アウル・エルドニール 男性 職業・貧農
最も「ブルフォレ」のルールに精通していた(プレイヤーが)ので、マスターたる 筆者は大変参考になりました。でも、あんまり貧農っぽくなかったような・・・。リュイラ・エルラッハ 女性 職業・貴人
「ブルフォレ」マスター歴ウン年の方がプレイヤーでした。ちなみにリュイラはレミ公国(今回のセッションの舞台。詳細については後述)出身。ゼルク・インシュバーン 男性 職業・僧兵
今回のセッションでは最大の戦闘力を誇っていた(ウェポンクラス「D」や「E」ばっかりのパーティーだったもんなあ。バトルロールも唯一「B」だったし)。ロウ・ハルク 男性 職業・遊牧
シティーアドベンチャーものなので、遊牧としての能力を生かすチャンスがなかった。(うまく話をふれなかった私の責任です)寡黙なキャラでした。でも、まーそこがいいんだよな、うんうん。
さて、いざ冒険の幕を開こう。
英雄を目指す者達の歩んだ道を再度踏みしめつつ……
マスター「えー、みなさんはアーカローン諸国の一都市国家であるレミ公国にいます。まだパーティーは結成されていません」アウル「あんなー、アーカローン諸候国っつーと、一種の連合国でな、『この地域で独自の国家を作っても構わんよ』という設定なんじゃ。『ソード・ワールド』でいうなら、ファーランドみたいなもんかの」
マスター「説明ありがとうございます、アウルさん。で、そのレミ公国なんですが、人口5万の都市国家です。農業は盛んでは無く、商業でなりたっている国です。交通の要衝に位置しています」
リュイラ「で、私たちはどこにいるの?」
マスター「とりあえず、レミ公国の首都レミにいます。で、レミの有名な酒場兼宿屋の1階で飲み食いしていると。まあ、そんな状況です」
アウル「よーするに、俺らは『冒険者の店』みたいなとこにおるわけやろ、 マスター?」
マスター「ま、まあそんなものですね。で、これから皆さんはなにをします?」
ロウ「……」
ゼルク「パーティーを組んでおらぬ故、拙僧としても動きようがござらぬ」
マスター(しゃあない、こっちから仕掛けるか)「えーと、アウルさんは貧農出身ですからお金もってませんよね?」
アウル「そやけど」
マスター「酒場の主人が『お客さーん、勘定おねがいしますよ〜』ともみ手しながら近付いてきますよ」
アウル「いかんのう、こりゃピンチじゃ。とりあえずパーティー組んで貴人さんに払ってもらうぞよ」
かくして、先行き不安もとい将来性未知数のパーティーが結成されたのであった。
酒場の主人(マスター)「そこにぺーぺーの冒険者向けの求人広告が貼ってあるよ」
リュイラ「ハローワークかしら?」
ロウ「……違うと思う……」
ゼルク「拙僧もそう思う。して、その求人広告はどこにあるのだ?」
マスター「壁にある。内容は、『芝居のため剣技の心得のある冒険者募集!群衆戦闘シーンにも是非!連絡は《ハイタカ亭》宿泊の芸人"槍振り"のウィレムまで』とのことだ」
アウル「おれはプロンプター(演劇で、物陰にいて役者にセリフをつける役)がええんだがのう」
ゼルク「ところでこの"槍振り"のウィレムとはどういう人物なのだ。我が宗派に背くものであれば、一向一揆を動員し……」
アウル「話をそらすのは感心できんぞ。第一、それやったら『信○の野望』や ないか」
リュイラ「あのー、マスター。酒場の主人に聞いて……」
ロウ「……情報料とられるんじゃ……」
アウル「そーじゃのー。さっさと《ハイタカ亭》にいこうで」
マスター(情報収集に金けちってからに……まあ、ここは致命的なもんやないけどな)「で、皆さんは《ハイタカ亭》に到着しました」
ゼルク「ちとモノを尋ねたい。この宿屋に"槍振り"のウィレムという方はおられるか」
マスター「そうするとだねー、隅の方で昼飯を食っていた中年のおっさんが『それはわしだがね』と言って立ち上がるよ」
ロウ「……求人広告をみてやってきたのですが……」
ウィレム(マスター)「おお、そうするとあんたらはホンマモンの冒険者なのですな」
