記事タイトル:三重県の上げ馬神事のことを知ってください
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お名前: じゃす
動物虐待と言いますが熊本にも馬追い祭りがあります最近どんどん規制が厳しく面白
みがありません馬にかかわる人はすごく馬のことだいじにしてます表だけ見て批判する
のはすごくあたまにきます
[2006/02/10 22:11:49]
お名前: オタシュト人
この件について、以前から疑問視していた点があります。
この三重県の「上げ馬神事」での馬の扱いに対するクレームですが、確かに
目に余る行為もある様なので、その扱いの酷さに抗議する事自体が悪いとは
思いません。と、した上で。
何故、それが神奈川や東京と言った、縁もゆかりもない地域の団体が抗議するのか。
例え動物愛護の為とは云え、地方のお祭事である以上、三重県の団体を介して
間接的に、改善を求めるのがスジだったのではないでしょうか。
祭事等の類は、個々の地域ごとの風土や歴史、そこに暮らす人々の営みと密接に
繋がってり、それを省みず、他の地域の人間が自分たちの価値判断だけで口出し
することは、下手すると、その祭事の本来の姿を歪めてしまう危険性を孕んでいます。
この上げ馬神事に関しては、三重県の人達も、納得の上で改善したので、それは
それで尊重しますが、第三者から見て、都会の人が田舎のお祭りにしゃしゃり出てる
みたいで、感心しないです。
もしも、三重県の団体との連携が組まれていたのなら、それでいいのですが、
いきなり直接、他所の人が「あんたらのお祭は動物虐待だから改めろ」と言っても、
当事者から「余計なお世話だ!」と反発買うのがオチです。
地方に口出しするなと言うのではないですが、やはり、慎重であるべきだと思います。
[2005/05/19 11:32:37]
お名前: 和田安紀子
毎年残酷な見世物を神事として放っておく多度大社の責任を追及すべきです。競馬で
走れなくなった哀れな馬の行く末は分かっていますが、殺すにしても残酷に痛めつけ興
奮させ致命傷をおわせるのは、神事としてはあまりに野蛮だと思います。 致命傷をお
った馬と、怪我をした馬などの頭数を公開して欲しい。
人間の楽しみのために怪我をさせられる馬が可哀想だ。
[2004/04/06 12:17:52]
お名前: 青木貢一
このたび、「馬の保護管理研究会」と「動物との共生を考える連絡会」は、
この上げ馬
神事の改善キャンペーンを開始しました。
どうか、このキャンペーンに賛同くださり、ご協力くださりますよう、お願い
いたします。哀れな馬を守るために。
キャンペーンの資料、実態ビデオ等の請求とお問合せは、下記へお申し出くださ
い。
資料請求、問合せ先
「馬の保護管理研究会」
259-0201 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴573 アトリエ・ヤン内
TEL 0465-68-2920 FAX 0465-68-2921 E-mail epmrp@rk9.so-net.ne.jp
http: //www009.upp.so-net.ne.jp/epmrp/
「動物との共生を考える連絡会」
162-0805 東京都新宿区矢来町133 富永荘1
TEL/FAX 03-5225-0775
「青木犬猫病院」
194-0041 東京都町田市玉川学園7−8−11
TEL 042-723-2755 FAX 042-725-7365 E-mail moheji-aoki@nifty.com
[2003/08/06 14:38:55]
お名前: 「動物との共生を考える連絡会」 代表
URL
皆様、春の三重県の行事で
着飾らせた馬をものすごく急勾配の坂を駆け上らせて、其の先の高い壁を超えさせ、
壁を越えたら其の年は豊作、というお祭りを知っていますか?
