マスターの楽しみ方〜シナリオ作り編〜

ユーリ「シナリオ作るのって面倒くさいですもんねえ」

バレリア「そやな。けど、まずこれを楽しんでいかないとマスターとしてセッション仕切れんやないか」

ユーリ「まーそーですけどー」

バレリア「何かノリが悪いの」

ユーリ「シナリオ作りって聞いただけで、頭痛くなるんですよ」

バレリア「いきなり挫折しとるの。ええか、シナリオ作りはめんどいけど楽しいもんでもあるんやで」

ユーリ「というと?」

バレリア「あんたは『物語』というものが嫌いなんか?」

ユーリ「はあ?」

バレリア「分からんやっちゃのう。シナリオ作りは小説の執筆とはまるでちゃうけど、『物語の素地を作る』ことやけんの」

ユーリ「あのー、小説書くのとシナリオ作りがまるで違うというのは……」

バレリア「小説は一見スタイルが固定しているようでまるで違う。大江健三郎の『万延元年のフットボール』でも読んでみまい」

大江健三郎の「万延元年のフットボール」:山奥の村で万延元年(1860)に起こった一揆と戦後間もなくの混乱と現代における主人公の弟の「革命」をからませながら、純文学の醍醐味を存分に味あわせてくれる傑作。

バレリア「あんたのせいで話が思い切りそれてしもたの。まあ、『物語作り』を楽しめる人やったら、シナリオはできる」

ユーリ「でも、ネタが……」

バレリア「ええねん、ええねん。そんなもんよそからパクってええねん」

ユーリ「デュマみたいですね」

デュマみたい:デュマは19世紀フランスの文豪。代表作に「三銃士」、「モンテ・クリスト伯」、「王妃マルゴ」があげられる。なお、「椿姫」(オペラにもなっている)の作者は息子の方(小デュマと称される)。で、デュマは「てめー、盗作しやがったな」と言われた時に「俺の方がおもしろい!」と反論したそうな。

バレリア「まーそれで、パクルのはええとして、やはりすぐに元ネタがばれるのは良くない」

ユーリ「あのー、言ってることが8月のコンベンション後で他のマスターから聞いたことばかりじゃ……」

バレリア「ま、そやな。じゃ、筆者のシナリオ作りとその楽しみ方についてしゃべっていこうかの。筆者の用いているのは『連想法』や」

ユーリ「どーゆーのですか、それは?」

バレリア「まず、パッと思いついてメモ帳に書きとめておいたネタを紙に書き写していく。で、そこから連想したことを次々に紙に書いていく」

ユーリ「ふんふん、で?」

バレリア「あんた、どっかでうちのこと馬鹿にしとらんか?まあ、ええわ。今に始まったことちゃうし。で、連想したことはたいがい最初のネタとはかけ離れたものなんやけど『使えるもの』をうまく選んで組み合わせる」

ユーリ「なんか、すごく手間がかかりません?」

バレリア「そーでもないぞ。筆者はシナリオを大体1週間以内で仕上げる」

ユーリ「無茶苦茶時間がかかってるじゃないですか!」

バレリア「ちゃうな。筆者はTRPGにさく時間を1日30分に限定している。つまり、長くても3時間程度ででき上がるいうこっちゃ」

ユーリ「でも、面倒なことには違いないでしょ」

バレリア「まーの。でも、さっきも言うたやろ。シナリオ作りは『物語の素地を作る』ことやって」

ユーリ「そこんとこがどうも」

バレリア「あー、脳みそがトコロテンの奴はこれやから困る」

ユーリ「『三つ目が通る』(by手塚治虫)じゃありませんって!」

バレリア「ふ、あんたには珍しいツッコミやな。話を元に戻すで。セッションは『物語が完成する』場や。まー、時々崩壊することもあるけんどな。で、シナリオはその素地、あるいは土台や。マスターは図面を引くようにシナリオを作ると言ってもええの。で、それは近日中に『完成するであろう物語』を頭に描きながらでの行為でもある。この空想を巡らす瞬間、これこそがシナリオ作りのおもしろさなんや!」

ユーリ「何か白熱しましたね」

(ハリウッド版「ゴジラ」には大笑いさせられたので続く)

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