ドラゴンウォーリアーズプレイレポート

「ノーハムの塚人」

書いた人 上田洋一

 注意!このプレイレポートは「ドラゴンウォーリアーズ」(創元)のルールブック付属シナリオを用いたセッションをもとにして作成したものです。付属シナリオをプレイヤーとして楽しみたい人はこの記事を読むべきでないでしょう。

 GM及びPCとNPC紹介
 GM  「D&D」を初めとする第1世代系で役割演技(キャラクター演技ではない)重視型TRPGと「バンパイア・ザ・マスカレード」をこよなく愛するゲーマー。実はボードゲームも好き(筆者としてはそれがボードSLGでないのがちょっぴり残念・・・・・・って今回のプレイレポートとは関係ねーな)。

 フェイ 人間 女 メイジ(ミスティックだったかもしんない) ランク・1
 生命力が低く、魔法使い系であるためイマイチ活躍できない・・・・・・ことは全くなかった。既にこのゲームをプレイした経験があったためである。

 クークリス 人間 女 ナイト ランク・1
 「DW(「ドラゴンウォーリアーズ」の略)」の世界設定では女性騎士は珍しいらしい(GMの説明による)。ま、それはともかく生命力決定の際には低い目を振ってしまった。しかし、ラスボス戦闘ではビシッと決めてくれました。

 ゲオルク 人間 男 バーバリアン ランク・1
 筆者のPC。黒一点。生命力、肉体の能力値は高かったが知力が低く、頼りになるのは戦闘の時だけという情けないバーバリアン。「コナン」と名付けなくて良かったと筆者はセッション終了後、胸をなでおろした(「コナンと髑髏の都」しか読んでないけど、コナンって脳みそ筋肉男じゃねーよな)。

 ベイリー 人間 男 ナイト ランク・1
 NPC。黒二点。‘血に飢えた’ベイリーと呼ばれるがアブナイ奴ではない。むしろひとなつっこい好漢である。だが、正義感が強過ぎるのが玉に瑕。


 ここはどこぞの異世界。どうも12世紀ルネッサンス前後のヨーロッパっぽい世界らしい。

 12世紀ルネッサンス:12世紀のヨーロッパにおいて起こった「文芸復興運動」のこと。中世は必ずしも暗黒ではなく、ルネッサンスは中世以降の話だけではないのである。ただし、民間レベルに広まる以前にペストの流行(だったっけなあ)等で頓挫してしまった、とか以前習った。

 PCらは周辺を治めるベオルン男爵から収税人・ハラルドの行方と彼が携行していた剣を捜索するよう依頼される。

 フェイ「GM、ベオルン男爵ってどなな人かいな?」

 GM「これ」(と言ってイラストを見せる)

 フェイ「う、ケイブトロウルかウルク・ハイみてえやなあ」

 クークリス「ま、まあ、アメリカのゲームですから。日本製なら彼は間違いなく悪人でしょうけど、ね?」

 GM「いや、これイギリスやで」

 ゲオルク「で、ハラルドが行方不明になったのはどこなんです?」

 収税人は森の中に消えてしまったとのことである。男爵は細かいことは説明せず、前金で銀貨50枚を手渡す。むろん、この金は装備調達に活用された。
 途中、‘血に飢えた‘ベイリーが「助っ人NPC」として一行に加わり、収税人・ハラルドが最後に目撃されたノーハムの森近くの村にたどり着く。
 ここでクークリスは聞きこみを開始するが、村人はなぜだか妙に非協力的である。ベオルン男爵は領主としては嫌われているらしい。
 それでもフェイ(のプレイヤー)はその話術を生かして
 「あの森にはモンスターがいるぞなもし」
 「ハラルドの後を強げな2人の野郎が追っとったが」
 という情報を得た。
 かくしてPCらはノーハムの森に乗りこんで行く。足跡をつけながらしばらく進むと鉄製の柵がある。そこをよく調べてみると血のついた衣服の一部(?)がひっかかっている。

 ゲオルク「まあ、ようするにこの柵を乗り越えて中に入るということなんですねえ」

 GM「それはともかく柵には黒い十字架がかかっているよ。チェックして」

 ブレイン・マッスル男の某ゲオルク以外は全員成功。どうも何かの封印らしい。そして、一行は十字架に触れぬように柵を越えた。
 さらに進むと妙な暗号(?)が彫られた石碑があり、それを動かすと中に聖遺物がある。

 聖遺物:聖者の遺骨のこと。仏教で言えば「仏舎利」のようなものか。

 ほくほく顔でそれを手にしたフェイ。神の力に敬意を表すクークリスとベイリー。事態がよくのみこめずにポーッと突っ立つゲオルク。
 一行はさらに進む。足跡はかろうじて見つかるものの、なんだかお化け屋敷に入ったような気分である。

 GM「腐った死体×1が出てきたで。まあ、なんのモンスターなんかプレイヤーは分かると思うけど」

 状況からみてどう考えてもゾンビなのだが、このゲームでは「モンスター知名度判定ロール」などというもんはないらしい。
 せっかく出てきたゾンビではあったが、ナイト×2とバーバリアン×1相手ではどうしようもなく瞬殺されてしもうた。
 しかし、この得体の知れん遺跡(?)の恐怖はその程度では終わらない。ま、いくら怖いモンスター出しても「正気度ロール」なんてないんだから一行はさしてこたえないのだが。
 そして、彼らは「精気にあふれた剣」を見つけた。よくは分からないが少なくとも「つらぬき丸」ではなさそうである。
で、

