『笑って楽しい陰謀論』

「答えはひとつ──笑い飛ばすのである」

と学会会長 山本弘

 陰謀論というものは『秘密結社』、『支配エリート』、『世界政府』など、 一般生活の中では全く馴染みのない言葉が飛び交うこともあり、 あるかもないかもわからないことを論じられるので実に怪しい印象を与える。 私自身はあくまで客観的な立場で陰謀論を考えるつもりでいるのだが、 お人好しの性格がたたってか「へーそうなんだ、本当かも?」ということもしばしばである。
 しかし!陰謀論の世界は深い! 「思い込みもいい加減にしろ」と言いたくなるような呆れることを通り越して思わず笑ってしまう陰謀論も多々存在する! 『宇宙人侵略説』や『ユダヤ人陰謀説』といったものが良い例だ。 その世界にどっぷりと浸かってしまっている陰謀論者の暴走を止める術はない。 そういう人々は自分の主張に対して確固たる自信に満ちあふれており、 それに待ったをかける人は皆『奴らの手先』にされてしまうのである!
 近頃、私はとっても面白い本を見つけました。『トンデモ本の世界【と学会・編】』です。 この本は95年に洋泉社で発売されたもので、今ではシリーズ化もされています。 ここ最近では、宝島社によって文庫本化もされています。 このシリーズは人気があり、かなり売れているということなのでご存知の方もいることと思います。 内容はというと、世に出版されている「著者が意図したものとは異なる視点から読んで楽しめる本」を『トンデモ本』と呼び、 そうした本を多数紹介するものです。 もう、これがまた実に面白いっす!苦しくなる程に笑えた。 活字でこんなに笑わせてもらったことは今までなかったっす。 参考までに、この本で紹介されている『トンデモ本』での主張を以下にいくつか示してみよう!  いかがでしょうか?凄いでしょ?人間思いこんだら不可能はない! どうぞ、これらについて興味をお持ちになった方には、是非とも『トンデモ本の世界』をご購入いただきたい。 文庫本は定価667円で発売中。もしも『トンデモ本』そのものが欲しいという場合は、 川尻徹、深野一幸、宇野正美、太田竜といった著者による書物を要チェック!
 そのなかでも、川尻徹は凄まじさでは抜きんでている。 氏は精神科医の肩書きがありながら、ノストラダムスを独自に研究していた人物だが、 その論理たるや想像を絶している! 氏によるとノストラダムスは人類破滅を狙う組織の一員で、予言書は未来の同士に計画を指示するためにつくられたというのだ! ヒトラーはその一員であり、さらに第二次大戦での日本軍連合艦隊司令長官、山本五十六も同様であるという。 しかも、山本五十六は今も健在であり、組織の長として人類破滅の計画を密かに進めている! 氏の推理はめまいが起きそうになるくらい常軌を逸している。 安藤広重の『東海道五十三次』の絵の中に山本五十六が描かれているという! ファンレターからの手紙に張られた切手の絵の列車のレールと消印の傾きがちょうど56度ということで、 手紙を山本五十六からのものだと決めつける! 徳間書店に訪れた老人が置いていったお土産の包装紙が折ることによって、40,50,90度の三角形になることから、 予言書の9章44番と9章55番を読めというメッセージだと主張する! 氏が電車の中で謎の女性からある雑誌を手渡され、それにピンク色の付箋紙が貼られていることに気づき、 ピンクは赤と白の混ざった色、紅白だから、つまり「オメデトウゴザイマス」になり、 だから、彼女は氏の本の出版と病気の回復を祝ってくれているのだというのだ!! うわぁー意識が遠くなっていくぅー!! もう、私は川尻氏のファンになってしまいました。もう死んじゃったみたいだけど。
 『トンデモ本』の世界は面白い!!面白すぎるっす!!陰謀論そっちのけでこっちにはまってしまう可能性大! ということで、今回で陰謀論はお終い!ってことになるかもしれないっす。
 補足ですが、『トンデモ本の世界』には陰謀関連の本以外にも、ぶっ飛んだSF本、相対性理論を無鉄砲に攻撃する本、 Hな数学本、日本語は古代世界の共通語だったと言い張る本などありとあらゆる『トンデモ本』を紹介しています。 絶対買おう!

参考文献:
トンデモ本の世界 と学会・編