記事タイトル:学校にかかわる獣医師の気持ち 


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お名前: 中川美穂子   
先日の神戸の獣医師からのメールに対し、幾人かからお返事をいただきましたので、
ご了解を得て、お知らせいたします  (中川)
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@お母様から
神戸の獣医さんのメールに大変同感しております。
今は,周りがとても 忙しい時代で 自分のことで一杯で中々
、周りのことに 振り向いて下さる方が少なくなっています。
とっても 大切な事なのに ついつい 後回しになってしまう
現状は 大人がしっかりしなければ なりませんものね。

娘の小学校でも 今、上履きがはさみで切られたり、トイレの
便器に体操着や 筆箱が落とされたり 子供社会が悲鳴をあげ
ています。(どこもトイレを汚されると問題になっています)

まわりの大人が 教師、保護者、という枠を越えて 皆、力を
あわせて 問題解決に望まなければいけないと思います。

基本は すべて 命の重視にあると 思っています。
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@お世話様になっています。
「獣医師の気持ち」を拝読しました。この獣医師さんの真摯な取組に
敬服します。「たかが動物飼育」「動物を飼うより計算や漢字練習」という、全く次
元の違うことを対比させて、動物と触れ合うことの大切さに目を向けようとしない風
潮にある中で、この獣医師さんの話には感銘します。

子どもの現状に目を向けながら
それを批判・否定してやめるのではなく、それが現実ととらえて改善点を見出してい
かれるのは教育者の鏡でしょう。学ばなければなりません。

いいお話です。有難うございました。   文部科学省視学官 嶋野

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@神戸の獣医師の方のものを読ませていただきました。

学校は,動物がいる,というだけになっているかもしれません。
 そして,確かに生きた動物より,パソコンの導入に力を入れているという実態があ
ります。
 様々な事件がおき,子どもたちの心の荒廃が叫ばれている今,本気になって心を育
てる教育を考えなくてはならないと感じます。

 いつも考えさせられる貴重な情報を有り難うございます。

川崎市総合教育センター 
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@先日起きた沖縄や長崎での凄惨な事件の後、
「命を大切にする心を養うことの必要性」が声高に叫ばれています。

しかし、その方策として行われていることは、
校長や有識者などによる「お話し」がほとんどのようです。
子どもたちにしろ、命が大切であることくらい百も承知なのです。
今更、「お話し」など聞いたところで、
子どもたちの心を揺り動かすことはできないと考えます。

問題なのは、子どもたちが、「命」と「物」の区別ができにくくなっている現状だと
思います。
命が大切だとはわかっていても、
自分の意にそぐわないと思えば、命を物のように扱ってしまう現状です。
この現状を打開するためには、
実感できる命と常に接することだと思います。
命の大切さを実感するためには、物言わぬ命から長い時間をかけて学ぶしかないと考
えています。
そのためには、なつかないウサギを屋外の飼育舎で仕方なく飼うよりも、
そのウサギを教室の中に入れて、常に身近に接することにより、
いとおしい気持ちを子どもたちに抱かせることが一番であると考えます。
しかし、そのためには教員の意識を変えていかなければなりません。

話は変わりますが、先日、ある小学校で、「ふれあい動物園」
が開催されるというので、行ってきました。
群馬で行っている動物ふれあい教室を、
全校規模にまで拡大し、獣医師や教員と父兄を交えた大々的な催し物であると期待し
て行ったのです。
しかし現実は、動物を貸し出すする業者が その場を仕切り、
「正しいふれあい方」の指導もなく、
まさしく動物園のように、子どもたちにウサギやモルモットなどの小動物を
さわらせるだけでした。
校長が出てきて趣旨を説明するでもなく、
ただ、業者に会場をあてがっただけでした。
これでは、「動物にふれあうことによって、生命尊重の気持ちを育む」
といった、このイベントの趣旨はほとんど達成されないと感じました。

やはり、今必要なことは、
「実感を伴う生命尊重の教育とは何なのか」ということを、
まずは教員に実感してもらう機会を増やすことだと強く感じます。
今度、8月6日に、日航機が墜落した御巣鷹山がある群馬西部の上野村に、
動物ふれあい教室とは別に、
動物との正しいふれあい方の研修の要請があって行ってきます。
このような機会を積極的に増やし、
教員に語り掛けたいと考えております。
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群馬県総合教育センター
 産業科学グループ   武 倫夫
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(中川)
 他、教育テレビや教諭の方などから「考えさせられる」とお返事をいただいていま
す

追伸・浜松市の学校でウサギの首が切られ、警察が捜査に入ったと報道されていま
す。弱いものへの残酷な腹いせが続きます。
 昨年も四国で、ウサギが何匹も殺されて金網にぶら下げられていたという話があり
ました。
これらが、精神障害からではなく、ストレス発散のために
殺されるものの痛みを感じられないまま、安心して弱いものにあたるとしたら、
やはり 愛情と共感を養う飼育体験が大きな力を発揮すると思います。
 動物への共感度と人への共感度は関係しているとされています

 この場合、対象動物は目を見合わて、お互いの感情を交換できる哺乳類と愛玩鳥の
ほうが、子どもたちは入りやすいので、効果的です。

なお、ふれあい動物園をごらんになった方も多いとおもいますが、あれは、移動動物
園というもので
多種の動物がひとつの枠にいれられて、展示され、子どもたちに供されます
 鶏に目をつつかれているウサギや、怪我をしているもの、元気のないもの、明らか
にうつろな目をしている動物が見て取れて、とても心が痛みます。
 それを大人も子どもたちも、触ることに腐心し、動物の状態を思いやる雰囲気はあ
りません。