 GM「巨大なコウモリ×10。前衛後衛関係なく襲ってくるけんな。こいつら空中から攻撃してくるから」

 フェイ「弱るやん。うち、あんまし生命力多くないんやから。頼むわ、クークリスの姐さん」

 しかし、フェイの心配は杞憂に終わった。戦闘時のダイスがはしりにはしりダメージはほぼ皆無であったのだ。気が付くとゲオルクはエースになっていた(「5機(匹)撃墜」したということ)。
 その後もパーティはずんずん歩くが腹時計が夕食を示したので野営に決めた。晩には腐った死体×1がまたも現れたのだが、あっけなく倒されたことはいうまでもない。
 翌朝、収税人探しを続行する彼らの前に「もうええかげんしつこいんちゃうかあ」と思いたくなるほどまたしても腐った死体×1が立ちふさがったのだが、もはやそないなもんに一喜一憂する連中ではない。
 昼ごろには一行は収税人ハラルドを発見!ただし、ハラルドはとっくに絶命しておった。税金の袋は見つからなかったが、彼は死んでも剣だけは手放していなかった。

 ゲオルク「木口小平みたいですなあ」

 木口小平:日清戦争(1894〜95)の緒戦で戦死したラッパ卒。後に国定修身教科書で「シンデモ ラツパヲ クチカラ ハナシマセンデシタ」と描写された。井伏鱒二の小説「黒い雨」にもちょっぴりそのことが触れてある。

 フェイ「なんかこの剣、イワクあると思わへん?」

 クークリス「同感ですわねえ」

 そうした訳でつかのところをよく調べてみると密書が隠されていた!
 しかも、それはベオルン男爵が国王陛下への謀反を他の貴族に呼びかけたものである!人一倍正義感の強いベイリーは猛烈に

 「ベオルンめ、ゆるせん!陛下に奏上せねば!」

 とわめきまくっている。あー、うるさい。
 これが「ブレカナ」だったら絶対ここでベオルン男爵がトループ30人ぐらい引き連れて現れる所だ。
 しかし、「DW」は1980年代のゲームである。ハラルドの死んでいた一帯の捜索が完了するまでシナリオは終わらへんのだ。
 さらにひつこく進むと川に出る。一応橋はかかっているが信用できない。とりあえず生命力の一番高いゲオルクが腰にロープを巻いて渡ろうとしたら・・・・・・やはり落っこちた。幸いにもおぼれずにすんだのだが。
 対岸に渡るとエルフらしき女性が

 「邪悪な魔法使いを封じこめてあるのでその封印を解いたりしないよーに」

 と言って一行を元の岸に追い返した。
 そこで、PCらはどーもこのシナリオ上でのラスボスであるモンスターかなんかのおる方へ接近せざるをえなくなる。
 1時間ほど歩くと道の右手にさびたハルバードが突き立ててある。クークリスが

 「何よ、これ」

 とか言うて触れると身体を霧に変えられそうになったのであわてて手を離した。くわばらくわばら。
 その後、なんだか恒例行事のようになった腐った死体の襲撃を退けて、遂に

 「うわー、これはうさんくさ過ぎるよー」  と叫びたくなる古墳のような丘に出くわす。ゲオルク(のプレイヤー。すなわち筆者)は「入りたくない!」と心の中で強く強く思ったのだが、ここを通過しないとシナリオは終わらないらしい。

 で、中に入るとテュアノンとかいう塚人が出てくる。良かったねえ、ミスランディアじゃなくて(当たり前じゃ!)。
 しかしながら、このテュアノンがなかなか強い。通常武器はさびのかたまりに変えるわ、魔法も使うわでどうしようもない。
 この窮地から脱せたのはフェイが持ち歩いていた魔法の宝石(だったっけ)を掲げて

 「天の宝石には枯れよ!」

 とおらんだ(「いらんだ」なら阿波弁)からである。
 塚人テュアノンはその叫びと同時に放たれた光によって彫像のごとく動きを止めてしまった。
 そこを、フェイから魔法剣を借りたクークリスが思い切りぶん殴る。それがとどめとなってテュアノンは消滅した。同時に宝石も砂のように崩れ去ってしまった。
 かくして悪は滅びた・・・・・・かと思ったら「ベオルン男爵謀反企図事件」が解決していませんでしたね。
 一行は黒い十字架のあった柵を乗り越えてから王都に向かおうかなーというつもりだったのだが、遠目に男爵とその部下2人が柵に接近しているのに気付く。

 フェイ「強そうなんですか?」

 GM「そうやね、ま、とりあえずロールしてみて。ああ、その出目なら分かるなあ。めっちゃ強そうやで」

 ゲオルク「・・・・・・逃げましょうよお」

 結局PCらは逃亡を決意し、例の川にいるエルフに渡河許可を得ることにする。

 クークリス「たぶん、封じこめておいた魔法使いってあの塚人だと思います」

 大きくうなづくフェイ。いまだに意味のつかめないゲオルク(知力6だもんなあ)。
 そうした訳で彼らは封印守護者のエルフに事情を説明し、逃亡のため川を渡らせてくれと必死になって頼む。
 彼女はテュアノンが退治されたという一行の言い分を認め、なおかつゲオルン男爵らの渡河を拒否すると約束した。ちなみにこのエルフの名前はタリリアーナとかいうんだそうだ。
 かくして、我らが冒険者(?)はベオルン反逆を知らせるべく一路王都に向かったのである。

(「ジョゼと虎と魚たち」で池脇千鶴が脱いだけど、続く!?)
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