馬と付き合いのある者として、どうしてあの危険な坂を馬が上るのかが不思議でした
ので見てきました。そのレポートです。
わかったことは
結局、馬に興奮剤を投与して 、鞭や棒でたたき、、不安になった所を、みなで追い
たて、あの危険な坂しか逃げ道はないと、馬に思い込ませて、この神事は成り立つわけ
です。
恐怖に駆られた目つきは見ていられないほどかわいそうだし、また目を血走らせて暴れ
る馬は危険でもあり、けが人や死者がでることもあります。
その狂気ともいえるお祭りを、人はわかってやっているのだから、怪我しても自分
達の責任で、問題はないのかもしれませんが、
しかし、なにもわからない、長い間 乗馬用に調教されてきたおとなしい、馬をその
ように暴れるほど、恐怖に追い込むのは 罪だと思うわけです。
それで何とかしてやりたいと思い、ご協力を得るために投稿します。
資料請求、問合せ先 は最後に書いてあります・
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三重県無形文化財、多度大社「上げ馬神事」
平成15年5月4、5日 青木貢一
「動物との共生を考える連絡会」の代表を務める私は、獣医師という立場で、平成15年
5月4日、5日に、三重県無形文化財に指定されている多度大社の「上げ馬神事」を視察
しました。
この伝統ある神事が、神社に付随する御厨(氏子)組織によって運営され奉納されてい
ること。また、三重県指定の無形文化財になっていることから、様々な角度から考察し、
改善に向けての提案をさせていただきます。
1 歴史的背景
約300年前の昔、殿様が地域を統治するために、当初地区ごとに馬を下付し競い合せ
て名誉を与えたことに始まり、これによって、地域の結束による安定と殿様への忠誠心を
培ってきた。専制君主制度と階級社会の基では、地域を統治するためには有効な手段だと
思われます。上げ馬を実際に見聞すると、地区対抗戦の様相が良く分かり、その成否に
よって関わっている人々の態度が悲喜交々であった。
元来日本馬は、小型であるが耐久性に優れていたので、農役、荷役、軍馬、移動等に使
われ生活に重要な役割を演じ大切に扱われていた。使用目的により大型馬が導入され、人
々の生活に欠かせない存在となっていった。特に太平洋戦争時では、人の命より馬の方を
大事にしていた。戦後、労役に自動車や機械が普及するにつれて、馬の必要性が減って
いった。一方、競馬が普及するにつれて、軽種馬が繁殖され、競馬に供されない馬が、乗
用馬として使われるようになった。上げ馬神事では、このような馬を使用し、使い捨て同
様に扱っているため、同じ馬が毎年使われるのは極めて少ない。
現在の上げ馬神事での走路、上げ坂(登り坂)、垂直壁等の構造は、小型の日本馬で行
うことは到底無理なもので、大型馬になるにつれてこれらの構造になっていったものと推
察される。文献を検索しても、最近の文献には記述があるが、古い文献には全く記録がな
く、何時からこの構造になったのかは不明である。
馬を大切にしていた時代に馬を犠牲にするようなことを行ったとは考えにくいが、専制君
主制度の悪しき遺物といえる。
2 上げ馬神事の実態
多度大社の御厨(氏子?)組織が「上げ馬神事」を神社に奉納し、地域イベントとして
定着している。
毎年4月に、各地区の15〜20才くらいの若者が乗り役(騎手)として選出され、約
1ヶ月の特訓を経て本番に備える。神事当日は、祭り装束をまとい指示に従って行動し、
責任を運に任せ緊張を強いられている。
各地区(6地区)ごとに和式の馬装をした馬3頭ずつが馬繋ぎ場所に集結し、下役の青
少年達は各地区ごとに集結し酒盛りをしながら気勢をあげ本番に備える。全馬に美しい和
鞍、和鐙、手綱等で馬装されていたが、腹帯に草を締めこんでいたり、ハミに布を巻きつ
けていたのがあった。また、馬の腰に馬名が書かれているものや項に星がペイントされて