アウル(ボソッと)「何かむかつくこと言いよるで」
リュイラ「とりあえず、詳しい話を聞きたいのです。報酬その他についても」
ウィレム(マスター)「ふむ、ここでは話しにくいな。別室をとってある。役者たちもそこにいるから、そこでじっくり説明することにしよう」
ゼルク「拙僧としては異議なし」
アウル「あんなー、ところでこの部屋の別室って、防音壁になってる訳?」
マスター「そ。で、その別室には10人ばかりの芸人たちがいるね。一人だけ女性がいる。そこそこ容姿が整っていて、ルージュという名前だそうだ。あ、ちなみにウィレムの姪だよ。年齢は20歳ぐらいかなあ」
リュイラ「で、具体的な仕事の内容や報酬はどのようなものですか、ウィレムさん?」
アウル「それからのー、どんな劇をやるんかも気になるんじゃ」
ウィレム(マスター)「ふむ、そちらのアウルという方の質問から答えていこう。廃公ライレ・テーについてはご存じか?」
ゼルク「拙僧は聖職者(予備軍)なれば宗教劇以外には関心ござらん。しかし、できる限りの記憶を探っていくことにいたそう」
マスター「じゃっ、皆さん、知覚判定×2で振ってみて」
知覚判定は注意力や感覚の判定である。「2」とあるのは、2回ダイスを振ってどちらかが成功すれば判定に成功する、という意味である。
ちなみに、この場面では「知識」の判定として扱っている。リュイラ「あらら、失敗」
マスター「いや、大丈夫。リュイラはレミ公国の貴人だから、よく知っている」
ロウ「……」
ゼルク「ロウ殿、少しは発言しないとおいしい部分を取られるではござらんか」
マスター「ま、リュイラと知覚判定に成功した人は分かるね。ライレ・テーというのは半世紀前までレミに君臨していた独裁者だ。最後は攻められて幽閉され、廃位されたんだ。ちなみに女性」
アウル「んで、ウィレムとかいうおっさんはなんでそんな話を劇なんかにするんだ?」
ウィレム(マスター)「うむ、よく聞いてくれた。テー廃公は確かに独裁者だった。しかし、今のレミ公国のレミ公にしても程度の差こそあれ、独裁者だな。が、それを直接に劇化するとたちまち首がとぶ。そこで、テー廃公を持ち出すことで間接的にレミ公を批判するつもりなのだ。そして、そのテーを演ずるのがルージュなんだ」
アウル「なるほどのー。で、ギャラはいくらじゃい」
ウィレム(マスター)「ルージュに剣技を教えてくれる方には日給15銀貨と3度の食事と宿代ですな。群衆シーンの稽古に加わる人は日給のみ多少減らして10銀貨とします」
アウル「俺はプロンプターやりたいんだがのう。それやといくらや。それに台本も見 せて欲しいの」
ウィレム(マスター)「それならば、日給は12銀貨です。台本の写しがこれですよ。よく読んでおいて下さい」
ゼルク「アウル殿、そはいかなるものぞ」
マスター「台本の内容は次のようなものだね。権力を生かして『上からの国内改革』を目指していたライレ・テーがしだいに『権力のための権力』を求めるよう になり、最後は追放されていた貴人とその連合軍との戦いに敗れ、半生を幽閉されて終える、というものだ」
リュイラ「まるで『平家物語』みたいですわ」
マスター(元ネタは実は違ってるんだが、気がつくまで様子を見ることにするか)「では、皆さん『感応』でロールしてみて」
感応を用いた判定は、本来「第6感」のようなものであるが、ここではあえて知覚判定のような使い方をした。
全員「しっぱーい」
マスター「あ、でもルージュさんは成功したみたい。『どこからか見られているような気がします……』」
アウル「でも、俺は知らんもんね。とりあえず、元の宿屋兼酒場に戻って荷物を持ってくるわ」
ゼルク「そういたそう」
かくして、仕事にありついた一行は上機嫌で荷物を取りに戻るのだが……
マスター「突然、君らの足元に矢が刺さる」
ロウ「……どんな?……」
マスター「狩人が使う狩猟弓だね。ちなみにウェポンクラスは……とっとっと、これは適切な表現じゃないな。武器と縁の無い貧民でも扱える飛び道具だね」
