ソルジャーズ・アポン・ア・ルナル リプレイ
第二話「Good Morning ルナル」

投稿してくださった方:フルメタル大司教さま

第一節 未知ノ森ヲ行ク

 4人のゲーマーが、久しぶりに一堂に会した。集まればやることは1つしかない連中である。

GM え〜、ソルジャーズ・アポン・ア・ルナル、略してソルナル、第二回を始めましょう。で、前回の話は覚えてるかな。

ジェームズ うん。さあいこう。

ジョージ はえっ!

GM ……何とか森を抜け出すことが出来たわけだ。

ジェームズ なんて街だったかな、目的地は。

GM フィアナいわくリーダンと言うところらしいんだが、それが地名なのか何なのか、皆さんには知るよしもない。

ジョージ 涅槃という意味だったりするかもしれない。

ジェームズ ニルヴァーナかい!

GM ひょっとしたら、戦死公報にも載らないような戦死を遂げることになるかもしれない。

ジェームズ しかし、残念ながら我々は『涅槃』という言葉を知らない(話がかみあっていない)。

GM いずれにしろ、この世の存在ではなくなってしまう可能性は秘めている。

ケイン すでに、この世界の人間ではありませんけどね。

 ……空白。

GM 途中で知り合った謎の美少女フィアナを旅の友として、第04分隊、早速戦死が1名出たので残り7名、見知らぬ街道を……。

ジェームズ ♪見〜知ら〜ぬ〜かい〜ど〜う。

GM (無視して)……ジープでゴトゴトと……。

ジェームズ ♪ジ〜プ〜が〜ガタ〜ゴ〜ト〜。

GM それで……。

ジェームズ ♪あ〜る〜晴れた〜ひ〜る〜さがり〜。

ジョージ 止まんねーからよ!

 あまりにもうるさいのでフン縛られる。

ジェームズ こうして読者に我々の人となりが推し量られてしまうんですねぇ。

ジョージ やばいな。

GM カットに決まってるだろ!

 とか言いつつ残してしまうのだった…。

ジョージ でだ。

GM 空は綺麗だし、街道沿いには美しい田園風景が続いている。

ジョージ 昼間でも月が見えるのはどうにかならねぇかな。

GM「無理ですよ」とカミンスキーが漏らす。

ジョージ そりゃ(地球でも)白い月なら見えるけどよ。

GM (畑を見る)「綺麗ですねぇ」

ジョージ 麦か?

GM カミンスキーは肩をすくめる。

ジョージ 農民の姿は見えるかな?

GM 視覚判定しなさい。

ジェームズ ノミの姿?

ケイン そりゃ無理でしょう。

ジョージ Find The ノーミン(サイコロを振る)……7成功。

GM 農民の姿は見えませんけども、畑の合間には所々に集落とおぼしきところがある。

ジョージ 作物は出来てるよな。なんで実ってるのに誰もいねぇんだ?

GM もうちょっと奥に行けば人の姿が見える。

ジョージ この世界にも安息日があるのか?

GM 否定は出来ないね。カミンスキーは肩を持ち上げて、蕎麦屋の出前の格好。

ジョージ あの集落に住んでいるのは、果たして人間かどうか、だな。双眼鏡で覗いてみる。

GM ちらちらと、人かな、と思えるものが見える。それで、連中の着ている服に関してだけど、皆さんに言わせればおよそ実用性、機能性を無視しまくったような、色彩のみを追求したような、あれでそれが何なものです。

ジョージ ……派手だな。祭か何かか?

GM 「さぁ。それよりも、大丈夫ですか?こんなもの走らせて」

ジョージ 他に移動手段がないし、捨てていくわけにもいかん。それに、他に仲間がいるとすれば、目印になる。出来るだけ早く友軍と接触したい。

GM 「ですねぇ」それで、前のジープ組はすることないのかい。

ケイン 私は運転中ですから、会話の方は任せます。それで、彼女は昼間は言葉が分かるんですか?

GM 彼女いはく、夜じゃないと駄目らしい。

ジェームズ「なに!夜じゃないと駄目!」

 ジェームズはこのときヘクス戦闘用に、ヘクス紙を切ってジープやトラックの駒を作っていたので、まともなセリフが少ない。
 これだけで十数分費やしてしまった……。

GM 走り続けていくと、やがて日が暮れる。

ジョージ 夜を徹して走ってもいいんだが……何しろここは夜でも明るいからな。

ケイン トラック、トラック、応答願います。

ジョージ なんだ?

ケイン 今夜はどうしますか。

ジョージ あとどのくらいの距離なのか、彼女から聞き出してくれ。

GM「あの、軍曹、止めていいですか。一度(車を)見ておきたいですから」

ジョージ 航続距離もあるからな……ジープ、停止だ。

ケイン 了解。

GM カミンスキーが、工具箱を担いで下に降りる。

ジョージ シャフトにグリースたっぷり塗っておけ。交換利かないからな。

ジェームズ フィアナが暇そうにしてるだろうから、話を聞いておこう。

GM 〈身振り〉を振りなさい。

ジェームズ (コロコロ)うっ!ブルファン!

GM じゃあ、あなたのジェスチャーが、この世界ではエライ侮辱を現す表現になっちまったと思いねぇ。つまりこれだ。

ジェームズ そいつぁやばいぜ。読者には見えないから解説しておくが、Fuck Youだ。

GM 彼女の顔がこわばる。

ジェームズ〈先読み〉!成功。やばい心理状態だな!

ジョージ 何をやってんだか……。

GM 彼女はぶつぶつと呪文を唱える。魔法成功。「ちょっとあんたどういうつもりよ?」

ジェームズ なにか?

GM 「さっきの仕種よ」と言って何か身振りをする。

ジェームズ 大体話は分かるので……いや、すいません、こちらの風習がよく分からないもので……。

GM 彼女の表情は固い。

ジェームズ 謝ります。それで、今後の参考になりますから、その辺りの礼儀も教えてくれませんか。

GM 渋々分かったような顔かな。

ジェームズ それで、リーダンまではどのくらいなんです?

GM 「歩いて一日ってとこだけど」

ジェームズ 今何時?

GM 時計を見ると、イタリア標準時午後六時。

ジェームズ 大きい街なんですか?

GM 「そんな大きくはないわ。せいぜい二百人くらいしかいないし」

ジェームズ なんで我々はそこに向かってるんでしたっけ。

ジョージ ひとまず、目的地がほしいだろ。

GM 「ところで、どうすんの?こんなところで止まっちゃって」

ジョージ どのくらい先か分からなかったから、ひとまずここで止めて、車輌の点検。

GM 「しゃりょう?」

ジェームズ 今のってきたでしょ。

GM 「……ほんとにあなたたち、どこから来たの?」

ジョージ 多分あのへん(夜空を指さす)。嵐にあって難破したとしよう。自分がどこから来たのかは分かる。ここがどこだか分からない。

GM「じゃあどこから来たの?」

ジョージ うん、それだが……(地図を出す仕種)どこだかな。イタリア語は達者じゃないんでね。

ジェームズ 見せて下さい。どこだ?ボローニャだったかな。

GM いや、ボローニャは、44年10月当時、まだドイツ軍の支配下です。あなたたちはフィレンツェにいたのだ。

ジェームズ だそうです。

ジョージ 北伊フィレンツェだ。

GM 無駄なのは承知の上で〈地域知識〉を振る。

ケイン クリティカルするとどうなるんですか。

ジェームズ 本当に分からないことが心の底から分かる。

GM 「聞いたことないわ」

ジョージ じゃあこの辺りはなんて言うんだ?

GM 「……、ここは、ソイル選王国よ」

ジェームズ しーん……とする前に〈地域知識〉を振っておこう。

ジョージ ヨーロッパには小国が多いからな。

ジェームズ (サイコロだけ振って)まったく知らない。

GM 軍医のフロンベルクも知らない。彼は、フィアナにもう少し聞くことがある、と言う。もう少し絞って言って下さい、とのこと。返してフィアナいわく、「グラダス半島」。

ジェームズ グラン・サッソ!?

GM やめれ。ドイツ空軍が来るぞ。

ジョージ その半島に附随している大陸の名前は?

GM 「リアドだけど」

ジョージ 半島の広さはどのくらいなんだ?

GM 「すごく広いわよ。端から端まで歩いて二月くらい」

ジョージ 広いな。

ジェームズ 広いですね。

ジョージ いや、半島というと、我々はどうしてもサルディニア島辺りの局地的な半島を想像するもんで。房総半島だって半島だろ。バルカン半島だってそんなに広いか!?

GM 冗談抜きで1月あれば十分だな。

ジョージ じゃあそのリアド大陸の方は?

GM 「そうねぇ。馬で行って4ヶ月」

ジョージ 4ヶ月。順調に旅して?

GM 「ええ」

ジョージ 大陸の方が狭いな。

ジェームズ 変なところっすね……我々はどうしてもユーラシア辺りを想像するんだよ!

