SW完全版 キャンペーン「Das Gold」第1話
「鬼が来ただ!」

書いた人:上田洋一

 PC並びにGM紹介
 アーサー・クェイン
 人間 男 19歳 オラン出身 傭兵
 ファイター2レベル プリースト1レベル(チャ・ザ) シェフ3レベル
 正統派の冒険者、と言いたいがシェフ3レベルという辺りに人生の辛酸を感じる。なお、このセッションでは料理の腕前を披露する機会はなかった。

 レツ・ナギハ
 人間 男 23歳 オラン東方のラント村出身 蛮族
 シーフ2レベル ファイター1レベル レンジャー1レベル
 今回のセッションはダンジョン探索モノだったので最もダイスを振る回数が多かった。ただし、「罠感知」や「罠解除」でピンゾロを出さなかったことも記しておこう。

 イシュタル・ブリアン
 人間 女 16歳 ラムリアース出身 貴族
 ソーサラー1レベル ファイター1レベル セージ1レベル バード1レベル
 セージ1レベル ノーブル5レベル
 パーティ内での紅二点。ワネット姫(椎名高志・作「一番湯のカナタ」に出てくる宇宙人の少女。外見は中学時代の美神令子)のごとくタカビー。「東方見聞録」(仮)を執筆する予定。

ソレイユ・ルナ・ウォーレンサー・イーストガイア
 人間 女 17歳 オラン出身 貴族
 ファイター2レベル バード2レベル セージ1レベル ノーブル3レベル
 全ての能力値が20を超えている恐怖の貴族戦士。んが、セッション中のダイス目はかなり悪かった。イシュタルにいそうろうされて困っている。

 季節は冬、時間は昼近く、場所はオランの「酔いどれ天使」亭。イシュタルを除くPCらが遅〜い朝飯を食っている。
 そこに1人のグラスランナー(ホビットではない)がやって来て、レツに耳打ちする。

 イシュタル「ほう、ピピンかメリーかサムかフロドかいな」

 GM(そいつらはホビットであってグラスランナーではない!)「レツに隠語で『盗賊ギルドに来い』と伝えているようです」

 かくしてレツは仕方なくギルドに赴く。すると、彼と同じような新米の盗賊が10人ばかり集められている。

 ギルドマスター「あー、お前ら。仕事だ、仕事。セクラという魔術師くずれの女シーフがマジックアイテム盗んでトンズラしやがった。3日前のことだがな。金庫番に大ヤケド負わせやがって」

 レツ「そのセクラを殺せばいいんですか?」

 ギルドマスター「馬鹿やろう、あの女は上玉のハーフエルフだ。生け捕りにしろ!報酬は3000ガメル」

 その後、レツはセクラの情報を仕入れて仲間の所に戻ってくる。

 ソレイユ「ようするにそのギルドマスターはセクラを妾にしたいんでしょ?」

 アーサー「あの〜、レツさんはまだ何も話していませんよ。それってプレイヤー発言じゃあないんですか?」

 レツ「俺はあんましゃべりたくないなあ。報酬減るし」

 イシュタル「どーせお約束でこの宿屋の亭主が仕事紹介してくれるとうちは思うで」

 GM(確かにそうだが・・・・・・)「期待通り店のおやじが皆さんに話しかけてきます。『おう、若えの。コボルドぐらいなら倒せるんだろう?西に3日ほど行くとウザーラってえ村があるんだがよ、神殿の遺跡にコボルドが10匹近くすみついて畑を荒らしてるとか聞いたな。一応、警備兵がいるんだが十分対抗できねえので冒険者を求めてるそうだ。コボルドの首1つで100ガメル。割りは悪くねえと思うがな』ってね」

 イシュタル「おやじさん、暴れてるのはほんまにコボルドだけなん?」

 GM「ゴブリンの目撃情報もあるらしい。確実じゃないけど」

 イシュタル「題名の『鬼が来ただ!』が気になるけど・・・・・・あ、これはプレイヤー発言やで。で、まあ、おやじに5ガメル握らせるよ」

 GM(基本をおさえてるなあ)「おやっさんによると警備隊長のフォークとかいうおっさんがイースト・エンド伝来の『ホシガキ』好きだそーです」

 その後、一向は遺跡が新王国初期のものであることや最近オラン近郊でファラリス神官が出没していることを知る。
 なお、レツは一時別行動を取ってセクラがウザーラ村の次期村長候補といい仲であること、盗んだアイテム(〈カメレオン〉の効果を持つ〈カード・オブ・パワー〉)でコボルドの畑荒らしをやめさせようとしていた可能性があるとの情報を得る。
 そして、パーティは店のおやじに話を聞いた2日後にオランを発った。途中、イベント発生チェックなんかもやらせたのだがダイス目が良くて何事も起こらなかった。ちぇ。
 で、ウザーラ村に着いたのだが・・・・・・いきなり畑がぐちゃぐちゃのめちゃくちゃになっている。そいでもってフォーク隊長と村長候補の青年・ラリーが駆け寄ってきて窮状を訴える。