群馬県獣医師会が行うふれあい教室という動物を介在として授業支援を見ている 武
さんは、
この移動動物園を 教育的とは思えない、と言っておられます。

また、この動物園にきてもらう費用は、かなりのものだと思います
[2003/07/23 17:16:35]

お名前: 中川美穂子   
神戸の獣医師からの文を紹介いたします

 匿名を希望なさっておら
れますので、このような形にしました。
 私も全く同感です         中川
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 拝啓、中川先生

 私は個人的な話ですが、神戸市の一地域で起きた首切り事件の後に、
 地域の教育委員会が取り組んでいる中学生の社会勉強事業へのお手伝いの中から
 様々な生徒というより、発展途上の将来の社会人に多く接することで
 とても多くのことを学ぶ機会を与えて貰っております。

 従順な子、優秀な子、ものをいわない子、逆らう子、いたずらする子、引っ込み思
案な子、
 全ての個性が、将来のこの社会を形作る一員な訳です。
 私共獣医師も決して満足な人格ではありませんし、人はいつまでたっても発展途上
です。
 が、その過程で良い影響を与え合える、そしてその環境作りに真摯に取り組む、
その思いが受け入れられるにふさわしい形であれば、あるいは、それ自体が否定さ
れずに受け取ってもらえれば、
私たち獣医師は、まさにその時代を生きた価値をかみしめることが出来るかもしれ
ません。


 先日も市内の学校に訪問してきました。

その際の動物に関する講演でのこと。
 充実した講義室には、各人一台づつパソコンが並ぶといった充実ぶり。
 が、講義の中での質問から、その学年の飼育委員の半数以上が動物を飼っていない
のです。
 ウサギや鳥、犬猫が「うじょうじょ」いる家庭は、そんなに多くないはずですか
ら。
 ありがちな話ですが、それに加えて学校で飼育されているウサギに触れた事すらな
いとのこと。
 無体温な物質的充実の中にひたっている無機質的な現実が眼前にありました。

 幸いにも日頃から、飼い慣らされている我が家のウサギを連れて出かけたものです
から、子供たちは、そのウサギで聴診や撫でることを経験できましたので喜びもひと
しおでしたが、
 課題はこれからです。肝心の学校のウサギは立派なウサギ舎の中を逃げまどうばか
 り。

 また、ウサギが逃げた末に入り込むのは子供が追いつけない土管の中。
 かの土管は、業者が置いていったという代物。
今となってはどかせるのも大変な巨大遺産ですが、これは改善点。
 小屋の隅にはうんちの山。便は「保存食料」とお考えでした。これも改善点。

 別の小学校では、「ウサギに草を与えないで下さい」の看板を見ました
 諸般の事情はあるようですが、ウサギは自然な草を喜ぶことも知ってもらい、
 それは小屋の周りに生えている雑草であることも再認識してもらいたい。
そこにある青い草がウサギにとってはごくふつうの食べ物であること、
 特別にラビットフードが用意されていなければ、ウサギは当然のように食べるであ
ろう
 それはごく自然に誰もが知っていそうなことであったはずの事ですが
 そう言いきれなくなっている「今」を垣間見ています。

 草を食べてウサギたちの喜ぶ姿を、いつでも経験でき、
生き物の姿を間近に見るきっかけになることを知るだけでも、
子供たちにとっては新鮮でしょう。

 ひょっとしたら私たちも子供の頃、そうやって動物の事を教えてもらった、、、そ
んな事を思い出します。

 周りの先輩や大人、時には近所のおじさんおばさん、田舎のおじいさんおばあさん
 に。
 私たちが、そのごく普通のコミュニティーの一つになれるだけでもありがたいこと
です。

 以上のことはどこにでもあることですが、そのこと自体を知る位置にある幸せに、
恩返しすべきでしょう。
学校飼育動物を通して将来の社会人に関与できることに。(終)
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 (動物は人と同じほ乳類ですので、動物に思いをかけて、それが幸せ
に
暮らすように 庇うことができれば、同じ人という存在に対しても思いやりや、共感
を養うことが出来ると言うことを、経験により私たちは大事にしています、
またこれは欧米の発達心理学者が唱えていることであり、日本の小学校での実践によ
り証明されつつあります

 だから私たちは、学校の動物たちに子どもたちの心をかけさせて、様々な教育的効
果 を得させるために、支援しています(動物介在教育支援)

 なお 学校は蚊が出ないように草を必ず取り去るそうです。しかし最近はやりの校
庭に草などを生やすビオトープを作ったらいじめが改善されたとの報告があります。

動物も おいておくだけではなく、正常なふれあいや、子どもに思いをかけさせ
る ことができたら、子どもたちの置かれている状況はものすごく改善されるだろう
と、 文科省の指導かたも期待しているわけです。
  
 しかし、生きた動物よりパソコンの導入に力を入れている現状があります。
 日本中の小学校にパソコンが入った訳ですが、産業界に及ぼす利益の大きさを考
えてみると大変なものです。

これを心の教育に回帰させるのは、実際に見える子どもたちの変化や世論しかない
と思っています。
本当は大きな獣医師会が大きな声をだし、社会に是正を提言してくだ されば、と思
いながら、
草の根で各地で獣医師会が皆様と頑張っています 中川)

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日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会
 副委員長 中川 美穂子
   0422−53−7099

「学校飼育動物を考えるページ」
http://www.vets.ne.jp/school/pets/
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[2003/07/23 17:13:46]

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