いは、扉は各部屋ごとについてるは……結局、3時間かかってもラストのボスのところに行くのがやっとでくたびれただけやったな」

「ウィザードリィ」:超傑作コンピューターRPG(って言わなくても知ってるか……)。筆者は「1」の1階で挫折した未熟者である。

ユーリ「他には?」

バレリア「よく言われることなんやが、一発でPCがあの世行きになるようなトラップを作ったらあかんな」

ユーリ「盛り上がりも何もありませんからねえ」

バレリア「それだけやない。ダンジョンにおけるトラップの本質は『スリル』を感じさせ、プレイヤーのシナリオへの集中力を高めることにあるんや」

ユーリ「でも、それだとPCに甘くなるだけじゃあ……」

バレリア「危険性は否定できない。しかし、PCに余りに厳しく接することはキラーダンジョンを作ることになるだけや」

ユーリ「この記事書いてる筆者みたいですねえ」

バレリア「そうそう、95年に『ルーンクエスト90S』で……あれ?」

(「ゲーム・ジャーナル」は良いので続く)

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