 まぁそういうことだ……。
GM補足、大陸の面積に関する情報がなかったため出任せを言っています。あしからず。

ジェームズ ところで、先に行っちまった方がいいかもしれませんよ。リーダンまでは歩いて1日だってぇから。

ジョージ 車なら3時間かそこらだな。

ジェームズ 街があるならそこの方がいいでしょうよ。また何が出るか分かったもんじゃありませんし。

GM 「もうちょっと行けば、憩いの小屋があるけど」

ジョージ&ジェームズ なにそれ。

GM 「ちょっと、そんなことも知らないの!?」

ジョージ 知らん。

ジェームズ 途轍もなく心ひかれる名前ではあるが、知らん。

ジョージ そっち方面か?

ジェームズ いいなぁ。

GM 「旅人達が泊まるために、街道沿いに一定間隔でこしらえてあるじゃない」

ジョージ 宿泊施設か?有料か?

GM (クビを横に振る)

ジョージ 無料なのか?

GM 「薪とか置いてあるけど」

ジェームズ 山小屋みたいなもんですかね。

ジョージ なるほど。だがまぁいずれにしろ、野営の準備はしちまったし、いったんここで休もう。

ケイン (設営を終えて話に加わる)え、休まないんですか?

ジェームズ いえ、もう少し進むと村落があるようなんですが、皆さんがせっかく設営して下さったのに出発しようなって言ったら内ゲバだなって言ってただけです。

ジョージ いや、指示したのは俺だ。

GM フロンベルクいはく、「私は屋根のあるところがいいんですが」

ジョージ 幌はあるが、そいつは女性用だな。

ジェームズ トラックじゃいけませんか

GM「それでもいいんですけどね」と、何だか浮かない顔だね。

ジョージ なんです?

GM 「いや、大したことじゃないとは思うんですが」

ケイン 不眠症とか

GM 「いや、そうじゃなくて、別にここで寝たってかまいはしないんですが、ちゃんと蚊帳はあるんでしょうね」

ジェームズ 蚊帳?

ジョージ そういう装備品もあった気はするが……季節柄あったはずだ。

ジェームズ それがないとどうなるんです?

GM 「ではこの際ですからはっきり申しあげておきますが、軍医として忠告しますと、まずここがひとまず地球ではないということを念頭に置いて下さい。我々は全く未知の風土にいるわけですよね」

ジェームズ つまりどんな病原菌がいるか分からないってことですね

GM 「ええ。それに、免疫と言うことについては、我々は絶望的な状況です。蚊に刺されただけで致命傷になりかねません」

ジョージ しかし、気にしてばかりでは何も出来なくなる。糧食と飲料水にだけ注意しておきましょう。目に付くものなら警戒もできますが、蚤や蚊になるとさすがに無理でしょう。ようするに、軍医殿が心配しているのは、南米入植時のあれでしょう。

GM 「それもありますが、どうしたって太平洋戦線のことですね。第三師団に来る前は、ガダルカナルにいたものでして」

ジョージ まぁ、我々が持っている何らかの菌が、こっちにとって致命的な場合もあるわけだ。

GM 「ですから、接触は慎重に、と申し上げるわけです」……いいかてめぇら、未知の土地に踏み込むというのはだな、こういうところにまで気を使わにゃならんっちゅーことだぞ!

ケイン ところで、その蚊帳はあるんですか?

GM 二人用テントが1つあるね。

ジョージ やはりここで泊まろう。それでだ、虫や菌と言うことについては気にしないでおこう。保証もできん。

ジェームズ それに、街に行ったら行ったで、今度は街の病気があるんでしょう。でしたら、どこにいたって同じですよ。ですから、ここならここでやれるだけの予防策はとって、肚ぁ決めて寝ちまいましょう。

GM 「……それもそうですがね」

ジョージ (溜息)……下士官が意見を二転三転するのは何だが……前に進むか?

ケイン じゃあ片づけますか。

ジョージ 確保した水だのなんだのはそのままにしといてくれ。

ケイン てくてく戻る。

GM 「おいケイン、まじか今の話」……みんな「ざけんじゃねぇ」ってツラだね。

ジョージ 肝心なことを忘れてたんだ。夜の内でなければ我々は現地民と接触することが出来ん。それが意見を翻した根拠だ。

ケイン なるほど。じゃ、片づけましょう。

ジョージ 俺も手伝う。

GM「でも、日が暮れてるのよ」

ジョージ 我々には文明の明かりがある。

ケイン それに、ここは夜でも明るいですからねぇ。

GM 今夜は……6つ出てるな。こりゃ明るい。

ジョージ カミンスキー!車のほうはどうだ!?

GM 「あと30分くらい待って下さい。結構傷んでます」

ジョージ 急ぐ必要はない。確実にやれ。

GM 「イエッサー」

ケイン では野営の準備取りかかりましょう。

ジョージ いや、先に飯を喰おう。

ジェームズ そういうわけでフィアナさん、先に進むことになりました。

ジョージ 村に着いたらあなたを交渉役に立てる他ありませんから、ゆっくり休んで下さい。

GM うなずく。

ジョージ ではてきぱきと飯を喰う。彼女にもCレーションを渡す。Cレーションは半分開けて、暖めよう。

GM おう、缶詰めは恐怖のミート&ベジタブルらしい。

ジェームズ 私ゃ軍人じゃありませんが、大分慣れました。先々で喰いましたから。

 座談会を行うことになる。

GM 日は暮れましたが、皆さんにしてみれば、さしずめ照明弾が落ちた夜ですな。

ジェームズ なんちゅう夜じゃ。

ケイン 落ち着きませんねぇ。

ジョージ 気味悪い色だ。

GM 「軍曹」とジョゼッペが呼びかける。

ジョージ ん?

GM 「これから村なりどこなりに行くとしまして、どうなります?」

ジョージ まずは可能な限り現地の状況が知りたい。それで、我々がまともに動いていられる社会かどうか、判断する。もちろん広義的な意味で、だ。常識で考えたら身を潜めていた方が安全に決まってる。どの程度の危険があるか探った上で、友軍を捜す。

GM 「いるんすか?」

ジェームズ いると思いたい。

ジョージ 我々だけがあそこからいなくなったと思うのか?

GM 「はい」

ジョージ なぜ?もし我々だけが何らかの意図や作意によって選択されたとしよう。なぜ一人も欠けなかった?

GM 「たまたま距離が近かったから、じゃないでしょうか」

ジョージ ならそれを戦術レベルで拡大解釈出来んのか?

GM 「じゃなんすか。あのナチ野郎共もいっしょに来ちまったってことですか」

ジェームズ ティーゲルも来てると思う。

ジョージ クラウツもディノもいるだろうし、ヤンキーもいるだろう。

ジェームズ 全員いた方が気楽でしょう。

ジョージ 我々だけってよりゃあましだ。大体、敵味方はなしにして、クラウツは言葉が通じる。ドイツ語が話せれば、な。

ケイン 誰か話せるんですか?

GM 軍医が申し訳なさそうに手を挙げる。

ジェームズ 私も話せます。一応ジャーナリストですから。

ジョージ 少なくとも、ここが戦時下態勢とは思えん。ならば、交戦国同士でも、ジュネーブ協定に基づいて協力しあえるだろう。

GM 「彼等が望めばいいんですが」

ジェームズ いや、もし連中が飛んできたとしてですね、連中だって平気じゃいないでしょう。そんときは呉越同舟と行きましょう。

ジョージ 敵対したとしてもな、いずれにしろ、燃料も弾薬もいつかは尽きる。先に確保せにゃならん。

GM 「結局戦い続けるしかないんですね」

ジョージ それが商売だからな。

ケイン その割には給料はもらえそうにありませんね。

GM 「中隊本部は大騒ぎでしょうね」

ジョージ 脱走扱いかもしらんな。

GM 「いや、みんないなくなったら失踪じゃないでしょうか」

ジョージ だったら、多くが飛ばされてる方が、我々には都合がいい。我々だけが飛ばされたという根拠はない。だから、当座の指針としては、「友軍を捜す」だ。

ジェームズ フィアナさん、我々の言葉を理解する、その魔法を使えるのは、この世界の人全員ってわけじゃないんでしょ。

GM 残念ながら、今は彼女はその魔法を使っていない。頭はあげるけどね。どうして?

ジェームズ いや、私はこっちに来てからずっと記録をつけてますけど、これを見せれば我々の状況は分かってはくれると思うんです。保護を求めるにしろ何にしろ。

ジョージ それにしても、保護を求める先は、国家権力よりも、理解ある個人だな。身柄は自分でも守れる。武装もある。保護の変わりに武器をよこせとか言う要求には肯んじえん。

GM ジョゼッペいはく、「どうですか、いっそのこと武器をうっぱらってここで暮らすってのは」

ジェームズ しーん。

ジョージ 言葉も分からんのにか?

