〜デザイナーの高平鳴海先生に敬意をこめて〜
「大饗宴 サバイバー 孤島からの脱出」プレイレポート

書いた人:上田洋一

 注意!このプレイレポートは筆者のええかげんな記憶を中心に構成されているので「あれ、おかしいな」という点があっても笑ってゆるして下さい。

 PC並びにGM紹介
 パンチ 男性 30代後半(肉体年齢は20代)
 プロ野球・俺ックス青波の元野手。最近は富士テレビ系列の「ファーストフードスポーツ」などのバラエティ番組で活躍している。運悪く無人島に漂着したが、島中バンパイアだらけという設定の某漫画よりはマシだと思っているのかもしれない。 

 フライデー・丸山 男性 34歳
 筆者のPC。自称・フォトジャーナリスト。実態はパパラッチ。遭難した時の衝撃で愛用の「写る○です」が壊れてご機嫌斜めである。名前の元ネタはダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー」からなのだが、パパラッチらしさを強化するだけの結果となった。どうでもいいことだが、プレイヤーはソクーロフ監督のロシア映画「太陽」を極めて高く評価している。

 GM
 そんなものは基本的にこのゲームには存在しない。

 「サバイバー」、それは高平鳴海デザインの「無人島漂流・生存・脱出」をテーマにしたサバイバル・マルチRPGである。ただし、期限付き。1週間以内にイカダを組んで脱出するか、SOSのサインなどシグナルを飛行機や船舶に見つけてもらって救助されれば良い。で、1週間を過ぎてどちらも達成できなければゲームオーバーである。早い話が「餓死する」ということですね。「えー、魚釣って木の実かじってりゃいいじゃん」と言う方もおられるかもしれないが、この無人島では人間が長期間生活できるだけの環境は整っていないのである。「十五少年漂流記」のようにはいかん訳だ。ただし、このセッション(?)の場合2人用ルールが適用されるので故ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」のような「『バトルロワイヤル』先駆者状態」にはならない。

 パンチ「えーと、我々は無人島に流れ着いた、という所からスタート」

 フライデー「まずは水の確保ですね。えい!6出なさーい!ふむ、何とか2ポイント。これで明日の水はばっちりですよ」

 「サバイバー」では1日に必ず1ポイントの水を消費し、足りなかった場合能力値に大きなダメージを受ける。なお、能力値にはボディ(筋力や運動能力。以下、「B」)、センス(知覚力やカン。以下、「S」)、メンタル(精神力や知力。以下、「M」)があり、原則として何か行動する度に減っていく。回復する手段は事実上「食べる」しかなく、この島にはまともに食えるものはほとんどない。そして、能力値がゼロになることは「放って置くと死にますよ」を意味する。

 パンチ「じゃあ、獲物を求めるか。いいチップが引けますよーに」

 このゲーム、食糧捜索活動はチップ引きである。実際のセッションでは中の見えない袋に必要なチップを入れて引いた。もっとも、チップは食糧だけでなく「嵐が来た!」等のようなうれしくないイベント・チップも含まれる。むろん、引いてうれしいイベント・チップもある。なお、いったん引かれた食料やイベントのチップは袋に戻されない。つまり、食える数量には限度があるのだ!それはそうと、オリビア・ハッセーの年齢だけ戻してくれんかなあ。映画「マザーテレサ」の予告編観た時にガックリしたぞ・・・・・・。
 で、引かれたのは

 パンチ「アリかよ!」

 フライデー「できればクモの方が良かったですね」

 パンチ「大して変わりないぞ」

 フライデー「何言ってるんです!カンボジアではクモを油で揚げて砂糖をつけて食べるんですよ!」

 フライデーの言葉は「毎日かあさん」(西原理恵子・作 2007年1月現在、毎日新聞に連載中)の受け売りである。
 んで、この日は結局キャンプ設営とアリやナッツから成る貧弱な食事で締めくくられた。しかし、キャンプはたとえ1レベルでも無いよりはるかにいい。0レベルなら能力値にダメージを受けるのだから。
 さて、次の日。

 フライデー「お、流木を引きましたよ。ラッキー。ヤリを作ろうっと」

 パンチ「ん?それは、えーと、確か・・・・・・(ルールブックをめくり始める)」

 フライデー「SかMを1消費して・・・・・なんか、官能小説みたいなセリフですね(笑い)。『精神力』にしとけー!まあ、これで陸の生物を能力消費無しで捕まえられるよーん」

