システムから見る「三國志演技」のシナリオ作成法

ユーリ「こりゃまたカタイ話ですね」

バレリア「その通り。しかし、『三國志』(吉川三國志も含む)が好きな人は鯨夢工廠参加者にも多いけんな。無意味ではないやろ」

ユーリ「具体的な方向に話を持っていきましょう」

バレリア「うむ、まずデザイナーのたのあきら氏が今は亡き『ログアウト』で述べていたことを思い出そう」

ユーリ「その号を読んでない人も多いと思うんですけど……」

バレリア「否定はできんな。では、思い出したつもりで論を進めていこう」

ユーリ「はあ」

バレリア「たのあきら氏は『「三國志」が好きでTRPGを知らない人、もしくは「三國志」はあまり知らないけれどもTRPGが好きな人の両方に受け入れられるのが狙いで」という趣旨のことを述べている。つまりは、TRPGの底辺を固めると共に新たなジャンル(実際は「新しく」ないのだが)を開拓することが目的なんや」

ユーリ「で、それとシナリオ作成とどーゆー関係があるんですか?」

バレリア「つまりやなあ、デザイナーの狙いを把握してシナリオを練っていけ、ということやな」

ユーリ「でも、山北さんは確か『ゲーマーズ・フィールド』で『三國志演技』を『銀河英雄伝説RPG』に改造するルールを発表したって聞きましたけど」

バレリア「それは変化球やな。それも140キロで落ちるフォークぐらいの」

ユーリ「N○M○ですか?」

バレリア「伊○部かもしれんぞ。まあ、ええわ。とにかく、とりあえずはストレートでやるのがいい。いきなり変化球を投げると、その後のシナリオ作成に支障をきたすの。変化球シナリオを多発すると、そのマスターのカラーが周囲から固定したイメージでとらえられてしまう」

ユーリ「そんなもんですかあ?」

バレリア「そんなもんや。で、ここで『三國志演技』のシステムに立ち入ることにする。ゲームのデザイナーの狙いはさっきも言ったの?」

ユーリ「はい」

バレリア「相変わらずガウリィ君っぽいの。このシステムの基本ルールはいたって簡単。『ソード・ワールド』や『メガ・トラベラー』同様、2D6の上方ロールによる判定。戦闘ではHPなどという数値はなく、戦闘盤(ルール・ブックのカバーの裏側)で押し合いへしあいということになっている。シャトル・ゲージ・システムとも言われるがの」

ユーリ「話がテーマから少しそれていませんか?」

バレリア「それとらん、と思いたいな。戦闘ルールをよく読めば想像できることだが、このゲームでの戦闘は『豪傑の激突』を再現しやすいものになっている。で、強い武人キャラ1人対敵多数となると、ほんの一合や二合(他のゲームならターンもしくはラウンド)で強烈武人が戦場を一掃することになる。いわば、『マイトレーヤ』の弓兵が一万の大軍を釘づけにするようなもんやな」

「マイトレーヤ」:新紀元社から出たブックタイプRPG。戦闘はカードをうまく使いながら、ブラッディな展開を切り抜けることになる、らしい。

ユーリ「でも、それって『三國志演義』っぽいですよ。たのあきらさんはシステム構築に失敗したんじゃあ……」

バレリア「ちゃうちゃう。最も一般的な多対多戦闘のルールをよく読み返してみい。多少の誇張はあるが、『正史』っぽい戦闘が繰り広げられることになるんや。つまり、戦闘システムが『一騎打ち』から『小集団戦闘』まで可能とするようにできあがっとるんや。こうしたことを頭に入れて『三國志演技』のシナリオを作成する必要があるの」

ユーリ「やっと抽象論から脱却できそうですね」

バレリア「やかましわ。まー、シナリオ作成でまず考えておかないかんことは、管理者(「三國志演技」ではマスターのことをこう呼ぶ)が自分の頭の中で『三國志』をどうとらえているかを整理することや。そうしないと……」

ユーリ「どうなるんです?」

バレリア「『正史』と『演義』がゴチャゴチャになって、人物評価がおかしくなってしまう恐れがある」

ユーリ「じゃあ、具体的にはどうすればいいんですか?」

バレリア「まあ、ベストは『正史』と『演義』の両方を読んでおくことやな」

ユーリ「そんな無茶苦茶な!」

バレリア「分かっとる。学研の歴史群像シリーズあたりを読めば大体両方の記事が掲載されていて十分間に合う」

ユーリ「光栄では駄目なんですか?」

バレリア「ざっと目を通してみたけど使えるものはほとんどないな」

(がんばれペレス!なので続く)

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