「ワルキューレ」
注意!このプレイレポートはアクト中に筆者が書きなぐったメモと記憶から再現されているので少し展開が変になっている恐れがあります。
キャストとルーラー紹介
冴村敬 カブト◎ カブト● タタラ
有能なカブト。しかし、同時に(アクトの必要上)有能なタタラ(鑑識)でもある。佐山勇也 トーキー◎ カブキ● フェイト
フリーランスの若手トーキー。しかし、今回のアクトで見事大スクープをものにしました。プレイヤーが敏腕ですもんねえ。佐藤木葉 クグツ◎ カゲ● チャクラ
千早重工後方処理課所属。「72時間戦えますか?」をフレーズに日夜トーキョーN◎XAを駆け巡る!(大変そうだなあ)。龍三雷蔵 イヌ◎ レッガー● カタナ
藤崎組の客分・雨宮千夏(「TND」P59参照)に一目置かれているブラックハウンドのちょいと粋なイヌ。なお、名前は「りゅうざ・らいぞう」と読む。クリノ・サンドラ フェイト◎ カゼ● カゼ
ゾクあがりの新米フェイト。推理小説を好む人物。「古畑任三郎ファイナル」SP第1話(2006年1月3日放送)を高く評価。独自の推理体系を持つことで有名。ルーラー
筆者。大のワーグナーファン。好きなオペラ演出家はハリー・クプファーとパトリス・シェロー、それに故ゲッツ・フリードリヒ。災厄の街トーキョーN◎XA。今日もまた新しい事件が起こる。それはメガシティとしての宿命であろうか。キャストらはそんな広大かつ複雑なN◎XAで華麗な神業を解き放つ。かくして、運命の扉は再度開かれる……。
オープニング・フェイズ
妙に空気がぬるっとした初春のある夜、愛車を事務所代わりにしている探偵クリノの前にフォント・江藤と名乗る40代後半とおぼしき男性のクロマクが秘書を伴い依頼人として現れた。彼は護身用銃器メーカーのツァウバー社女性副社長メリル・ツァウバーの死因を調査してくれと依頼する。公式発表は「自殺」だが、自分と婚約寸前だったメリルが自殺なぞする訳がないと言うのだ。その間、古今東西のミステリに精通しているクリノは江藤の秘書タナベ=ド・ユミに鋭い視線をはしらせていた。
そして、クリノを皮切りに、トーキーの佐山が「メリル副社長お別れ会」で余りにも誠意に欠ける追悼文を読み上げるメリルの兄カール副社長に疑念を抱き、ブラックハウンドのイヌ・龍三雷蔵はカールに反感を持つ藤崎組の客分から間接的に死因再調査を要請され、カブトの冴村敬はメリルが死んだ日にボディガードを務めていた悪友のカブト・二宮真悟の金回りが急に良くなったことをいぶかしく思い、千早重工後方処理課のクグツ・佐藤木葉は社長直々に「我が社とツァウバー社との業務提携交渉が無くならぬよう全力を尽くせ」と命じられた。かくして全キャストは「メリル自殺(?)事件」という一つの運命の輪に飛び込んでいったのである……。リサーチ・フェイズ
最初に動いたのはトーキーの佐山。まず、メリルが「自殺した」場所とその日の行動を確認。ルーラー「5日前にイエローエリアのN◎VA国際見本市会場のオペラハウスの女性用化粧室で死亡しているのが発見されました。その日、彼女は兄・カールと共に楽劇『ワルキューレ』を鑑賞していました。第3幕が始まってすぐに席を立ったとのことです。なお、兄妹は護衛にカブトを1人雇っていました」
佐山「ふーん、で、『ワルキューレ』ってどんなオペラなん?」
ルーラー「ぶっちゃけて言えば、双子の妹が兄の子を妊娠する話です。第3幕前半に彼女がそれを知らされるシーンがあります」
龍三「ルーラーの好きな某漫画から引っ張ってきたネタなんかなあ」
そして、龍三雷蔵はとりあえずカール・ツァウバーについて調べるのだが……
龍三「いかん、手札が良くない。達成値13!」
ルーラー「カールはツァウバー社の株を25パーセント保有していて、妹のメリルと同じく副社長ですが実質的には共同経営者です。社長は雇われの飾りですね。んでもって、カールは10年前までカブトワリとして生計をたてていたようですね。優秀なマヤカシだったという情報も手に入ります。北米系企業との関係を密にしたかったようです」
一同「げげっ!」
同じシーンにフェイトのクリノはフォント・江藤について調べる。どうも「依頼人が犯人」という推理小説の古典的トリックを想定していたようだ。しかし、江藤が怪獣映画ヲタクで律儀なクロマクであるということぐらいしか分からなかった。
ここでシーン転換となるのだが、その前に何者かが龍三に社会攻撃!