 本当に関係のないことだが、先日「失楽園」というタイトルの○○・セックスから始まる官能小説を新古書店で見つけた。105円だから、買うべきやったかなあ。

 パンチ「フライデー、ちょっと待て」

 フライデー「へ?何か悪いことしましたっけ?」

 パンチ「悪いかどうかは断言できないけど・・・・・・。それ作ったら2人分のイカダ作られんよ」

 フライデー「うああああ!しまったー!」

 フライデー、一生の不覚である。「お前の一生は何回あるのだ!」というツッコミは勘弁して下さい。
 「サバイバー」では「イカダが完成すれば自動的に島から脱出できる」のだが、こーゆー状況になるとシグナル・レベルを上げて「見つけてもらうまで待つ」しかなくなる。そして、レベルを最大の「3」にしても三分の一の確率でバッドエンドである。
 さて、1週間生きのびるために必死になるパンチとフライデー。なぜかと言えば、発見されるかどうかを決定する「最終判定」は7日目の終わりになされるからである。
 で、せっせと水集めをするフライデー。彼は体力に自信がないので、Bを消費しない「水捜索」向けなキャラなのである。
 一方、パンチは浴衣姿で演歌を熱唱することもなく、着実に獲物を捕獲していく。一番栄養のある野豚は得られなかったが・・・・・・。

 パンチ「ほら、イモ虫とカエルだぞ」

 フライデー「それ、食い物として何か間違っていると思います!」

 フライデーの言うことにも一理ないではない。イモ虫はそのまま食べるとMにダメージを受けるのだ。ただし、「調理」すればダメージを受けることはなく、能力値が回復するようになる。でもねー、イモ虫のおいしい調理法ってなんなのさ。ちなみに、筆者の居住している地域では大正時代に「食用ガエル・バブル」があったそうで、毎年夏になるとため池からは暴走族をも圧倒するほどの(誇張表現)、野生化した食用ガエル群のすさまじい鳴き声が響き渡る。
 さて、乏しい収穫を分け合いながらシグナル・レベルを上げようとしては失敗し、再度シグナル・レベルを上げよ(中略)、結果的にパンチとフライデーのSとMの能力値はガタガタになっていた。何しろシグナル・レベルを2以上に上げるにはSとMを消費した上で6面体サイコロを振って(場合によっては有利な修正が加わるが)「6」を出さねばならないのだ。
 ここで喜劇が起こった。よせばいいのにフライデーが食糧調達のチップを引いてしまったのである!

 フライデー「ああっ、『水タンクが!』チップ!」

 「水タンクが!」チップは貯めた水がゼロになるという、2人プレイでは最悪に近いイベント・チップである。オプション・ルールを採用していた場合は「人望」を低下させる効果も持つ。ま、このセッションではオプション使ってないからいーんだけど。

 フライデー「・・・・・・」

 パンチ「・・・・・・」

 その後、パンチが翌朝に必要なだけの水を集めて危機からは脱した。ルール的には能力値を減らした上でサイコロを振り、4以上出したということである。3以下なら激しい水争い(?)が発生するか、共倒れになるところであった。 そうこうする内に最終日は近付いて来る。問題は生命力が続くかどうかだ。 しかし、ここで

 パンチ「やったぞ。野豚を仕留めた!」

 さすがのチップ引き。「ロンメルアフリカ軍団」(GJ13号にて復刻。2007年1月現在では完売)をプレイすればサドンデス勝利疑いなしだ。いや、あのゲームでは「チップ」じゃなくて「チット」ですがね。
 なお、野豚を食べるとルール上、BとSが全員「5」も回復することになっている。うな丼10杯分?ぐらいか。
 かくして最後の日は来た。シグナルは最高の3レベルまで上げてあるので、1か2が出なければ大丈夫だ。もし「2以下」だとしたら?大丈夫、単に「最期の日」になるだけのことです。
 ダイス振りはやはりパンチに任された。そして・・・・・・

 パンチ「3!」

 フライデー「やったあ!」

 かくして2人はたまたま通りかかった漁船に発見されて救助されたのである。

 後日談
 この事件によりパンチは一躍「21世紀のロビンソン・クルーソー」として時の人となり、対談集「私はこうしてロビンソンした」まで出してしまった。なお、写真撮影を敢行したのは持ちカメラがデジカメに昇格した(?)フライデーである。

(映画「鉄コン筋クリート」は「水の家族」を連想させるものがありましたね)

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