ジェームズ その前に、買うかなぁ。

ジョージ この世界に慣れるまでは、武器を手放すつもりはない。もっとも、隔絶する要因になるかもしらんがな。そうなったら、独立独歩で行こう。そのためにも、友軍と接触する必要があるのだ。

ジェームズ ざっと見たとこ、ここの文明の程度は低いね。

GM 「そうですね」と軍医が言う。「さしずめ、1400年代か、もう少し前というところですね。」

ジョージ しかし、(フィアナの服を見て)被服関係、縫合技術は高そうだな。

ジェームズ 注釈。我々はまだ黒色火薬銃を見ていない。

GM 注釈。縫合技術が高いというのは、ただの皮肉に過ぎない。

ジョージ あと不審なのは、彼女の持ってるあれだ。

ジェームズ ああ、あの扇。ちょいと貸してもらえません?

GM しぶしぶ渡そう。

ジェームズ うわ、先の方が刃になってるぞ。

ジョージ 暗殺器具じゃないか?

ジェームズ じゃあ彼女は何らかの組織のコマンドとか。

ジョージ しかし、彼女が軍属とは思えん。

ジェームズ 昨日のあんなのがいるくらいだから、民間にも武器が欲しいのかもしれない。となれば、かなり野蛮な土地だな。

ジョージ 革靴やフェルト靴が広まっている。社会が潤っている証拠だ。

GM 中世の文明では、そういうものは加工に手間がかかる。農民がはけるような代物じゃない。で、もっと大事なことがあったっけ、軍医が昨日の押収品みせて欲しいと言う。

ケイン 例の金貨だな。

GM 軍医いはく、「これはカネですよね」

ジェームズ そう見るのが妥当でしょうね。

GM 「カネがある以上、物が欲しければカネと交換しなくちゃならないということですね」

ジェームズ 貨幣経済が有るなら、都市社会は発達してるわけだ。

GM 「重要なのは、我々にはこの金貨以外には先立つものが無いということです」

ケイン 金だから、それなりに価値があるのでは?

ジェームズ いや、この社会において、この金貨一枚がどの程度の価値があるのかは分からない。

GM 「そうですね。それに、普通中世社会でこういう金貨というものは、様々な文様が混じるものですが、これは全部統一されている」

ジェームズ 国が小さいのか、この辺りでしか通用しないのか、何でしょうか。

GM 「さて、ね。いずれにしろ、気を付けないと、生きるために掠奪ということにもなりかねませんよ」

ジェームズ 嫌なセリフを聞いたなぁと思う。

ジョージ 原則的にはやらないでおく。合衆国軍人のやることではない。

ジェームズ 「正直は最良の戦術」ですしね。

GM とまぁ、君たちには不可解なことだらけというわけだ。

ジェームズ そもそも、こういう話をしてるのは、この世界の矛盾を暴こうとしているからだ。

GM 言うでない。

GM カミンスキーはまだ修理が終わってない。御飯も食べていない。あはれな野郎だ。

ジョージ そういう設定にしたのはおまえだ。後で一人で食べさせてやる。

GM で、みんなが車座になってるところで、そろそろヘクスシートに移ろうか。

ジェームズ 何かありますな。

GM まぁね。そこで座ってがつがつしている君たちは聴覚判定しなさい。で、君たちは装備をどこに持っている?

ジョージ 膝の上。

ケイン 背中。

GM てめーら銃担いで飯喰うのかぁ!

ジョージ 何があるか分からんのだ。生命線を手放すか。

ジェームズ 私ゃ軍属じゃありませんから、ジープに放ってあります。拳銃は下げてますが。

GM ……聴覚判定しなさい。

ジェームズ はっはっは、死に神に取り憑かれた官軍め。ここが貴様等の墓場だ!0成功じゃ。

ジョージ 大賢良師判定……7成功。

ケイン 同じく。

GM チョウカク判定だと言うとるじゃろーがぁ!

ジェームズ 我々のサークルでは、聴覚判定の際に必ずこのギャグを飛ばすことになっております。言わない者には経験CPにペナルティが……。

GM ホントに喰らわすぞこの野郎。で、全員成功してるな。NPCは一括判定。おお、さすが軍人。成功してるな。

ジェームズ ところで、ジープだのトラックだのの位置はどうなんだい。

ジョージ このへんだな(ヘクスシートに駒を置く)。停め方は戦術マニュアルにのっとって、互いに急発進が可能なように、斜めに向ける。

GM あいよ。

ジョージ おろろ〜ん。

ジェームズ さぁ、我が神の前に膝を折るがいい。転向じゃあ(註:マイナーなネタです)。

GM (無視して)成功した人は、背後の茂みからガサガサと何かが出てくる音に気づく。

ジョージ 警戒!遮蔽物!と言って動く。

GM では、彼等も動き出す。「チュウ、チュウ」という鳴き声がする。

ケイン ちゅう!

ジョージ ちゅう!

ジェームズ たこかいな。

ジョージ ひじひじ(註:分かる人だけ分かって下さい)

GM ぱっと見ると、ネズミに似た生き物が、茂みからごそごそ出てくる。体長90センチ。形態はドブネズミに酷似。だがまぁこんな不気味な形をしたのは見たことないわな……言いたいことは分かるね。

ジェームズ なんぼじゃ。

GM −3で行ってみましょう。「反射神経」は+2のボーナスだぜ。

ジェームズ 我々はモンスターに出くわしたときの恐怖判定を重視しているのだ……3程度のペナなら何のことはない。

GM NPCの連中がちょいちょい失敗してるな。で、君たちは全員無事と……。ところで、彼等の狙いははっきりしてるね。

ジェームズ うむ。我々の夕食を共産主義化しようとしているに違いない。

ジョージ それは許せん。臨戦!

GM では第1ターンの宣言じゃ。

ジョージ SMGがあるので、一歩前に出て牽制すべく前列を薙ぎ払おうと思う今日このごろ。

ケイン 経験則から、こういう奴は音に弱いはずだ。ぶっぱなしておどかそう。

ジェームズ 軍属の邪魔をしてはいけない。隊列の横にずれる。

GM ではイニシアティブどうぞ。こっちは6だ。

ジョージ 2。

ケイン 5。

ジェームズ 6。振り直し……3。

GM 4。マスター側の行動だ!不確定名大きなネズミが突進する。

ジョージ 7ヘクスも動きやがったぞ。次は身共じゃぁ。一歩前に出て、この4匹にフルオート射撃をかます。最初の4発は一番端のこいつだ。距離は6ヘクス。ネズミの速度を加えて13。13メートルの距離修正だ。

GM −4。暗さ修正は、照明弾が投下されているものと扱って(註:しつこいようだが、ルナル世界の夜は明るい)、−2。

ジョージ ついでに我々はコルマンランタンを背にしているぞ。

GM じゃあ−1でいいや。合計−5。

ジョージ うむ。私のライトオートマチック技能は18レベルなので、−5して13。フルオートは第一グループから反動がかかるので、トンプソンの反動−3を加えて10。抜き撃ちを割る!なんちゅー反動だ!さらに−4して、目標値6!

GM なんてビギナーライクなリプレイなんだ。

ジョージ だぱらたた……(サイコロを振る)さすがにはずれる。では第二グループ。隣のこいつだな。フルオート射撃なので第二グループには正確さが加わる。トンプソンの正確さは7。6+7=13。さらに反動を引いて目標値は10だ。うりゃあ(サイコロを振る)。ジャスト。2発だ。

GM 残りもやっちゃって。

ジョージ んだらば、次の正確さ+1、反動は−3、計−2、目標値8、とりゃあ……1発。

GM 2発と1発だな。2発喰らった奴から…最初の1発はよけて、次が当たる。ダメージをどうぞ。

ジョージ 12点+。抜けが1.5倍じゃ。

GM それでもネズミは向かってくるのさ。すさまじい奴。次も当たってるぞ。

ジョージ 6点+。

GM こいつは朦朧状態だ。

ジェームズ ドクターモウロウ状態。

GM さて、次だ。

ケイン うわ、流された。

GM 下らん話につきあっとる暇はない。ガープスはマスターの戦闘管理が忙しいのだ。大体ジェームズ、次はきみだ。

ジェームズ 2番にファイア!修正は合計で−6だな。拳銃は16レベル、−6、10、抜き撃ちどんぴしゃ!2発撃つぞ。まず当たり……2発目は正確さが2加わるが、反動で相殺、目標値変わらず。次も当たり。

GM どっちも喰らう。

ジェームズ 10点+に……うぎゃあ、5点+。通らん可能性があるな。

GM いや、それでひっくりかえる。

ジェームズ やったー。

ケイン では次。ガランドライフルで3発ファイア。一歩前に出て……修正は合計−7!抜き撃ちは当然のように割る。さらに−4して、7。ほりゃ……ドトーのように当たりませんな。

GM 2発目どうぞ。正確さは11で、まず18。反動が−3。目標値は15。いやあ、皆さんの銃はどれも反動が高いですな。

ジェームズ 米軍!(ソウルフルな叫び)

ケイン そりゃ当たる。

ジョージ 3発目は、正確さの+1に反動の−3を加えて−2。目標値は13。

ケイン 当たる当たる。

GM では2発避けさせていただきやしょう。が、どっちも喰らう。

ジェームズ クラウディア。

ケイン (もちろん無視して)ダメージ……出します?(註:ガランドのダメージは7D+1。そんなものをわざわざ出す必要があるかどうか、という意味)

ジョージ まぁ、どうせ貫通するだろうからなぁ。

ジェームズ なに、カンツウする?