いるのもいた。
A 5月4日、
各地区2頭ずつ走路(幅4m)の下見を兼ねて上げ坂手前の楠木付近まで試走。上げ坂手前
に下役達が並んで馬を止め、乗り役が拝礼する。12頭のうち1頭が停まらずに垂直壁に
激突してしまった。試走後、各馬が走路を逆送していくが、走路の延長の先まで行ってし
まい、途中で停止させることができない。
順次本番に向かうが、走路外で細い竹や鞭状のもので馬を殴ったり、馬の鼻孔や口の粘
膜に赤いものを塗っている。その結果、大腿部や腰部と脇腹にもミミズ腫れができ、口先
に赤いものを付着させている。薬物塗布等のドーピングは、観客から見えない場所でやっ
ていた。
本番は、10〜15分毎にスタートするが、スタート地点(走路途中の約150m地点)に
馬が連れてこられた時には既に過剰な興奮状態に陥っているのが多い。騎手を乗せるとき
に馬が暴れるために、法被等で馬の頭を覆い目が見えないようにしてから騎乗させる。乗
り役が騎乗しスタートする時には、下役達がいっせいに大声や馬を叩いて追い立て、ダッ
シュさせる。走路にいる多数の関係者(?)が、通過する馬めがけて追い立てる。上げ坂
から垂直壁の下までチームの青少年達が整列し、壁に向かうよう仕向ける。乗り役の中に
は、長さ60cm位の棍棒様で布を巻いた青竹等で殴打しながらスタートした。
恐怖に駆
られて爆走して成功したのは3頭で、他の9頭は壁に激突したり坂の途中で停
止して失敗した。
成功した時、場内が一斉に大歓声でどよめき拍手で称えられる。壁を越えた馬は、直ちに
チームの青少年達に取り押さえられ、所定の場所に連れて行かれる。失敗した乗り役は、
チームの一員に担がれて壁に向かい、壁上で待つチームに引き継がれる。成否に関わらず
乗り役は、清め(?)られるが、緊張と興奮で震えているのもいた。失敗した馬は、チー
ムの青少年達によって取り押さえられ、数人の引き手によって上げ坂脇の階段を登って壁
上の広場に連れて行かれる。全ての馬は、過度な興奮から突進したり、蹴ったりして暴
れ、逃走を図ろうとする。引き手の一人が、暴れる馬の轡を取って移動中に転倒し、馬の
後肢に踏まれてしまい、救急車で運ばれた。結果は、複雑骨折していたと聞いた。成否に
関わらず、壁上の広場に連れてこられた馬は、直ちに水を四肢や鼻先にかける。外傷を
負って血を滴らせて腫巻き(包帯状のサポーター)に血をにじませている。ドーピング薬
(赤色塗布物)を急いで洗い流し、拭き取っていた。このとき大根等を与えるふりして、
ごまかしながら行っていた。殆どの馬は、約10分後には呼吸が落ち着いたが、一頭の馬は
20分後になっても早く荒い呼吸をしていた。
その後、乗り役を乗せた馬は、下役数人に轡を取られて、観客の中を馬繋ぎ場所まで
戻って行く。全体を通じて乗り役は、単に落馬しないようにしがみつき、本番時にはタズ
ナとタテガミを同時に持って鞍の後橋の後ろに跨り、脚は前方にして前かがみで騎乗す
る。鞍壷無視で、なんとも奇妙な乗り方である。
成功した地区のチーム関係者とその縁者達は、涙を流さんばかりに感激し、喜んでいた
のが印象的であった。
B 5月5日
多度大社の他の祭事があるために、午後2時以降に開催。各地区一頭がトライし、計6
頭のみである。前日と異なるのは、走路に沢山の氏子(神事の先輩達?)がいて、人垣で
走路が狭くなっていた。
前日同様に順次スタートし、6頭の内4頭が成功。ドーピングは相変わらずで、走路に
いる人々が通過する馬を追いたて、逃避や停止がしにくいようにして追い詰め、わずかな
窪み目掛けて突進するように仕向けたために、成功率が高かったと考えられる。だが、一
頭の馬が壁上の広場で留められず暴走し、乳母車を巻き込んだ事故を引き起こした。
上げ馬神事終了後、参加した馬を一頭ずつ楠木廻しをしたが、引き手が一人か二人で轡
を取ってゆっくり歩く(アナウンスで)はずが、周りの関係者(氏子)が馬をロープ等で
