戦闘における賢明な行動
バレリア「ま、最近のゲーマーはこれを忘れがちやの」ユーリ「仕方ないと思いますけどねー」
バレリア「それだけで片づけるな!TRPGにおける戦闘の目的は『生き延びる』ことやぞ。セッション終了後、パーティーが気がつくと全滅していた、では虚しいものがあるやろが!」
ユーリ「でも、TRPGはボードSGじゃあないし……」
ボードSG:ボード・シミュレーション・ゲームの略。「D&D」のもとになった「GREAT KINGDOM」もボードSGである。また、「ルーンクエスト」の原型はボードSG「ドラゴン・パス」(「ボードウォーク」辺りで入手可能)である。
バレリア「だからといって、愚かな戦闘をしたらあかんやろが。『熱血専用!』なら話は別やけど」
ユーリ「じゃあ、賢い戦闘って何ですか?」
バレリア「戦力集中、各個撃破やな。戦闘において戦力が劣っていても、通路や障害物を利用して局地的優位に立てば生き残る可能性がある。それから、陽動作戦もうまく使えば効果的やな」
ユーリ「抽象論でよく分かりません」
バレリア「物分かりが悪いやっちゃなあ。では、筆者のシナリオとそれを使ったセッションを取り上げておこう。これは40人を超す山賊とダーク・プリーストとPCが戦うシナリオや」
ユーリ「よ、よんじゅうにん?」
バレリア「そ。ただし、PCは石でできた家屋にたてこもっているという優位性があるんや。それに40人とはいってもリーダーが山賊とダーク・プリーストに分裂している。どおゆう展開になったか分かるの?」
ユーリ「少数精鋭をモットーとするPCの部隊が40人の山賊に突撃をかけ……」
バレリア「『ファイアー・エンブレム』みたいなことを言うな!まあ、あれはいいゲームやけど。つまり、石壁を利用して射撃戦を展開した訳や。家屋から平野に出ても包囲されるだけやけんな。で、当然親玉を狙った訳や、PCは」
ユーリ「何で?」
バレリア「山賊なんざ戦闘意欲が低いし、親玉なしで組織的戦闘ができるほど賢くないからのう」
ユーリ「うーむ。でも、敵も侵入を図ったんでしょ?射撃戦だけだとやられっぱなしじゃあないですか」
バレリア「むろん、筆者もそれは予定していた。家屋の正面の扉を破壊するという陽動を行って、山賊達がそのスキに裏口を突破するという変化球を投げたそうや。むろん、プレイヤーはこれを感知して撃退したがの」
ユーリ「それはあ、プレイヤーがバリバリのボードSGゲーマーだったという意味ですね?」
バレリア「ちゃうわい!場数を踏んだプレイヤーがいただけのことや。ま、それはともかく話をもとに戻すで。山賊側の被害が多くなったので、リーダーが2人いるという戦術上問題のある部分が拡大してしまったわけや」
ユーリ「解釈改憲論みたいでよく分かりません。やはり、ここは具体的に過去のデータを見直し……」
バレリア「何の話や!一言で片付けるなら、『仲間割れ』やな。PCは魔法で山賊の頭目とダーク・プリーストの口論を聞き取ったんや。まあ、この時点で勝利の女神はPCに傾きかけた、と言ってもいい」
ユーリ「ずいぶん厳しいセッションだと思いますけど」
バレリア「うちは『賢明な戦闘』についてふれているだけで、セッションの難易度を論じているとちゃう!PCは2人のリーダーの関係が悪くなり、射撃戦の結果戦闘意欲の低下した山賊達が組織的な武力行使をできなくなった状況で突撃をかけたわけや」
ユーリ「でも、僕だったらそんなシナリオぶつけられたら逃げ出しますよお。やっぱり戦闘は熱意とイデオロギー(死語)の白熱した衝突ではないかと……」
バレリア「今回のテーマの意義を否定するようなことは言うな!とりあえず、賢い戦闘についてまとめておくわ。さっきもゆうたけど、まずパーティーの戦力を集中させることやな。そして、敵の戦力を分散させる。その上で分散した敵を個別に撃破していく。これが大原則やな」
ユーリ「なんか、やっぱりシミュレーションのような……」
バレリア「テーマがテーマやからしゃあない。まあ、戦術を分析したいのならボードSGで遊んでみるのも一つの手やな」
ユーリ「でもお、今時日本語で遊べるボードSGってあります?」
バレリア「このボケ!国際通信社の『コマンド・マガジン』があるやろが!」
(モー様<萩尾望都の尊称>が賞もろたので続く?)