GM 南氷洋の下で殺人ペンギンに往復ビンタされてろ!ところでジョージくん、貫通という用語解説をどうぞ。

ジョージ うむ。英語で言えばブロースルー。銃弾や刺し攻撃は、ダメージが目標のHTを超えるとそこで突き抜けて後ろへ「貫通」してしまうのだ。最大でもHT分しかダメージを受けないと言うことだね。ただし、我々は、追加HPを持っている場合、貫通の値はそちらで出すようにしている。このネズミがそんな御大層なものを持っているとしたら、出す必要はあるだろう。

GM ありません。お大事に。だがまぁ、一応ふってみそ。

ケイン 24点。2発目は25点。

GM さすがに脱落だ。

 さて、ここでポイント。我々は、マスターがイニシアティブを取った場合、PC側のNPC、すなわち味方の行動は、PCの後に来るということにしている。敵の行動は先刻終わったが、まだNPCズの行動があるんだね。でははじめる。

 まず軍医殿。このネズミに拳銃の狙いをつける。

ジェームズ しかしフィアナが邪魔だった。

GM おーまいがーっ。ならその隣のネズミだ。

ジェームズ それはケインが邪魔だった。

GM むきーっ。それでも狙ってやる。次のカミンスキーは論外。(駐:彼は車に銃を取りに走り、以降一切参加していない。)ガーツは横に一歩踏み出す。ジョゼッペはここから狙う。以上。

 これで一通りの行動は全員終わった。が、ここで更にきわめて重要なポイント。我々は、邦訳番の「マーシャルアーツ」の199ページに載っている「高レベルルール」を基本ルールとして導入している。8レベルごとに1回の攻撃と受けとが出来て、16レベルなら1ターンに2回の攻撃と受けとが出来るという奴だね。そこで、我々は16レベルの最初の1回を第一フェイズ、以降を第二、第三フェイズ…と呼称している。イニシアティブで決まった順番に、フェイズをこなしていくわけだね。ではこのネズミたちに第二フェイズは存在するのだろうか!?

ジェームズ しない。

GM 当然だね。ではジョージ。

ジョージ 私はライトオートマチック技能が18レベルある。つまり、第二フェイズがある。が、先ほどトミーガンの射率目一杯撃った。射率は1秒まるまる使って撃てる弾数なので、すでに1ターン分の行動は終えたと見なす。行動は無し。

ジェームズ 私も拳銃は16レベルあるが、射率3〜の拳銃を2発撃った。半分以上撃っているので、既に1秒の半分以上を経過している。故に私も第二フェイズは無い。

ケイン 同じ理由で、私も無い。

GM では第二ターンの宣言。

ジョージ フィアナの前に出て全力防御。カテゴリーは「防御判定+2」だ。

GM 解説しておくと、コンペンディアム2で紹介された追加ルールなんだね。全力防御にはそのターンのあらゆる防御判定に+2というカテゴリーがあるんだね。

ジェームズ はっきり言ってそれ以外に全力防御の存在価値は無い。私は反動補正に1行動使って、その後狙う。

GM 更に解説すると、銃器は、「反動補正」という行動を入れない限り、正確さのボーナスは+3で止まり、反動は加えられ続ける、という事になっている。この辺りはベーシックには載っていない。問題だ。

ケイン 私も補正。

GM 獣はやることは1つ!手近な奴に全力攻撃じゃぁ。てなわけでイニシアティブ。

ジョージ おっと、ところで、次からは〈戦術〉のボーナスを加えて構わんな。

GM リーダーのキミが号令をかけてるからいいでしょう。

 はっきり言っておきますが、〈戦術〉は軍事系技能なので、一般の人間はもちろん、一介の冒険者風情に持てる技能ではない。そして、〈戦術〉のボーナスを得られるのは、そうした軍人でもリーダーのみ、もしくは、事前にブリーフィングしていた場合にのみ隊の全員が得られる、としている。今回は突発的なので、軍事訓練を受けてなおかつ指揮を執る立場の分隊長のみが得られる。打ち合わせしていれば、〈戦術〉の無い兵卒も、軍人階級がある以上、ボーナスが得られる。もちろん、ただの従軍記者でしかないジェームズにはそんなボーナスは無い。

ジェームズ 覚悟の上じゃ。

 このターンはジョージがイニシアティブ勝利。ビバ〈戦術〉。
 しかし、このネズミはやたらとしぶとかった。ダメージは確実に与えているが、HTが高く、気絶もしなければ死にもしない。こんなものをレイピアで相手にしなければならないルナルの住人はホントに気の毒である。

GM ではネズミがジェームズに移動の後全力攻撃。いわゆる全力チャージだ。

ジェームズ 「全力チャージ」もコンペンディアム2に載ってます。普通の全力攻撃は移動力の半分までしか動けないけど、全力チャージなら目一杯動けるのだ……って、喰らう身分で暢気に解説してる場合じゃないな。

ケイン 原版しか売ってないぞ〜。しかも売ってる場所も限られてるぞ〜。

ジョージ 頼む!SNE!訳してくれ!

ジェームズ ルナルの完全版なぞ書いてる暇があったら、もっと業界の充実に尽力して欲しいものだ。まぁほとんどのシンパはそういうリアリティが必要ないように洗脳されてるから……

GM そのへんでやめといてくれるかな。一応公の場所に出すんだし。それだとまるでルナルそのものがクズに聞こえるじゃないか。

ジェームズ 何言ってんの今さら。

ジョージ コンペンディアムどころかベーシックの一部すら無視してるじゃないか。

GM まぁその通りなんだけどさ。ところで御獣様のやることはダメージ+2だ。当たってるぞ。

ジェームズ そりゃ後退防御だろう。ところで、獣だから素手の攻撃とみなしていいかい。

GM よかばってん。

ジェームズ んだらば〈ボクシング〉の避けボーナスがあるな。今は軍服しか着ていないので受動防御はない。ほりゃっ。避けた。

GM ではケインの前にべしゃっと落ちることになる。で、次のネズミはジョージに全力チャージ……おおっ、クリット(クリティカルヒットの略)。

ジョージ ウェルカミング!

GM クリット表は9番。つまんねー。ダメージは4点。部位は胴体。

ジョージ ふっ、フラックジャケットで止まるぜ。

GM フラックジャケットは完訳版のベーシックに載ってたな。

ジョージ まぁな。ついでに言えば、追加の手持ち武器や防具の表がコンペンディアム2に載っている。お願いだから訳してくれ。世に広めてくれ。例えば、ディードリットの持ってる剣はスラッシングレイピアという刃付きの剣だが(あらゆる公式記述からして、間違いありません)、あれもコンペンディアムに載っているのだ。いや、ディードリットがやりたいわけじゃないけど。てゆーか死んでもやりたくねぇ。だがその辺のデータが無いと、まともなフェンサーを作った気にならない。訳してくんさい。

ジェームズ いつものような意図的な誤訳は一切抜きでお願いしたい。その良い例が「気前がいい」という特徴だったな。知らん人のために言っておくが、あれは−5CPの不利特徴だからな。コンペンディアム1を読め。

ケイン んー、本筋とは違う話になってきたな。

 いや、それが眼目ですから……。
 ネズミの攻撃はまだ終わらない。

GM ジョージにネズミがとびかかる。

ジョージ 世の中には誤解してる人がいるだろうから、解説しよう。ジャンプの際に〈跳躍〉技能を振る必要は無い。あれは、基本の跳躍距離を伸ばす技能なのだ。故に技能無し値が無い。余計に飛びたい場合に、〈跳躍〉が必要なのだ。

 このリプレイは教育リプレイです。
 この後、ネズミは全部キャラとの格闘に入る。執拗に全力攻撃してくるのでPCも必死である。さすが獣はやることが単純だ。

GM 忘れてたけど、フィアナもやることがあるぞ。

ジェームズ 脱ぐ。

GM 死ね。

ジョージ フィアナは暗殺器具を取り出した。

GM その通り。君たちにとっては不確定名奇妙な扇だ。とても大地母神の信者が使うとは思えねー。準備で1ターン使う。さて、次に第三ターンだ。

 なんという泥臭い戦闘になってきたことだろう。ネズミに格闘を挑まれたキャラは、近距離で銃を撃ち始める。

ケイン この状況で銃をネズミに押し付けるにはどうします?