ルーラー「特殊技能と組み合わせて達成値は23」
龍三「防げる訳ねえだろ!失敗してカードを回す」
ダメージは8。龍三は〈コネ:雨宮千夏〉を次のシーンで使えなくなった。
シーンが変わり、冴村がメリルについて調べる。ルーラー「あ、その達成値なら分かりますね。彼女はツァウバー社の筆頭株主でもありまする(山田語みたいな日本語だ)。発行株の26パーセントを保有。なお、この女も昔はカブトワリでした。で、イエローエリアのゲテモノ寿司屋をひいきにしてますね。8年前に真教に入信しているという情報も入手できます」
ここでフェイトのクリノがつぶやく。
クリノ「つーことは犯人はカールか?会社の経営を一手に握るために妹を自殺にみせかけて殺した?うーん、それでは平凡な結末だ」
クリノはメリルの死について調査。
クリノ「ええっ、メリルは自社製の護身用拳銃から至近距離で発射された弾丸を頭に受けて即死だってえ!?んでもって血液からは新種の環境ホルモンが検出されたっと。しかも第一発見者は兄貴のカールかよ」
ルーラー「第二発見者はメリルの雇ったカブトです」
クリノ「そーかー、分かったぞ。犯人はそのカブトだ!実はカールはそのカブトのカゲムシャで、余りにも明々白々なやり方でメリルを殺させてカールを身代わりにするんだ!なぜかと言うと(以下略)」
龍三「ちょっと待て。そんなうさんくさいカールをブラックハウンドはちゃんと調べなかったのか!?」
ルーラー「そう思うのは当然ですね。次のシーンが〈イベント:ブラックハウンド〉になるのでちょっと待って下さい」
ここで千早のクグツ・佐藤も動く。
佐藤「念のためにメリルが妊娠していたかどうかを調べておきます。ふむ、その兆候はなし、か」
冴村「そりゃまあ、環境ホルモンが検出される状態じゃフツー子供は作れませんよね」
クリノ「しかし、それではトリックが幼稚過ぎる……。カールが妹のメリルに『兄の子を妊娠した』と思い込ませて自殺に追い込む……。カールはマヤカシだし……不可能じゃない。とはいえ……真教では近親相姦はタブーだから死ぬ理由にはなるかもな。でも、真教って自殺を認めてたか!?」
各自が色々頭をひねるが、「カールが犯人」と確信するには至らない。
なお、このシーンが終わるとクリノに社会攻撃が加えられた。幸い、大したダメージは受けなかったが。
そして、次のシーン。このシーンはさっきも言ったようにイベントである。龍三はブラックハウンドの鑑識と接触して死体発見時のカールのIANUSデータコピーを受け取る。龍三「調べたいけど、龍三は〈電脳〉レベルが低いんだよなあ。スートも合わねえし」
クリノ「そういう時はどこかでタタラかニューロを調達すればいいんですよ、龍三さん」
この間、クグツの佐藤はゲテモノ寿司屋について調べる。
佐藤「なるほど。イエローエリアのゲテモノ寿司が好物だったのはメリルであってカールはついてきただけですか。環境ホルモンの摂取はやはりここからかな?うさんくさい合成魚肉使ってるように思われますからねえ」
舞台裏ではトーキーの佐山がフォント・江藤について洗う。江藤は藤咲組に好意的でカール・ツァウバーとは違ってカーライル・シンジケートを嫌っていたことが分かる。
龍三「これで江藤はシロだろーな」
クリノ「いやいや、あの秘書が怪しいんですよ。それはともかく、冴村敬というタタラに話をつけて例のデータを洗ってもらいましょう」
かくして2人は冴村と交渉してカールのIANUSデータを解析してもらう。
冴村「ああ、目標値の最高が17なんですね、ルーラー?じゃあ、〈タイムリー〉でビシッと!こんなこともあろうかと私は最新の解析機を調達しておいたんですよ」
ルーラー「……それなら、ルーラー的にはちょっと悔しいけど、分かります。このデータは改竄されてますねえ。カールがゆっくりとメリルのポケットロンを拾い上げて妹が『私はゆるされぬ罪を犯しました。兄の子を宿したのです』と打ちこんだ遺書の後半部を冷静に抹消した映像レコードが、彼が狼狽しながら妹の身体を揺さぶり彼女が『私はゆるされぬ罪を犯しました。遺産はレッドエリアの方々に分配して下さい』と打ちこんだ遺書の後半部を大あわてで抹消したという映像レコードに変えられています」
クリノ「これで決まりですね。ま、でも、なんか釈然とせんのですけど、とりあえず後は例のカブトと江藤とかいうおっさんの秘書をふんじばれば……」
佐山「あのー、一ついいかな?例のカブトと誰かアクトコネ持ってたでしょ。それにそろそろクライマックスだろうから5人そろってチームを組んでおきたい」
佐藤「例のカブトとのアクトコネ?ああ、冴村クンが持ってるじゃあないですか」
かくして一同はうさんくさいカブト・二宮真悟のマンションに向かった。ただ、5人でいきなり訪問するのは警戒される(特にブラックハウンドのイヌ・龍三)だろうから、ドアの前に立つのは冴村のみ。そして、佐藤と龍三がクリノの愛車に待機。トーキーの佐山は中距離(15〜50メートル)から〈隠密〉しつつカメラを構えた。いやー、トーキー魂だなあ。
冴村「コンコン。二宮、いるかあ?」
ルーラー「すると二宮らしき人物がドアを開けるね。〈知覚〉で判定。目標値17」
冴村「失敗!うわー、やな予感」
二宮らしき人物(ルーラー)「あたしが二宮だってえええ。Der Tod liebt dich!(直訳:死は君を愛す)」
かくてここからカット進行に移る。が、この二宮に化けていた職業的テロリストは斬魔刀を振り回して冴村を襲うもののダメージを与える前に……
佐山「精神戦でーす。そっちは抵抗失敗?じゃあ、ダメージ17」
ルーラー(うぎゃー!)「チャクラの神業を使います!」
このような的確かつ強力な精神攻撃の連打で、肉体戦に移行する前に敵ゲストAは神業を使い尽くし無力化したのである。かろうじて脳内爆弾を爆発させて自らの犯罪の痕跡そのものを消去する(〈不可触〉使用)ことには成功しましたが……残念!
