「天羅万象零」プレイレポート
地獄のぱあでれ黙示録

書いた人:広島大学SF研究会OB 上田洋一 GM:ドン・ペペロンチーノ

 零幕
 半妖(プレイヤーは「猫娘」だと主張していた)の盗賊風牙は仕事をすませた直後に短筒(ピストルのようなもの)を持った謎の白人に襲われ、仲間は即死、彼女自身は大けがをした。その白人は「ぱあでれ」(宣教師)であった……

 サムライの三田村忠政は乱戦の中、13人の部下を指揮していたが、短筒の一撃で壊滅した。生き残ったのは三田村と副組頭の重治(プレイヤーが勝手に名付けた)のみ。が、戦場からの離脱寸前、重治は黒衣の男の銃撃で致命傷を負った。三田村はその男が「ぱあでれ」だと気付くが、その次の瞬間肩を撃ち抜かれて気を失った。

 銃槍使いの黒炎は大大名九鬼良隆の50万を越す大軍の前で「明日なき戦い」を強いられていた。黒炎は堅固な城砦で防戦していたが、戦友は一人また一人と壮烈な死を遂げていく。そして、砦の前に「かある」大筒が配置され、その火力を発揮した瞬間、黒炎の櫓は粉々になり……薄れゆく意識の中、黒人の「ぱあでれ」が、
「でうす様に帰依せぬ異教徒は死ぬのデース」
 と言うのを聞いたのであった。

 一幕
 舞台は後藤勝猛の所領、江土。零幕から数ヶ月経過している。黒炎は砦が壊滅した後、落ち武者狩りを逃れて盗賊稼業に手を出し、捕らえられていた。しかし、その能力を買われて勝猛にとある破壊工作を頼まれた。なお、風牙と三田村も同席していた(「合気チット」を消費して「場」に登場)。
 さて、その依頼であるが……
 「かある」大筒をもしのぐ大大筒を据えるための九鬼氏の城砦が築かれるのを阻止せよ!というものである。噂では南蛮出身の「ぱあでれ」も関わっているとか……。「ぱあでれ」を憎んでいるPC達が拒む理由はなかった。

 二幕
 舞台は城砦の建築地点の近くに移っている。むろん、風牙、黒炎それに三田村は相手から見えない位置に潜んでいる。砦建築の進捗は順調そのもので、台座の部分から推定してもかつて黒炎のたてこもる砦を一撃で粉砕した大筒など話にならないほど強力であることは確認できた。
「これじゃあ、後藤家は大筒を見て九鬼のくそったれに降伏するぜ」
 くそいまいましげな様子で黒炎がつぶやく。
 と、その時、農民らしい人々が荷車を引いて、砦の中に何かを運びこんでいることに一行は気付いた。風牙と黒炎が静かに近付く(三田村も行きたかったのだが、「サムライは武器を持ってなくても目立ち過ぎる」と言われて待機)。そして、2人が農民のフリをして話しかけると、
 「んー、ミソとか大根を搬入しとるだよ。たこう買い取ってくれるけになあ」
 との言葉が返ってきた。また、短筒使いの2人の「ぱあでれ」が築城中の砦にいるということ、白人の方が「ホワイト」で黒人の方が「クロウ」という名だということも分かった。

 三幕
 二幕の二日後、後藤家に報告を済ませた三人の豪傑(「冒険者」という語がそぐわないのでこの語を用いる)は糧食搬入(どーでもいいことかもしれんが、天羅世界に納豆はあるんだろうか?)の途中で荷車の車輪が壊れて往生している農民らと出くわした。
「これはチャンスだにゃん」
 風牙が「猫言葉」(んなもんあるのか?)で言う。
 そして、三田村は黒炎の銃槍を預かり、またも待機。しかし、持っている情報をフルに活用して分析した結果、「ぱあでれ」が異教徒など蚊一匹の命より軽いという偏見と冷酷さを持っていると判断した(技能の<事情通>で判定し、成功)。
 一方、風牙と黒炎は農民のフリをして砦に侵入成功。その上で風牙は猫に化けてさらに潜入し、火薬庫を発見する。
「ここに火をつけるんだにゃん」
「うつけか、風牙よ。わしらも吹き飛ぶぞ」
 ここで一同集結し作戦を練る(合気チットを消費して登場)。それは火薬庫にロウソクを置き、時限信管代わりにする。そして、陽動作戦として「ぱあでれ」や九鬼の兵がいるところで暴れまくる……というものである。

 四幕
 さて、血戦である。サムライ化した三田村は兵士らをなぎたおしていく。風牙も怪しげな術を駆使して、またたく間に死体の山を築き上げる。
「はっ、弱いぜ!弱いぜ!」
 そして、黒炎は雑兵の屍を踏み越えて、2人の「ぱあでれ」と腕に「がとりんぐ砲」を取り付けた機人一人が近付いて来るのを目にした。
「邪悪な異教徒デース。死ニナサーイ」
「……」
 同時に短筒二丁と「がとりんぐ砲」、それに黒炎の銃槍が火を吹く。三田村は短筒の弾丸を刀で弾き返し、風牙は妖術で「ぱあでれ」を引き裂き、黒炎は十秒間に三発放つという離れ業(気合を消費して2回「追加行動」を取った)をやってのけた。かくして、勝負は一瞬にして決まった。気合を使い過ぎた三田村が<修羅>(PCがこれになると自動的にNPCになってしまう)になりかかったのだが……。
 かくして、九鬼家の野望と「ぱあでれ」の「天羅洗脳ぷらん壱」は挫折した。

 エピローグ
 大爆発の結果、肉片と金属のかたまりが散らばった砦の残骸……。野犬が腐肉をあさっていると、弾丸が犬の頭部を粉砕した。シュウシュウと煙をたてながら、倒されたはずの機人がゆっくりと起き上がる。
 そして……
「I'll be back……」
 という人工音声を発した。

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