GM 普通なら部位修正をかけたただの敏捷判定なのだが、近接中のキミは−6の修正がかかる。

ケイン それは厳しい……。ナイフを抜いて斬りつけよう。

GM 宣言の変更はなるべくやめてほしいが、今回はいいとしよう。

ジョージ 近接中に飛び道具が使えないと言うのは一部の武器だけだ。銃などは必殺の一撃となるであろう。ついでに言えば、押し付けて撃てば必ず最大ダメージを与えることが出来る。

ジェームズ まぁそれでも死ねない人が大勢いるが……。

 なおも戦闘は続く。

GM 近距離で格闘したり銃を撃ったり、凄絶な状況だね。返り血をたっぷり浴びてると思ってくれ。

ジェームズ うむ。つまり先刻の軍医の発言は伏線だったというわけだな。

GM 言うでないって。

 ジョージはネズミに銃口を押し付けてフルオートで銃弾をたたき込む。ジェームズも同じく押し付けファイアをしようと試みる。3発撃って最後の1発がクリット!しかし表は10番で面白くない。しかもネズミはまだ死なない。

ジェームズ なんちゅーしぶとさなんだ!

GM こいつはHTがバカ高くてねぇ。

 更にネズミはジェームズに全力攻撃。ついに牙を喰らってしまう。

GM 4点の切り。

ジェームズ そいつぁ痛ぇぜ!1点止まって3点の切りか。

ケイン フラックジャケットで止まりませんか?

ジェームズ 私は軍人ではない。戦闘中でもないのにそんなものは着けていない。

GM (律儀だなぁ)

ジェームズ いや待てっ!「幸運」を使うぞ!

GM どうぞ。

ジェームズ なら避け……(出目が16)なにーっ!もう一度……うおっ、ぎりちょんだ。

GM 崖っぷちの記者生活だな。次のネズミは当たってるぞ。

 これは喰らってしまうが、軍服で止まる。
 この後フロンベルク軍医がネズミに向かって銃弾を3発ぶっ放す。しかし!彼は乱戦の外から撃ち込んだのだ!と言うことは!
 射線を確認すると、とてもおそろしひことが分かるのであった。

ジョージ きゃ〜。

ジェームズ ネズミの後ろはケインとフィアナとジョージと、他のネズミか。当たらなかったら楽しい判定が待ってると言うわけだね。

GM 何しろ軍医はただの技術将校ですから。

ジェームズ まぁ判定してみそ。

GM お!抜き撃ちを割る!では……きゃ〜、全部はずれてるぅ。

ジェームズ と言うことはまずケインだな!

GM 流れ弾判定行きます。

ジェームズ NPCが弾をはずして、その弾の行方はマスターのサイコロ次第か。なんちゅー状況なんだ。

GM 9以下で当たる……当たってるし。2発当たるかな。

ケイン 避けられます?

GM 無理。予期しない方向から飛んでくるからな。受動防御のみだ。部位はランダムに決めて……どっちも胴体だな。胴体の受動防御判定どうぞ。

ケイン もけっ(註:彼なりの叫びらしい)はっはっは。

GM 10点+と5点+。

ケイン 5点は止まる(彼はフラックジャケットの上に軍服を着ている。軍服は冬服扱いで1点のDRがある)。10点が来て……7点のダメージ!いてー。

GM 更に転倒判定、そして朦朧状態だ。転倒判定には衝撃効果を加えなさい。我々は、衝撃の効果は、喰らった直後から次のターンの自分の順番まで持続するとしているのだ。

ケイン −14!(註:彼は「痛覚過多」の特徴を持っている)倒れます。

GM 次はフィアナ!これははずれる。その後ろのジョージ……当たる。

ジョージ 受動ぼ〜ぎょ!んにゃ〜、5!惜しい〜。

ジェームズ 済まぬ。まだ「幸運」が回復していない。

GM 5点+。

ジョージ それは止まるが、さすがに不意打ち判定……してる!朦朧!やべぇぜ!

 軍医殿、そりゃあ厳しいぜよ……。
 しかも次のジョゼッペは銃剣がブルファン!大きくはずれる。

GM 味方がこんなに足を引っ張っていいのだろうか。次のターン。ケインとジョージとは朦朧回復判定。

ジョージ 成功。

ケイン これにも負傷の効果ってあるんですか?

GM いや、朦朧回復判定は基本生命力でOK。じゃないと永久に回復しない場合もあるしね。

ケイン なら成功。

ジョージ 宣言。伏せてー!だが伏せるわけにはいかない!(彼はフィアナの前で彼女をかばっている格好になっているのだ)こいつを蹴る。

ケイン 膝立ちぃ。

ジェームズ えっ!と驚いて、意志判定に成功したらケインをかばうべく移動し、ネズミに残りの2発をたたき込む。

 だがマスターがイニシアティブを取ってしまった。あはれなPC達よのう。

GM ジョゼッペに攻撃……ブルファン。

ジェームズ 動物ファンブル表だね。ちなみにこれもコンペンディアム2に載ってます。ついでに言えば、格闘戦用のファンブル表まであるのだ。

GM どんどんコンペンディアムが欲しくなりますねぇ。次は軍医殿だが、こいつは恐怖判定。修正は無くてもいいや。平目で振って、成功。

ジェームズ ヒラメで振って、カレイに耐えた。アジな真似をしやがるぜ、サバを読んだに違いない。

ケイン うまいっ!

GM サバを読んじゃあいないけどね(註:本当です)。

 次にガーツがBAR(米軍の軽機関銃)を撃つ。が、GMが、セミオート射撃とフルオート射撃とのルールを取り違えて、少し紛糾する。

GM ちょいと間違えちまったい。ガープスは戦闘ルールがややこしいのう。

ジェームズ けどまぁ、ソードワールドみたいに「どうする?攻撃する。どうする?切る」よりゃあいいだろう。もちろん、ソードワールドでも、プレイヤーがそれしか言わないというのも問題だと思うが。

ジョージ (ソードワールドは)確かに完全版で少しはオプションが加わったけどねぇ。

ジェームズ 選択肢が無さすぎる。

ケイン ドラクエと同じですね。戦う、戦う、戦う、戦う……の繰り返し。結局「攻撃する」で終わっちゃう。

ジェームズ 全く味気ない。そんな戦闘が楽しいんだろうか。

 魂の叫びでした。
 この後フィアナの勇姿が見られる。バトルファンで攻撃!だがダメージが全く通らない。さすがに1D−3ではねぇ……。

ジェームズ まぁ対人間用の武器だからな。

ジョージ 暗殺用のな。

 ジェームズがネズミの頭に銃を押し付けて撃発することになる。残りの2発を撃つつもり。

ジェームズ 押しつけは〈格闘〉でやってもいいかな。

GM いいでしょう。動物部位表によれば、修正は−5。動物部位表や車輌部位表もコンペンディアム2に載ってます。

ジェームズ げっ、はずれた。だが撃たねばならない……ブルファンは無いぞ。

GM では誤射判定。ちなみに、これで当たっても避け判定が待っているのだ……どっちも当たらないな。

ジェームズ 銃弾は大地を穿つ〜。

 銃火器の戦闘は大変危険なのであります。

GM ではこのターンの宣言。

ジェームズ やることは1つ。銃を捨ててナイフを抜いてアタック。

GM (こいつ確か従軍記者だったよなぁ)

ジョージ 下がれと言いたいが、聞こえない奴が約1名いる(註:フィアナのこと)。白兵!と叫んで自分もそれに加わる。トンプソンは捨てる。

ケイン 予想は1つ。狙って撃とうとするが、視界がぼやけて見えない!キャンセル。以上。

GM いいんかい。ならイニシア(イニシアティブの略)。

 しかもケインがイニシアティブを取って、実質的にマスターの先攻となるのであった……。
 でも大した戦果はなかった。

ジョージ ケインの足下にトンプソンを捨てて、踏み出す。もはや誰も銃を撃つ気配は無いことを確かめて、以上。

GM 次ジェームズ。

ジェームズ 〈準備〉ナイフ。成功。ネズミに顔面全力攻撃!修正は−5、全力攻撃は技能+4!成功。ダメージは……なにーっ、0点!刃物なので最低1点のダメージはあるが、防護点で止まるだろう。

 こういうのを「あはれ」という。
 第二フェイズに入る。

ジョージ どう見てもフィアナの攻撃は利いてないね。

GM 間違いない。

ジョージ 背後から襟首を掴む。成功。次のターンに後ろに投げ飛ばす。

ケイン カットスロートかと思った。

GM だったらシナリオは大幅改定だな。ジェームズは第二フェイズはあるかい?

ジェームズ はっはっは。実は15レベルしか無いのさ〜。何しろ従軍記者ですからね〜(註:彼は〈マンゴーシュ〉技能でナイフを振っている。並技能なので16レベルに持っていくのは少々厳しかったらしい)。

GM では次のターンの宣言。

ジョージ フィアナの投げ飛ばしに成功したら白兵に参加。

ジェームズ 目!(目を攻撃するという意味の叫び)

ケイン 全力防御。

ジョージ イニシアは俺だ。で、投げ飛ばしだが、これは背後からの「倒し」だな。〈レスリング〉で判定していいかな。

GM いいでしょう。

ジョージ では「倒し」。

ジェームズ 倒し。

ジョージ&ジェームズ タオシ!(註:分かる人にしか分かりません)

GM はよせい。

ジョージ んだらば判定。ピンゾロ!