叩いたり脅すために、引き手を引きづって暴走し、逸走しようとする。引き手が堪えきれ
ずに放馬し、待機している人馬を混乱に陥らせた。当然、ひきずられ、蹴られ、弾き飛ば
されたりで怪我人が続出する。過去には、死者もいたと聞いている。事故は、起こるべく
して起こり、それを防止するためにチームの青少年達が馬に群がって押さえ込む、そのこ
とに使命感を持って取り組んでいる様がよく分かった。
◎今回の神事では、上げ馬失敗時に馬をロープで引っ張り上げることはなかった。唯一の
改善点か? また仰向けに転倒するものや、転倒で身動きできなくなったものはなかっ
た。4月に行われた稲名部神社での上げ馬神事では、失敗馬をロープで引っ張り上げ、倒
れたまま身動きできない馬を安楽死させずにロープで吊り上げ(一度失敗し1mくらいから
落下させた)トラックに載せ屠殺場に運んだ。と聞いている。
◎専門家による前後の馬体検査をしている様子は、全く見られなかった。また、出血して
いる傷の手当ては全くなされなかった。(待機している獣医師は、要請がなければ動けな
いのかも)
3 和式馬術(古式馬術)と洋式馬術(現代馬術)
和式馬術は、特徴的な和鞍と鐙を使用し、一般に流鏑馬(武田流、小笠原流)がよく知
られている。宮内庁で行われる側対歩で行うホロ引き(保存目的?)は殆ど目にすること
はない。いずれにせよ、和鞍は鞍壷が深く、騎乗者の前後の動きが抑制され、騎座の安定
がよく急激な動きに耐えられるようにできている。戦時の動きに対応できるようになって
いるが、前後の動きを要求される障害物を飛越するには難がある。
上げ馬神事の馬の動きは、まさに障害飛越そのものであり和鞍で行うには、乗り役(騎
乗者)に無理な姿勢を要求せざるをえない。そのためか、スタート時の騎乗者は、和鞍の
後橋の後ろに跨り手綱を短く持ち脚は前方にしていた。(非常に奇異な感じがした)
洋式馬術は、目的によって鞍の構造が異なっており、イングリッシュスタイルとウエス
タンスタイルに大別される。馬術競技では、馬場馬術では馬場鞍を、障害飛越では障害鞍
を、クロスカントリーでは総合鞍を使用し、夫々の馬の動きに合わせて使い分けている。
各競技に使う馬は、能力に見合った馬を選別し、長時間をかけて調教し、騎乗者と共に訓
練してから競技に参加する。馬術競技は、オリンピックを始めとして国際大会、国内大会
が開催され、中には人馬に過酷な山岳レースやマラソンもある。競馬は、競争に適した軽
い競争用の鞍を使い、タイムレースが平場と障害で行われるが、繋駕(馬車)やソリレー
スもある。牧畜国は、夫々の国ごとに少々違いがあるがアメリカのウエスタンサドルに似
ている。ウエスタンスタイルの競技は、急発進、急停止、急回転などが行われるが、飛越
に向かないために行うとしても小飛越のみである。古くからの洋式馬術は、オーストリ
ア・ウィーンのスペイン乗馬学校が宮廷内の馬場でオーケストラの演奏のなか高等馬術を
優雅に供覧する。また、フランスのソミュール騎兵乗馬学校の高等馬術供覧も有名であ
る。
◎いずれにせよ、馬を使う競技では、鞭の使用は制限されており、罰としての使用や恐怖
に陥らせることは禁止されている。騎乗者自身が馬を御すことを求められており、発進
、停止、回転、歩度変換、飛越等全てをコントロールします。これを人馬一体と言い、他
者からの援助はない。
◎上げ馬神事の騎乗者は、全く馬をコントロールする様子が見られず、その能力がないの
ではと推察される。
たった一ヶ月そこそこの練習では、爆走したり暴れる馬から落ちないようにすることのみ
に神経を集中させるしかなく、乗馬の常識から全くかけ離れたもので人馬一体と言えるも
のではない。たとえ乗馬に長けている者であっても、このような恐怖からパニックに陥っ
た馬を御すことは困難である。それ故、ベテラン乗馬家が、この上げ馬神事をやってみよ