ルーラー「くうっ、まだ敵はいますよ」
龍三「すまんが、ルーラー。これってクライマックス・フェイズだよな」
ルーラー「おおっ、すんません。忘れてました。もうクライマックス・フェイズです」
クライマックス・フェイズ 武装ヘリに搭乗したカールとメイド風サイバーサイコとがキャストに攻撃を仕掛けてくる。それに対して敏腕トーキーは……
佐山「ばっちり撮影します。馬鹿です、こいつは馬鹿です!ということで〈真実〉!」
ルーラー「くう、ではカールはマヤカシの神業で〈守護神〉」
佐山「〈守護神〉では〈真実〉は打ち消せませんよ」
ルーラー「あっ、そうでした。じゃあ、ヘリから大きな声で叫びますね。『その通り!俺がこの事件の黒幕だ!ツァウバー社とカーライル・シンジケートとのつながりを強化するためにはメリルが邪魔だったんだよ!』と」
一同「こいつ、馬鹿だ!ほんとに馬鹿だ!」
ここでカールはバルカン機関砲(?)を腰だめで撃ちながら(ほらあ、ナウシカも似たことやったてたし、某田中芳樹氏の小説でもヒロインがウェディングドレスかなんかから軽機関銃取り出してたからできるということで!)冴村に〈とどめの一撃〉を放つも〈難攻不落〉であっさり防がれる。
実を言うとカールは神業のみ持つゲスト(というよりエキストラ?)だったので、まともに白兵戦できるのはメイド風サイバーサイコのみ。そこへトーキー・佐山からの精神攻撃を受けまくってカールらはあっさり降伏したのだった。もっとも、サイバーサイコは 「あたしゃ、こんな格好は嫌だったんだよお!」
とかわめいていたので色々不満はあったようだ。
その後、武装解除した彼らをとりあえず龍三の部屋まで連れて行き、そこを即席の取調室にする。龍三「貴様はなぜ妹殺し、いや自殺幇助など企んだんだ?貴様の才覚をもってすれば無血で過半数の株を取得できたんじゃあないのか?」
カール(ルーラー)「ま、おもしろいからだよ。ゲーム感覚とでも言うのかな。でも、この事態は想定外でしたね」
一同「ホ○○○ンかよ!」(自主規制済み)
その後、龍三が〈制裁〉でカールを社会的に抹殺し、事件は終息を迎えたのである。
えっ、二宮千夏?彼は〈完全偽装〉で姿をくらましてしまいましたとさ。エンディングフェイズ この事件の後、ツァウバー社と千早重工との業務提携は極めてスムーズに進行し、それは千早の弱点である小火器類の技術力向上に役立つことになった。トーキーの佐山は大スクープを手にして一躍メディア界の寵児となり、クグツの佐藤は社長からますます信頼されるようになったのである。カブトの冴村はメリルの友人からお礼の品として高価な指輪を受け取り、イヌの龍三は藤咲組からスキヤキを半人前買えるほどのギフトをもらった。そして、フォント・江藤から依頼を受けていたフェイトのクリノは天然小麦粉から成る讃岐うどんをおごってもらったのだった。
ただし、冴村はカブトの風上にも置けない二宮への鉄槌を忘れた訳ではない……蛇足 ルーラーたる筆者が帰宅してテレビをつけると「ホ○○○ン逮捕!」のテロップが!ああ、現在こそニューロエイジなんだね。うーむ。 注:このアクトは2006年1月22日に行われました。