大活劇プレイレポート

赤猫米騒動

書いた人 上田洋一

 注:このプレイレポートは「大活劇」サプリメント「桜吹雪」収録のシナリオを用いたセッションをもとにして作成されました。「赤猫米騒動」をプレイヤーとして楽しみたい方はできれば読まないようにして下さい。

GM及びPCの紹介

 山崎竜兵衛
 今回のセッションのGM。

 中村彦十郎
 表の顔は寺子屋師匠。しかし、実は正義の用心棒。剣の達人であるのは言うまでもない。流派は・・・・・・少なくとも二天一流じゃないなあ。プレイヤーは某ゲームサークルの代表。

 琴音
 表の顔は行商人。しかし、実は正義の密偵。かげろ〇お銀のごとき敏捷性を持つが戦闘力はあんましなかった。むろん活躍しなかったという訳ではない。情報収集シーンでは大奮闘している。なお、プレイヤーは女性。

 矢部伊織
 表の顔は人徳あふれる医師。しかし、実は正義の用心棒(こればっか!)。特技はメス投げ。40歳のおっさんである。もっともプレイヤーは若かったのだが。

 岩本岸之介(本名:岩本雲仙)
 表の顔は浪人。下戸でバクチも苦手なプータロー。正体は大江戸南西奉行。背中には権現様(徳川家康のこと)の刺青が彫られている。プレイヤーは筆者。ちなみに筆者は鯉党なのだが、応援している選手(ペレス、江藤、金本)が次々によそのチームに移ってしまうので困っている。


 ここは大江戸八百八町。平穏な日常の中で密かに悪事が進んでいた。まあ、悪事がないとゲームにならんもんな。
「ええ、また米の値上げかよお」
「凶作だから仕方ないってさ、お前さん」
「どうせどこかのあこぎな商人が買い占めてるんじゃあねえのか」
 そんなある晩、火事が起こる。越前屋の米倉が焼けたとのこと。付け火だという噂が飛び交う。

 彦十郎「放火とかいう話だぜ、琴音さんよ」

 琴音「ふーん、ちょいと調べてみるよ、彦の旦那」

 伊織「今、琴音さんが越前屋の方に行ったが何かあったのですか?」

 岸之介「『たけやぶやけた』だってさ。おい、親父。飴湯もう一杯」

 彦十郎「回文じゃねえんだ!」

 琴音の聞き込みによると越前屋で奉公しているおみよに疑いがかけられているらしい。なお、大江戸では放火の罪は重く死刑に処せられるのが普通である。

 伊織「ただの奉公人がそんなだいそれたことをするとは思えませんねえ。第一、おみよさんに何か利益がありますか?」

 そんなこんなで2、3日経って、今度は人足風の男の斬殺死体が橋の側で見つかる。今度は彦十郎の出番である。

 彦十郎「ふむ、これは素人の仕業じゃねえな。腕に覚えがあるやつの斬りっぷりだ」

 そして、琴音はホトケが越前屋の人足・額三であることを探り当てる。一方、おみよ犯人説は強まるばかりだが、プレイヤーは当然そのことを信じてはいない。ま、「桜吹雪」は「遠山の〇さん」だもんな。

 伊織「おみよは縁談がまとまっているそうですよ」

 彦十郎「そんな女が放火なんてするか?」

 琴音「しないと思うなあ、あたいも」

 岸之介「琴音の姐さん、ちょいとその嫁ぎ先の男について調べてくれねえか」

 伊織「いや、それはもう私が調べました。ちゃんと人の話を聞いて下さいよ、岸之介(のプレイヤー)さん!」

  筆者には「キャラクタープレイ(ロールプレイではない)没頭癖」があり、他人のロールプレイが視野に入ってこないことがよくある。反省はしているのだが、なかなか直らない。先日も注意されたばかりだ。

 伊織「新吉というかんざし職人です。腕はそこそこですが長屋での評判はいいですね」

 彦十郎「ふーむ、では人一人ぐらい斬れるか・・・・・・」

 伊織「あのー、かんざしづくりの腕前のことなんですけど」

 彦十郎「案ずるな、ただの冗談だ。それはそうと、ホトケのたもとにこんな石が入っていた」

 彦十郎は赤い石ころを右手に載せて仲間に見せる。河原にはないような代物である。

 琴音「あたいが知ってる限りじゃあこんなのは川にはないね」

 伊織「それと同じ種類の石が越前屋の倉にでもあれば・・・・・・」

 彦十郎「プレイヤーとしては越前屋が真っ黒なんだがな」

 プレイヤーとしての認識とキャラクターとしての認識を分けなければならないのがTRPGのおもしろみであるが、難しくないと言えば嘘になるというのは筆者の偏見であろうか?
 話を元に戻す。結局琴音が越前屋に潜入して調査することになった。
 「俺は越前屋こそくせ者だと思うぜ」(筆者注・「椿三十朗」みたいですね)  という彦十郎のつぶやきに同調したのである。
 そして、翌朝かげろう〇銀のごとき活躍を見せた琴音が戻ってくる。

 琴音「あったよ。これでしょ?」

 越前屋人足・額三のたもとにあったものと同種である。さらに琴音が驚くべき情報をもたらす。

 琴音「誰もいない座敷牢に米俵が隠されててね」

 伊織「商売道の風上にも置けませんね。何とかしましょう」

 岸之介「お上に訴える・・・・・・っていっても最近のお役人様は武士としての気骨がねえからなあ」

 彦十郎「このまま放っておけば打ちこわしでも起こって町人衆は大騒ぎだ。そうなりゃ善良な人が罰されて越前屋は結局のうのうと生き延びることになるぜ。よし!腹は決まった!今夜いくぜ」

 かくして一同は越前屋に正々堂々と(?)夜討ちをかける。用心棒として雇われた食い詰め浪人らが応戦するがしょせん食い詰め者、PCにかなう訳もない。なお、当然のことではあるが岸之介は権現様の刺青を見せて戦った。

 琴音「もうそろそろ演出戦闘のタイミングでは?」

 岸之介「確かに。火付け盗賊改め方長谷川〇蔵である!神妙に縛につけ!」

 彦十郎「番組が違う!」

 シーンはいきなり替わって奉行所のお白州である。なんだか「トーキョーN◎VA」みたい。

 岩本雲仙「越前屋、その方は米を買占め暴利をむさぼろうとしただけでなく倉に火を放ちあまつさえその罪をおみよなる女になすりつけようとしたと訴えが出ておる。どうなのだ」

 越前屋(GM)「お奉行様、これは異なことを。それがし、一向に覚えはござりません」

 彦十郎ら「いや、その場には浪人の岸之介さんがいました」

 越前屋「浪人の岸之介?はあて、手前はそのような者全く存じませんなあ」

 お約束通り、しらばっくれる悪徳商人。

 雲仙(いきなりべらんめえ口調になって)「おうおうおう、越前屋。この権現様を忘れたとは言わせないぜ!」

 ババーン(効果音)。
 クローズアップされる権現の刺青。

 越前屋「へへー」

 平伏する越前屋。
 かくして悪は滅びた。でも、来週にはまた悪人が出てくるんだよなあ。

(「南の島に雪が降る」には渥美清が出ていたのも良かった)
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