うと考える者は皆無であろうと思われる。知らぬがゆえに為せる業と言える。
◎上げ馬神事の馬達は、取り巻く人間達によって、馬としての尊厳を無視され、徹底的に
いじめられるために、暴れたり、蹴ったり、突進したり、狂走したり、大人数人を引き
ずったり、弾き飛ばすなどをする。そのため、馬の恐いところを大衆に見せているため
に、愛馬精神、動物愛護の精神を失わせている。
4 教育的スポーツ、健康乗馬、動物介在療法からの視点
色々なスポーツがあり、国民の多くが趣味や健康の保持・増進のために行っている。年
令別、ハンディキャップ制などもあり、スポーツに親しみやすい傾向にある。とりわけ、
青少年のスポーツは、コーチの指導の元で、心身の健全な成長と能力開発に有効なものと
位置付けられている。競技スポーツは、記録への挑戦にこだわるために、一定レベル以上
の者を重視し、他はあまり省みられない傾向にある。
中でも馬術は、他のスポーツとは大いに異なっている。感情のある生きている動物
(馬)を使うために、日常の世話や健康管理をしなければなりません。厩舎(馬小屋)、
手入れ場、運動場、馬場等の施設、馬具、騎乗用ユニフォームなどを要する。最初は、
コーチの指導のもと、馬の動きに慣れることと物言わぬ馬とのコミュニケーションができ
るように練習し、次第にレベルを上げ様々な課題の練習に移行し、競技者となる。乗馬の
機会が多ければ多いほど早く上達するが、最初のレベルの競技に参加できるようになるに
は数ヶ月から6ヶ月以上かかるのが普通である。人の訓練の他に、馬の調教も並行して行
うが、通常、調教師、教官、乗馬に熟達している者が行う。日本では、競馬上がりの馬を
使うことが多く、調教し直さなければならない。
障害飛越競技やクロスカントリー競技では、人馬の能力ごとに障害の高さレベルが設定さ
れ、固定障害では1,2mを超えることはない。
健康管理の乗馬は、馬の動きが三次元(前後、左右、上下)なので、馬の運動について
行くだけで全身運動となる。そのため、多くのスポーツの準備運動(日本では殆ど実行さ
れていない)やリハビリテーションに活用される所以です。気分転換や趣味、そして若さ
と健康保持のために、乗馬がライフワークのスポーツとしてお勧めしたいものです。難点
は、馬は感情がある生き物のために、毎日同じコンディションを維持するのに、それなり
の努力が要求されることです。
上げ馬神事は、この乗馬の基本的な概念から、非常に逸脱しています。
5 「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)から
平成12年12月から施行されている表記法律は、動物を虐待する者を罰金と懲役刑にす
る刑事事件として扱うようになっています。馬を殴ることや蹴飛ばして恐怖に戦かせるこ
とは、まさに動物虐待で、馬に過度な要求をして死に至らしめることはもってのほかで、
究極の動物虐待といえる。実際に、死に至る状況に陥った馬が何頭もいた事実からもいえ
る。
上げ馬神事での馬の取扱いは、過去のビデオと今回の視察から、この法律に違反する者
が多数認められた。本番前に馬を竹や鞭で馬の内腹部や腿などを打ちすえて、恐怖に戦か
せている現場を観衆の多くが見ていても、誰一人として異を唱える者がない。容認してい
るのか、言いたくても言えない雰囲気があるようだ。さらに、転倒後起立不能に陥った馬
が、苦しさに喘いでいても、安楽死の処置もされず、クレーンで吊り上げられトラックに
載せられて屠殺場に運ばれ一生を終える。馬にとっては、まさに生き地獄。死にいく馬の
末路は、哀れとしか言いようがない。実際に、動物愛護に興味がない人でも、TVやビデオ
を見た多数の人が異口同音に「残酷で、馬がかわいそう」と言う。それ故、三重県民の中
にも多数このように感じている人いるのではと思われる。
今後は、このようなことがない様に願いたいが、三重県警にこの動物愛護法を基に取締り