アウル「どーせ、矢文なんじゃろ。展開が見え見えじゃのー」
マスター「確かにその通り。で、手紙にはおそらく利き手で無い方の手で書かれたと思われる乱雑な文が書きなぐってある。『ウィレムの一団から手を引け R』ってね。で、この『R』ってのはレミ公もしくは彼が最近雇った道士(アドベンチャラークラス。このリプレイのPCよりも一段階上のクラスである。当然、それなりに強い)の頭文字だということがわかるねえ」
ゼルク「その道士の名は?」
マスター「リュイラは知っている。リリリという名の人物だ。ちなみに男性ね。で、君達がそうこうしてると、前方の暗がりの中から……」
アウル「マスター、もう夜なんかい。時間の経過はちゃんと伝えて欲しいのー」
マスター「申し訳ない次からは注意するから。で、現れるのは虚ろな目をした3人の冒険者風の男達。知覚判定×3で成功」
ゼルク「拙僧には余裕でござる」
マスター「どうも薬を飲まされてるみたい」
かくして、ろくすっぽ装備をしていないPCと3人の男との戦闘が始まった。双方ともそれなりのダメージを受けていたところへ……
マスター「衛兵さん10人余りが現場に駆けつけて来たよ」
アウル「おー、騎兵隊か」
マスター「で、隊長らしき男が『喧嘩両成敗!貴様ら、神妙に縛につけい!』って言う」
一同「嘘じゃろー!」
かくして一行は一晩の間衛兵詰め所の拘置所にたたきこまれた。そして、PCの釈放のため駆けつけて来たルージュまでも「怪しい奴だ!」というよく分らない(裏がありそうな)理由で同じくブタ箱に放り込まれたのである。
マスター「一晩たちました。例の冒険者風の男達は取り調べを受けていますが、皆さんは晴れて自由の身になりました。もちろん、ルージュさんもね」
リュイラ「勇敢な女性ですのね」
マスター「で、これからどーすんの?」
ゼルク「拙僧としては約束した通り荷物を集めて、ウィレム殿の所へ行くしかないかと」
アウル「そうやの」
マスター(おいおい、ウィレムとその周辺について何も調べないのか?情報収集は大事なんだが……やはり、こちらが動くしかないか……)「でねー、君らが宿を移る 身支度をしていると朝から酔っ払った冒険者達がウィレムについて何やら話をしているよ。
『ウィレムって芸人はレミ公からひどく嫌われているんだよな』とか、『ウィレムのおっさんはアーカローンでもNo.1の脚本家兼演出家だよな。ま、俺たちは酒を飲むほうが劇を見るより好きだけどよ』とか、『ここだけの話だけどよ、ウィレムは社会派演出家なもんでレミ公のような権力者は芝居を中止させたがっているそうだぜ』とか言ってる」アウル「どこが『ここだけの話』なんかのー、筒抜けやで」
マスター(だからあ、それはあんたらが情報収集しないからそうなったんだって)「で、これからウィレムの所に向かう訳だね」
かくして一行はウィレムの一座と共に熱心に舞台稽古に励んだのであった。途中、何者かが稽古用の細剣に毒の仕掛けをしておいてルージュが解毒のために寺院で治療を受けるというアクシデントがあったが、上演の2日前までは順調に稽古は進んでいた。
ところが……芸人の一人(マスター)「ウィレムの旦那がどこに行ったか知らないかい。昨日ポーカーをやって20銀貨勝ったのにまだ払ってもらってねえんだ」
リュイラ「さあ、あたしは知りませんわ。すぐ眠ってしまいましたから」
ルージュ(マスター)「ウィレムおじ様はどこ?明後日から上演が始まるというのに」
アウル「いい加減な奴だのう」
とりあえず、PCらはウィレムが帰ってくるのを待つ。ところが、半日近くたっても姿を見せない。
マスター「ウィレムの一座の面々はオロオロしてるね。で、そーこーしてるうちに、先日君らを襲った冒険者風の男達が謝りにやって来るね。どーも、彼らの話によると金で雇われた上に薬と思われるものを飲まされたらしい。その薬はレミ公国の隣国のリキュールの味がしたそうだ。
で、スラムに近い空き家のポーツネル・ハウスという所に連れていかれたことだけはよく覚えているとも言っている」アウル「依頼人は誰じゃい」