GM 投げっぱなしジャーマンですな。

ジョージ 尻餅突かせるように投げたので、首を折るような真似はせんだろう。

GM あ、そ。ではジェームズどうぞ。

ジェームズ すげぇぜさすが超越者ホントに死なねぇぜ攻撃!

ケイン うっひゃ〜。

GM ネタが深いなぁ。

ジェームズ 当たってます。

GM 全力攻撃中のネズミは避けられないのさ。来なさい。

ジェームズ 5点の刺し!

GM まず2点で目がつぶれる。残り3点が脳に達して4倍の12点。先ほどからのダメージを加えると……うむ、さすがに死亡判定だな……生きてるなぁ。

ジェームズ ホントに死なねぇぜ!

GM ばらすけど、こいつはHTが17もあったりするのさ。HPは10点だけどね。ま、脳にHP分のダメージが来たから自動気絶だ。

 あの攻撃を以てしても死なないモンスター!大変なもんが出たものだ。
 NPCズの攻撃に入る。

GM 「軍曹どの〜!」と叫んでガーツが突っ込んでくる。

ジョージ おお、我が分隊の最終兵器が来る!

ジェームズ うん、唯一こいつと互角に張り合えるパワーキャラだね。となると私とタッグを組むことになるのか!?

GM いい加減そのネタから離れろ(註:ネタがディープですいません)。

ジョージ ではガーツに期待を残しつつ、第二フェイズの攻撃だ。相手は全力攻撃中なので【KOパンチ】をかます!

GM この際はっきり言っておきますが、格闘動作はどんなキャラでも獲得できます。マーシャルアーツでしか取れないなんて奇妙奇天烈なことは考えないで下さいね。ちなみにこうした動作をマニューバーと言います。

ジョージ ま、これは技能無しだけどな。う、はずれ。

GM 他の連中は行動が無い。宣言だ!

ケイン 全力防御。

ジェームズ 脇腹アタック。

ジョージ ボクシングスタイルだからなー。ジャブジャブKOパンチ。

 イニシアはマスター。
 ネズミがジョージに攻撃して1点。止まる。

ジョージ 顔面ジャブ二回命中。3点と……0点。やっぱな。頭部の0ダメージ気絶判定をどうぞ。

GM しねぇよな(註:彼は〈ボクシング)のダメージボーナスを忘れている。もったいないね)。

ジェームズ ホントに死なねぇぜ攻撃命中。4点の刺しだ。

GM ホントに死にません。

ケイン 全力防御。

ジョージ では我が分隊の最終兵器をば。

GM はっはっは。こいつはアメフトの選手なのさ。タックルを〈運動/アメフト〉技能で振るぞ。「体当たり」だから敏捷即決。ネズ公は横から喰らって−2。当たってる。

ジョージ では転倒判定だ。

ジェームズ うん。体当たりしたからと言って必ず相手が倒れるとは限らないんですねぇ。ぼのぼのとシマリスとの関係を見ても明らかだね。

GM 立ってるなぁ。ネズミは……倒れるなぁ。続いてジョゼッペが全力移動攻撃ダメージ+2。失敗だな。フィアナは「なに?」という感じで現状把握に1ターンかかるな。

ジェームズ ドクターモウロウしたかい。

GM してない……しつこいぞ。

 ターンは次に移る(ジョージは第二フェイズをキャンセルした)。
 ガーツが自慢の体力で押さえ込みに入る。なんだかんだ言って一番役立ってるよなぁ、 こいつ。
 ところで、体当たりを〈運動〉技能で判定していいのか、という感想もあるだろう。もちろん構いません。てゆーか、出来ない方がおかしい。〈専門/OL〉技能で電卓の早押しを判定させてもいいだろう。技能というのはそういう風に使いまわすものである。
 この「押さえ込み」にも、〈運動/アメフト〉技能の1/10をボーナスに加えている。マスタリングとは、かく臨機応変に対処していくべきなのである。
 続いてジョゼッペがそのネズミに押し付けファイア!情け容赦なく3発ぶち込む。 「押し付け」に対する回避は可能である。まぁこの場合は多大なるペナルティを喰らって、だが。「押し付け」から逃れられれば、銃弾は全て避けられる。
 無論ネズミはあえなく昇天した。これでネズミは一匹残らず排除された。

GM え〜、昇天あそばされました。

ジェームズ え、何もこんなところで……。

GM おとろすぞこの野郎。

ジョージ 警戒!警戒!

GM 「はい、軍曹殿!」ガーツが立ち上がって警戒モード。

ジェームズ 拳銃を拾うぞ。

ジョージ カミンスキー、何やってる!

GM やっとトラックから這い出てくる様子だな。

ジョージ 車輌近くを見はってろ!

GM 「イエッサー!」

ジョージ で、このへんにいる連中に叫ぼう。ゆっくりするな!立ち上がれ!

ジェームズ ショットガンを取りに行こう…いや、その前に、軍医殿はどうした?

GM 呆然棒立ち状態だな。

ジェームズ 軍医!しっかりして下さい!戦闘中ですよ!

ジョージ 構わん!横っ面ひっぱたけ!

GM おう、そいつぁあはれだからその前に気づこう。「ああ、大丈夫です」

ケイン 森の方に銃口を向けて警戒。

ジョージ 軍医を連れてジープまで行って、ショットガンを出して一緒に遮蔽物モードだ。

ジョージ ランプを持って移動だ。全員車輌遮蔽しろ。

ジェームズ 軍医、武器は?

GM 持ってます。

ジェームズ 弾は?

GM 「あります……ケインくんは大丈夫でしょうか」

ジェームズ 終わってからにしましょう……とは言いつつやっぱり心配だな。

ケイン 実は厳しかったりして。

ジョージ フィアナには手招きして「Hurry Up!」

GM そのジェスチャーぐらい分かるだろ。

ジョージ 一分間何も無かったらこの場を移動だ。

GM お大事に(註:分からない方がいいでしょう)。

ジョージ じゃあここから離れる。忘れ物は?

ジェームズ あるとすれば薬莢ぐらいか。

GM まぁ夕食もそうなんだが、散らばっちゃって跡形もない。野犬か何かが処理するだろう。
 で、出掛ける前に確認しておこう。今ネズ公から0点でもダメージを喰らった、もしくは返り血を浴びた人。

ジョージ&ジェームズ はい。

GM ふふふ。覚えておこう。

 以上が本日最初の戦闘の概要である。概要と言いつつかなり細かく起こしている。
 我々が普段どういう戦闘をしているか、大方分かってもらえただろう。決して「攻撃する」で終わるような、抽象的かつ無味乾燥な戦闘は行っていない。
 ガープスは戦闘が楽しいシステムである。是非頭を使った(クレバーな、という意味ではない)戦闘をして頂きたい。

ジョージ 10分ほど先に進む。

ケイン 血止めだけでもしてくれい。

ジョージ 揺れる車輌の上で。

ジェームズ ほっといても軍医がやるだろう。

GM まぁね。でもこの場合彼にはペナルティがかかるのさ。

ジェームズ 当人だからなぁ……。

GM それでも彼はプロだった。〈応急処置〉は成功して5点回復……なのだが……少々問題が残る。

ケイン 抜いてないんですねぇ。

GM その通り。〈応急処置〉では弾丸摘出までは出来ないのさ。摘出は〈手術〉だからね〜。血は止まったけどね。

ジョージ そろそろ降車しよう。

GM あいよう、おろろん。降りると軍医は軍曹に近づいて「軍曹、あの……」

ジョージ 摘出お願いします。

GM 「あ、はい。分かりました」

ケイン 何となく嫌みだな。

ジョージ それと、血に毒が無いとも限らんからな。ジェームズ、先に見てもらえ。

ジェームズ じゃ、お言葉に甘えて。

GM 摘出の方は多大なるペナルティを喰らい……成功だ。でもHT−3判定しといてくれ。

ケイン 成功。

GM (くそ)はいよ。1時間はかかるかな。

ジョージ その間、こっちは装備の洗浄その他だ。

 ところで、我々はプレイ中の音楽を重視している。戦闘の間も、プレデターのバトルメロディをかけていたりしたのである。リプレイでは分からんが。
 さて、戦闘が終わって何の音楽にしようかという話になる。

ジェームズ 先刻のでいいや。

GM じゃ、これ(CDを渡す)。何番(CDの曲番のこと)にする?

ジェームズ 倉庫番。

GM 言うと思ったよ……。

ジェームズ ホントーか?ホントーに「倉庫番」と言うと思ったか?