を強化するよう依頼したい。哀れでかわいそうな馬たちを守るためにも、また毎年のよう
に怪我人が出る事故防止のために、やむをえない措置かと思う。
この上げ馬神事に使われる馬は、その殆どが馬主から借りていると聞いている。馬にとっ
て悲惨な状態になることを知っていて貸与する馬主の感覚が理解できないし、その人間性
に疑問を感じざるをえない。ぜひとも、馬主の意見を聞きたいものである。
6 祭りや伝統行事としての文化的側面から
国内には、様々な伝統行事や祭事があり、毎年地域住民の楽しみとなっている。動物を
介在させる祭りもいくつか散見されるが、最も多く使われているのが馬である。相馬の野
馬追いの神旗争奪戦、流鏑馬、馬を飾り立て練り歩く「チャグチャグ馬ッコ」などがあ
り、祭事を盛り上げている。時には、馬が興奮して暴れることがあるが、意図的に興奮さ
せるものではないのでまれである。通常、祭事の当事者達は、馬が暴れると危険であるこ
とから、市民を巻き込まないよう対策に充分配慮している。そのため、多くの市民から受
け入れられ、非難されることはなく、伝統行事の保存に協力的である。
上げ馬神事は、他の馬を使う祭事に比較すると、極めて異質なものである。馬を脅し
殴ったりなどで極度の興奮状態にさせ、取り扱う青少年達が暴れる馬に群がって取り付
き、必死に制御することに命を張っている様子がある。(観客や市民を危険にさらさない
ために必要)そのため、数人の怪我人が出ることを容認し、現に踏まれて怪我した若者に
対して、先輩の「未熟だから怪我した」の言には、開いた口がふさがらなかった。このこ
とは、起こるべくして起こったもので、単に運がよかったか悪かったの違いである。ま
た、観衆の大半は、このことを承知しており、自分が怪我するのは嫌だが、むしろ事故が
起こることを期待している様子が見て取れる。なんとも異様で、群集心理に陥った人間の
恐ろしさを垣間見てしまった。これが何百年にもわたって培われた知恵なのだろうか?
三重県の誇る伝統的文化財で、大衆文化として長年にわたって継承されてきたことに驚
き、あきれてしまう。伝統行事に名を借りた、馬虐待残虐ショウ化しているといえる。お
ぞましい残酷なもので、これが文化なのか?、疑問である。
7 三重県警、消防団の取り組み
県警は、祭りに付き物といえる喧嘩、置き引き、万引き、引ったくり、スリ等の犯罪防
止の他に事故防止の規制、事故対策などの警備に欠かせない存在であることは言うまでも
ない。ましてや、二日間で10万人を超える人が集まる祭事ではなおさらである。
地元消防団は、上げ馬神事の若者達の先輩らしき者たちで構成されているようで各所に配
置され、神事への協力の他、主に事故防止に役立っているようでした。
「馬の虐待禁止」の張り紙が至る所に張られていたが、馬を殴ったり蹴ったりした者を見
ても、警察官はその行為者に注意することがなかった。警察官が注意しなければ、一般大
衆が注意しにくいことは言うまでもない。また、未成年者の飲酒は、祭りの酒盛りとして
容認され、取締りの対象になっていなかった。毎年の慣習に従って黙認したものと思う。
馬虐待については、動物愛護法の存在を知らないではと思わせた。多分、警備は人のため
に来ていて、動物に対して来ているのではない、とのたまうであろう。勿論、消防団員の
誰一人として注意する者はなかった。
次年度以降は、この動物虐待問題に対しても配慮していただきたいものです。これこそが
事故防止の第一歩であり、観衆を事故から守ることにつながると思うからです。警察の大
切な使命として考慮していただきたいものです。
8 馬の特性(習性)
大型草食動物の中で、馬は極めて特徴的な習性をもっている。それは、非常に臆病で攻
撃性を持たず、ただひたすらに逃避するのみである。身に危険がある時にのみ蹴飛ばす
が、これはあくまで防御のためである。牡馬の中には攻撃的態度を示すものがいるが、ラ