冒険者風の男(マスター)「なまりからして、このレミの生まれじゃねぇな。顔は隠してたもんでよく分らねえ。それに、薬のせいで前後の記憶が混乱していてなあ」
アウル「よーし、分かったぞ。今からポーツネル・ハウスに乗りこむんじゃ」
マスター(もうちょい情報を集めりゃ、楽なルートはあるんだが……まあ、いいや。少々痛い目にあってもらおう)「で、ルージュさんも『私も連れていって下さい!』と直訴するよ。この10日近くゼルクさんに稽古をつけてもらったんで、戦闘能力はそこそこ上がっている。それに、『死霊縛りの笛』というウィレム叔父のマジック・アイテムも持ちだしてくる」
ゼルク「効果はいかに?」
マスター「3D10匹のアンデッドを1戦闘中動けなくする」
リュイラ「素晴らしい!」
かくして、PC+ルージュはポーツネル・ハウスに侵入することと相成った。
ロウ「……なるべく足音をたてずに侵入していきます……」
アウル「おお、珍しく積極的な発言」
マスター「ロウさん、運動判定2のロールをして下さい」
ロウ「あ、失敗」
マスター「なら罠にはまったね。足に刃が突き刺さって何とか抜かない限り動けない」
ゼルク「拙僧が外すことにいたそう」
マスター「成功。ロウ君は右足に10点ダメージ。防具は有効」
リュイラ「作業判定で応急手当てするわね。成功」
PCは作業判定に成功すれば5点のダメージを回復させることができる。それにしても、ロウ(のプレイヤー)が罠に注意しなかったのはいかにもまずい。「D&D」の1レベル・キャラクターならとっくに死んでしまっているだろう。
その後、PC+ルージュは館の内部へと進む。かなりの豪邸だったので、広い部屋も多く、宝箱もあった。ルージュは「この際ウィレム叔父を探すのが先決ですから、宝箱など無視しましょう」と言ったのだが受け入れられず、PCの1人は宝箱の罠を作動させてしまい、半死半生の目にあったのであった。
アウル「どーも、このフロアが一番広いようじゃのー」
リュイラ「今度こそは気をつけて扉を開けることにしましょう」
ゼルク「うむ、まずは聞き耳でござるな。ロールしてっと……」
マスター「うん、中から骨がこすれあって生じるような音が聞こえる」
ロウ「……アンデッド……」
アウル「そやの。マスター、罠も調べるで」
マスター「ふむ、成功ですか。何も無いように感じたね」
リュイラ「これでルージュさんの出番ですね」
ルージュ(マスター)「アンデッドが何匹いようが、この『死霊縛りの笛』で行動不能にしてみせます!」
ゼルク「天晴な女性にござる」
マスター「じゃっ、扉を開くんだね?そーすると、20匹のガイコツ(ブルフォレでの「スケルトン」)とリリリという道士がいる」
リュイラ「20匹!ルージュさん、がんばってガイコツをつぶしてください!」
ルージュ(マスター)「17が出ました!」
アウル「よーし、この勢いやのー」
かくしてPCらの戦闘が始まった。ガイコツの大半を行動不能にされた道士リリリは計算が狂って動転したものの、さすがは道士、なかなか倒れてくれない。しかし、一行がガイコツを全滅させ(17匹は行動不可なので無視)、リリリも白兵戦に巻き込まれて傷を負う。そして、遂に降伏したのである。
重傷を負ったリリリを脅かして白状させると、彼はレミ公のご機嫌を取るためにウィレムらの芝居上演を妨害しようとした、ということであった。
ゼルク「これにより、拙僧らは大衆のヒーロー(旧語?)でござる」
アウル「そやな。やけど、こいつ(リリリのこと)はどうする?」
リュイラ「レミ公が隠蔽工作を行う前に、街中に噂をながしましょ」
ウィレムも館の一室から救出され、「ライレ・テー」は滞りなく上演された。レミ公はリリリに刺青(罪人である証明)を彫って国外追放し、一座に「レミ公国における永久上演許可状」を手渡した。かくして、事件は落着したのである。
付記
リュイラ「アイデアは良かったけど、マジに芝居するシナリオだったらよかったのに」