GM 何かしら言うと思った。まっとうじゃないことをね。

ケイン 同じく。

ジョージ (註:彼は何も言わなかったがおそらく同じ気持ちだったに違いない)

 お気づきと思うが、ジェームズのプレイヤーはアホです。

GM え〜、やはり軍医は言うことがあるようです。

ジョージ 学習して下されば結構です、少尉。自信が無ければ、目の前以外の敵を探す場合、たっぷり1秒考えてからにして下さい。

GM 「はい……」

ジェームズ 僕の知っている男に、何をやっても学習しないのがいるんですが……横で見てても腹立つんですよ。何回言っても同じ失敗をするのがね。

ケイン 第三分隊のあいつですか。

ジェームズ 面構えはいい方なんですがね。腕もそこそこいいはずなんですが、その活かし方がね、分かってないんですよ。そのくせ失敗すると平気で人の所為にしますしね。

ケイン 多分僕の知ってる奴と同じですよ。

ジョージ 一番頭に来るタイプだな。

ジェームズ 正直戦場でおまえの背中にボーガンの狙いを定めたのも数知れねぇってとこですね。何度も同じ失敗を繰り返す向上心の無い者を馬鹿というと夏目漱石も言っている。

GM もはやキャラクターのセリフではないな。ところで軍医はジェームズの診療もやってくれますが。

ジェームズ どんなもんです?

GM 「多分大事無いでしょう」

ジェームズ いや、大丈夫なら大丈夫、駄目なら駄目とはっきり言って下さい。頼りはあなただけなんですから。

GM 「今は大丈夫です」

ジョージ 凄い表現だな……。

GM> ジョージにジェームズ、自分のHTを正直に言いなさい。

ジェームズ 11。

ジョージ 13。

GM なるほど……(何か判定する)……結果は乞うご期待だ。

ジェームズ (ろくなもんじゃあるまい……)

GM てなわけで、めいめい装備を洗い出す。フィアナは「何でそんなに神経質なの?」てな感じで見ている。

ジョージ 聞いておくか……〈身振り〉は成功。

GM 《言語理解》……「何?」

ジョージ あの生物はなんだ?

GM 「決まってるじゃない。オオネズミよ」

ジョージ 俺達の世界じゃあ、あんなのは南米の奥地にでも行かねぇと見られない。

ジェームズ 滅多に見られないということだ。このへんじゃ多いのか?

GM 「よくいるけど。森とか野っ原とか」

ジョージ 毒とか病気とかは持ってないのか?

GM 「たまにあるけど、大丈夫よ。そんなに大したもんじゃないし」

ジョージ 軍医、しっかり診て下さい。抗生物質があるなら使いましょう。

GM 「ペニシリンを射てと言うんですか」

ジョージ 予防用が無いなら、熱が出てからでもいい。

GM しぶしぶ分かったような顔だな……当時のペニシリンは精製技術が未熟だから副作用が酷いのさ。だからこんなときになるたけ使いたくはない。

ジョージ (フィアナに)先刻は済まない。その武器ではいまいち効いてる様子が無かったんでな。

GM 「いや、それはいいけど、先刻怪我した人大丈夫?」

ジョージ 一通り処置はした。

GM 「あたしに手伝えることがあるなら、何かやるけど」

ジョージ 専門家がやったんだから、もう大丈夫だろう。

GM 「ああ、あの人お医者さんなの……さっきから変なことごちゃごちゃやってたとは思ってたけど」

ジェームズ ああいうやり方なんです。

ジョージ (ジェームズに)医療技術はこっちとは違うみたいだな。

ジェームズ フィアナさん、先刻使ってた奴、見せてくれますか。

GM 渡します。

ジェームズ 広げる……扇だなぁ。

GM 扇ですねぇ。

ケイン ここんとこが刃になってますけど。

ジョージ 暗殺集団の一員なんじゃないか、やっぱ。

ジェームズ 扇ぐように使ってみせる。ぱたぱた。

GM 「なにすんのよ!」とひったくる。

ジェームズ ほっぺたが切れそうになる。僕たちの方じゃこう使うんですが、こうは使いませんか?

GM 「そう使うときもあるけど、これは駄目」

ジョージ 愛用品なんじゃないか?

ジェームズ あいよ〜ん。

ケイン 愛用品で殴るんですか。

ジョージ 個人の勝手だ。

ジェームズ どう見たって武器だからなぁ。これはそうは使わんだろうなぁ。

GM 「あなたたち、ホントに何も知らないの?」

ジェームズ 知ってたらもう少しマシな話をします。

ジョージ 確認しよう。この世界には銃はあるか?

GM それには少し胸を張って「馬鹿にしないで。あたしだってそんな田舎者じゃないわ」

ジェームズ 都会にしかないのか……。

ケイン どんなかな?

ジョージ マスケットか?それともホイールロック?

GM 判定以前の理解を超えているようだ……。

ジェームズ マッチロックか。いや、マスケットもマッチロックと言えなくもないが……。

ジョージ 着火形式の違いだ。知らんか?

GM 「あたしに分かるわけないじゃない、そんなこと。ドワーフにでも聞いてよ」

ケイン&ジェームズ ドワーフ!

ジェームズ ドワーフに反応出来る。

ケイン あ、僕には出来ない。

GM 軍医は出来るぞ。「ドワーフ?」

ジェームズ トールキン?

ケイン なんですか?

ジェームズ トールキンは幻想小説の作者。ドワーフはそこに出てくる妖精です。

ジョージ 妖精が火薬を使うのか?

GM 「確かに北欧神話のDvergr(ドゥヴェルグ――英語読みするとドワーフ)は鍛冶をしますから、考えられなくはありませんが」

ケイン (フィアナに)銃はどこで見られるんです?

GM 「そりゃあデルバイ神殿でしょう」

ケイン その神殿はどこにあるんです?

GM 「ドワーフの町に行けばあるでしょうよ」

ジェームズ そんなとこがあるんか……。

GM 「ちょっとちょっと……」

ジョージ 申し訳ないが、何も知らない。

ケイン 神殿というからには神様がいるんですか。

ジョージ 少なくともデルバイが何かは知らない。

ケイン 子供に物を教えるように教えて欲しいですね。

GM (フィアナが)絶望的な顔、と言うか、「もうどうしましょう」という面構えだな。

ジェームズ どうしましょうたって、どうなるの?

ジョージ (フィアナに)キミはそのデルバイの信者ではないのか?

GM 「違うわ」

ケイン じゃ他の宗教か?

GM 「失礼なこと言わないで」と言っておもむろに空を見上げ、ここから先はルナルの7宗教概念の蕩々たる説明に入る。まず月を見ろ、という感じだ。

ケイン まず輪の月か。

GM うむ。そこから入る。パワーストーンがあるにはあるが……10分で説明出来るとは思えんが、やるだけやる(《言語理解》の通常の持続は1分)。〈指導〉!よっしゃ。
 要するに、ルールブックの冒頭を詩ってのけるわけだ。解説を加えつつ行くと、どうしても10分以上かかるだろ。

ジェームズ 内容理解に2分かかります。プレイヤーが。

GM 正確には内容納得が、だね。

ケイン 早い話、ワケが分からない。

ジェームズ 神様が7〜8人いるんだな。

ジョージ 少なくとも彼女の文化圏では多神教なわけだ。

GM 「古代秘教の世界ですね」

ジョージ で、神のおかげで魔法が使えるというわけか。

GM 神はいろんなことを教えてくれるそうです。

ジョージ 原始宗教だな。

GM フロンベルクいはく「笑い事じゃなくなってきましたよ。我々の地球に魔法はありますか?」

ジェームズ 高い確率で無いでしょう。

GM 「ありませんね。で、この物理法則は銀河系のどこでも、いや、宇宙の果てに行っても同様です」

ジェームズ つまりここは我々の宇宙では無いのだな。

GM 「そういうことです」

ケイン では、軍曹殿が、我々は来たのはあそこ(空を指さした)だと言ったのは嘘なんですね。

GM 「嘘というと語弊がありますが、少なくとも間違いですね。これはもう、おとぎ話の、霧を抜けたらそこは……、って奴だと思うほかありませんよ」

ジェームズ とてもへんなところ。我々は民話の世界に入ってしまったのか。

ジョージ とりあえず……ここではみんな宗教に入っているということになるな。

ケイン ということは、われわれも、ここに同化するにはどこかの宗教に……。

ジョージ 同化する気はない。

GM 「しかし、それは不可触賤民への道を自ら突き進むということではないでしょうか」

ケイン われわれは異端として魔女狩りされるんでしょうか。

ジョージ ものが宗教だからな……。だが、これだけの多神教が蔓延ってるんだ。宗派同士の対立はほとんど無いんじゃないか?

ケイン しかし、月同士の神は対立しているようなことを言ってませんでしたか?

ジョージ どういう風に社会が成り立っているのか分からないな。

ジェームズ 年中戦争状態……。

GM 彼女の話では、この間助けたあのインディアンもどきの子供、あれは緑の月を信仰して、森に住んでいる、ということです。人間は少なくともこういうところ(辺り一帯を示す)に住んでいる。
 (軍医が)「住み分け、ですか」

ケイン 耳が長いか短いかで住み分けというのも、どうかな。

ジョージ 十分な差だがな。ただ、剣だなんだで戦うには不相応なほどの高度な社会区分が為されているからこそ、大した争いが起きていないかもしれん。

ケイン だとしたら、もう少し文明が発達してても良いんじゃないんですか。それとも、神が近いと人間こうなるんですかねぇ。

ジョージ 謙虚に生きてるんだろう。

ケイン じゃあパラダイスですね。

ジェームズ こんなに神がせめぎあってて、パラダイスか?