 フォーク「おお、あなた方がペーペーの冒険者なんかよりはるかに強く(中略)な冒険者家か!早速だがコボルド(複数形)とゴブリン(単数形)と鼻が3つあって口が4つあって(中略)角が23本ぐらいあるように見えた巨人を倒して欲しい!」

 テルス「セクラさんが3日前に2人の冒険者といっしょに遺跡に向かって帰ってきません。あの人たちが心配です、道案内は何とかできますので助けて下さい」

 かくしてPCへの依頼は増えてしまったのだが、弁舌の才があるイシュタルが上手く交渉してコボルド類の首報酬を倍にし、ラリーからは高品質のクレインクィン・クロスボウを譲り受けることになる。
 むろん、神殿内にある宝物はすべてPCのものとして構わないという約束も取り付けたのである。一連の交渉にあたって、フォーク隊長に贈った「ホシガキ」はお約束通り効果的であった。
 なお、「角が23本ある巨人」だが、一向は幻覚系魔法で造られたものとふみ、背後にはソーサラーが1人はいると判断した。
 さて、旅の疲れを取った翌日にパーティは遺跡へと向かう。先導にハンターでもあるラリーがつき、フォーク隊長も入り口まではついて行く。NPCを活躍させる訳にはいかんしな。
 かくして新王国時代神殿の遺跡(今はコボルドらのすみかだが)に入り込んだ一行はいきなりオークにでくわした。ま、ソードワールドのオークは樫の木でできた魔法生物なのだが弱いモンスターであることには違いがない。GMとしては

 「ま、久々に完全版プレイされる方もおることやし、まずは戦闘ルールの再確認してもらお」

 と思っていたのだが、ソレイユがダメージ軽減ロールで1ゾロ!一気に6点ものダメージを負ったのである。ソレイユの生命点が20をこしていなかったらラスボスのデータをいじる所であった。
 けれども、その後の行動は皆さん実に的確。遺跡1階で生け捕りにしたゴブリンからボスの居所を聞き出して直行したのである。これには正直、GMとしても助かった。というのもシナリオ作成の段階で遺跡をでかくし過ぎてコンベンションの時間内に終わるかどうか際どいとこだったのだ。いやあ、「時間」は最大の敵ですなあ。
 そんなこんなで比較的あっさりラスボスとコボルドズの部屋に到着した。さて、いよいよ最終戦闘!プレイヤー、GMともどもわくわくする瞬間である。しかし、イシュタルの放った「スリープ・クラウド」により1ラウンドですべてが終わった。「11」なんて出したもんなあ。
 「23本角の巨人」が倒れるとそいつは妙な形の杖を持ったおっさんソーサラーであった。そりゃ2レベルパーティにオーガーは出せません。

 イシュタル「ほっほっほ、やっぱりね。こんなことやと思とったわ」

 アーサー「その笑い声は止めて下さいよお。で、セクラさんはどこなんでしょ?」

 ソレイユ「このおっちゃんを起こそうよ」

 イシュタル(少し考えて)「GM、〈センス・マジック〉。よし、成功や。杖は魔法の品?」

 GM(そう簡単に強力なマジック・アイテム与えられないもんね)「かつては魔力を持っていたかもしれないけど、今はうさんくさい杖です」

 レツ「あーあ、稼ぎが減った」

 その後、PCは捕われていたセクラを救出し、彼女と協同して遺跡に入り込んでいた冒険者の死体を回収した。セクラ自身は暗黒神の儀式かなんかの生贄にされるとこだったらしい。「神に近い存在」であったのか?
 ここでレツとしてはセクラをこのまま盗賊ギルドのマスターに突き出すべきか多少迷ってしまった。そこで仲間と相談し、
 「セクラとラリーはラブラブの状態なので見逃す」
 ことに決定。むろん、盗んだアイテムはきちんとギルドに返し、フォーク隊長の口利きでセクラの処罰を「オランへの出入り禁止」という程度ですませた。ま、この辺はご都合主義ではある。ただ、ギルドマスターからの報酬は無し。

 後日談
 ラリーとセクラは村に迷惑がかかるのを恐れて西へ逃亡した。
 イシュタル「愛の逃避行やなあ。ほやけど、セクラはんは何の儀式に利用されかかったのやろ?」

       (故・勝新太郎の「座頭市物語」はいいよなあ。3人しか斬らないけど)

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