ケイン 少なくとも、平和なんでしょ。

GM ここで軍医が跪いて天を仰ぐ、「ああ、主よお助けよ……われわれの祈りは通じるんでしょうか」

ジェームズ ヨグ=ソトースには通じるでしょう。

GM 「ラヴクラフトの?……それは嬉しくありませんね」

ジェームズ ここにも来るのか?あれは。

ケイン 銀の月があるから来るでしょう。

ジェームズ (節操がねぇ世界だ……)

ジョージ 村に向かって前進するか。

ケイン 徹夜で?

ジョージ われわれは夜の間しか言葉が通じない。

ケイン 今何時ですか?

GM イタリア標準時夜の九時。

ケイン もう寝てるんじゃあないでしょうかぁ。ちょっとこの棒で動かしてみましょうねぇ。

ジェームズ いい傾向だなぁ(註:分かりませんね)。

ジョージ 大半が寝てる方が良い。まず代表者か何かと話を付ける必要がある。

ケイン しかし、車の音で起こされて、攻撃的になるってこたぁありませんか。

ジョージ 車で全員乗り付けるつもりなのか?

ケイン なるほど……。

GM じゃあ出発するね。

ケイン 気分も大分回復したし、再び運転席へ……。

ジェームズ いや、当分俺がやるよ。それに、村はすぐそこだろうし。

GM 軍医はあれでなにがそれなので、トラックの方に移る。

ケイン 逃げたな。

GM じゃあ全員の配置を確認しておこう。

ジェームズ ハイチを確認しておこう。

GM 一人で呪ってなさい。

ジョージ では軍医の代わりに俺がジープに移ろう。ケインもトラックに行け。また熱でも出ると困る。

ジェームズ フィアナは道案内だから前だろうな。

 キャラの居場所が再確認されていく……。

ジェームズ 八人も居たのか、俺等は。

ジョージ 理想的な配分ではあるな。

ジェームズ うむ。マスターが忙しいだけだ。

GM 当然そのしわ寄せはPCに行くのさ。で、車は走り続ける、と。

ジェームズ (走りながら)いやぁ、妙な病気をもらわないことだけが願いですねぇ。

ジョージ 全くだ。

GM (うひょひょ)え〜、街道沿いに走っていくと、やがて十字路に出ます。

ジェームズ 車を停める。

ジョージ フィアナを見る。

GM 指を指す。その方向には、ライトに照らされて、十字路の真ん中に道路標示とおぼしきものが見える。

ジェームズ 降りて近づく……読めん。

GM 読めないね。で、フィアナが黙ってジープを降りたと思いねぇ。それで、十字路の脇に、祠のようなものが建ってるんだね。

ジェームズ 誇らしげな祠。

ケイン ヤな祠だなぁ。

ジョージ 降りて見に行く。

GM うむ。で、そこにフィアナが跪いて、なにやら祈るような仕種を見せる。

ジョージ クシティ・ガルバか?

ケイン いや、道祖神じゃないでしょうか。

GM で、それが終わるとジープに戻って、何か二言三言話して、改めて一本の道を指さすと思いねぇ。

ジェームズ まぁそっちに行けと言うことだろう。方向指示器で確認して、出発だ。

ジョージ ちょいまち。一応目印を付けておかにゃならん。ガーツ!

GM 「イエッサー、軍曹殿!」

ジョージ 木切れと釘、それにペンキあるか?

GM (何か判定する)「ペンキはありません、軍曹殿!」

ジョージ 代わりになるものあるか?タールでいい。

ジェームズ インクならありますが。

ジョージ 油性か?

ジェームズ 油性です。

ジョージ やむをえまい。それでいこう。板に「MY HOME ?」と認める。先の方を削って尖らせる。標識の脇に、今来た方向に合わせて、釘で打ち付ける。

GM 終わったら出発だな。めりめり走っていくと、一時間ぐらいして、フィアナが何か声を挙げます。

ジェームズ 停まろう。

GM 何か指さします。立て札が立ってるんだね。で、「リーダン」と漏らす。

ジェームズ 「リーダン」のスペルをメモしておこう。

ジョージ 消灯。車を脇に避ける。

GM では恐怖のカミンスキー〈運転〉チェック。

ジョージ ぎゃあ。

ケイン 恐怖なのか……。

ジェームズ 味噌汁なのか…。

GM プレイヤーの命を危険にさらしていいかな。で、判定は成功して、全員ぞろぞろ降りてきます。

ジョージ まず、村落の様子を忍び込んで探るか、何人か代表を立てて普通に接触を取るか……迂回はしてられねぇからな。いずれ通る道だ。少なくとも歩兵操典にはこういう例はないからな。皆の意見を聞こうか。

GM カミンスキーいはく「それは行くしかないですよ。でも、いいんですか、忍び込んだりして」

ジョージ 忍び込む場合の目的は、まともな、我々と生物学的に同じあるいは近い人間かどうか確認することだ。

GM 「ですが、あの子(フィアナのこと)がああ言うからには、やっぱり当てがあるんじゃないですか?」

ジョージ 彼女の人格が信用できるかどうか、だが、この場合、知り合ってまだ非常に日が浅い。判断材料にはならん。その上で、彼女が善意に基づいて我々に何らかの便宜をはかるとして、その善意が我々の価値観と同じかどうか、それが問題だ。

GM 「軍曹はインテリなんすねぇ……お考えは分かりました」

ジョージ まぁIQは13あるからなぁ。

GM ジョゼッペいはく「何なら、逆に制圧を考えるのも手っすよ」

ジョージ 相手の戦力も不明なのにか?

GM 「それは偵察して……」

ジョージ じゃあ「忍び込んで偵察」という意見になるんだな。で……(ジェームズを見る)。

ジェームズ あ、私にも発言が許されるんですね。

GM いやぁ、正規の分隊員であるにも拘わらず発言が許されなかった男が約一名……。

ジョージ 彼の意見は一番最後に聞く。

ジェームズ そうですねぇ、普通の戦場でも、村を発見したらまずやることは偵察でしょう。私にやれってったって困りますけどね。いわゆる、敵を知りなんちゃらって奴じゃありませんか。しかし、そういう行動をフィアナさんはどう思うんでしょう?それで止めるようなら、脈はあるんじゃないすかね。

ジョージ 彼女は疲れた様子かい?

GM 幾分ね。ひろゆきしてるよ。

ケイン こっちは暴睡だ。

GM 安心しなさい。軍医殿が楽になる薬を射ってやるから。

ケイン 楽になるんですか!

ジェームズ なに、ラクになるクスリをウってくれる?

ケイン 楽しくなる薬じゃないでしょうね。

GM 分量を違えるとそうなる。

ケイン ぎゃあ。

ジョージ ささやかに〈診断〉した……。

GM 何てこたぁないけどさ。

ジョージ さぁて……。

ジェームズ 来週のサザエさんは……。

GM 海山商事に入社させるぞこの野郎。

ジェームズ このギャグも必ず飛ばすことになって……

GM ないってば。

ジョージ 孫子の兵法で行くか、正直は最良の戦略で行くか、だが……。

ジェームズ ソンシの兵法で行くと、やっぱガスかな。

GM うきーっ。

ジェームズ 今すぐ行動を起こすんでしたら、前者でしょうね。唯一の仲介人が寝ている。起こしゃいいんだけどさ……。

ジョージ ガーツ、おまえは?

GM 「はい、ええと、やっぱり、正直な方がいいと思います」

ジョージ よし……サポート二名を迂回させる。ガーツにジョゼッペだ。

GM 「イエッサー。よし、行くぞガーツ」「分かった」と言って、闇の中へと消えていく。無論トランシーバーを持っていく。

ジョージ カミンスキー、おまえはここに残って少尉殿とケインの保護、及び車輌の確保だ。即応できる態勢で無線に張り付いてろ。だが周囲の警戒を怠るな。

GM 「は、はい。」

ジョージ 俺と、ジェームズと、フィアナとで、折衝に臨む。先に言って於くが殺生ではない。

GM で、画面は上空に向かってPANするだろ。そしてガーツの独白モードに入る。

「変なネズミも出てきたし、フィアナさんは不思議な人だし、やっぱりここは、 おとぎの国みたいだ。でも、やることはいつもと同じだった。今日も機関銃を 撃って、みんなを助けた。そして、森の中を走った。
 お母さん、おとぎの国も、あんまり楽しいところではありません」

ケイン 結局我々は軍人なんですねぇ。

ジェームズ おいらは違う。

GM では次回へ続くだ。果たして村に待ち受けるものは何か?バクスター分隊の運命は?そして、彼らはどこまでこの世界に順応できるのだろうか!?

ジェームズ はっきり言えばしたくないんだけどな。

ジョージ うむ。

GM 言うない。

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