イバルとの闘争や群れを守るためのものが主であり、人に対する攻撃は、その殆どが、過
去の取り扱われ方で人に対する嫌悪感から引き起こされるものである。
この臆病で従順な性質を持つ馬は、嫌なことや危険な場面からただひたすらに逃れよう
とする。虐待によって恐怖にかられた馬は、過度な興奮から思いもよらない力を発揮する
ことがある。昔は、これを利用して過度な要求を馬に強いたことがあり、時に死に至らし
めることがあった。それ故、現在では禁止されている。
上げ馬神事は、まさにこの馬の特性を利用したもので、馬に過度な要求を強いている。
上げ坂の頂点に窪みをつけ、そこのみが唯一の逃げ場に仕立て、馬にそこをめがけて走ら
せるために、関係者全員が馬を追い立てている。馬は恐怖にかられて爆走し、上げ坂を超
えるのもいれば、失敗して激突するのもいる。中には、坂の途中で拒否する馬もいる。あ
くまで、馬の意志に任せる状態で、騎手は一時追い立てることができてもただひたすらに
馬にしがみつき落馬しないようにするだけである。
一方、同じ草食動物の牛は、馬に対するのと同様な虐待的取扱いをすれば直ちに反撃し
角で攻撃してきて死傷者が多数出るであろう。虐待行為を繰り返せば、攻撃性が激しくな
り扱えなくなる。他の大型草食動物も同様で、乱暴な取扱いはできないのである。
このように攻撃性がなく従順な性質を持っている馬だからこそ、人間は太古から馬を飼
育し労役に使用し今日に至っているのです。
今後に向けて改めるべきこと
三重県、教育委員会などは、我々の調査を真摯に受け止め、過去を含め実態を再調査
し、文化財として適切か否かを再検討する。また、上記のことを加味して、改善方を獣医
師会や関連諸団体と協議して探り、各神社と各御厨組織に申し入れる。そして、責任の所
在を明らかにする。
古式馬術の装束と馬装にこだわるなら、和鞍、鐙、手綱と和装束で騎乗者自らの意思で
上げ坂を越え、馬を制御できるように古式馬術としての訓練し、青少年の健全育成に資す
るべきである。上げ馬神事の場が囲い馬場でないために、夫々の地区チームの若者達は、
万一の場合に備えて配置する。本来のスポーツとすることを目標に改める。
騎手の選定と訓練は、現行の4月に人選して約一ヶ月の訓練で本番を迎えるのは無謀と
いえる。願わくば、六ヶ月から一年の訓練(週に数日)期間が望まれる。(この間、神の
子としての行動規範を新たに考慮する必要があるが)
構造改革
馬への過酷な要求をしないために、上げ坂と垂直壁の構造を下記のどちらかに改める。
? 上げ坂のみにして、垂直壁をなくす。
? 上げ坂の角度を緩くし、壁の高さを1,2m以下にする。
その他の改革案
? 世界には、和式馬術競技がないので、神事を馬術競技化(スポーツ化)する。
選ばれた騎手の技量で、馬を制御することを目的にし、騎手の訓練期間を延長する。万一
に備え、地区若者達がサポートする。(三重県知事杯、多度大社盃などの授与)
? 祭りにふさわしいチーム対抗戦、全馬がそろって行うイベントを考える。
◎神旗リレータイムレース・・・現状の各地区3頭が参加し、スタートから楠木を廻って
スタート地点に戻り、馬を乗り換えるか次の騎手に神旗を手渡し、タイムを競う。
上げ坂にこだわるなら、垂直壁をなくし、楠木廻しに変えて、坂上広場を廻り坂を駆
け下りスタート地点に戻るのもよい。
この改革によって、レベルが大幅に低くなり、スリルを求める観衆には不満が出ると思う
が、印象が大きく変わる。物言えぬ動物(馬)にもやさしい国(地域、三重県)と印象づ
けられ、他に例を見ない和式スポーツ馬術を提案し、御厨組織と一体となって振興するこ
とにより、新たな名誉が創出できる。これによって、愛馬精神が芽生え、動物(人を含
む)にやさしい人々の増加が見込まれる。これこそが、時代に見合う文化大革命で、真の
文化であると思う。
馬が好きで乗馬を趣味とする私としては、馬に対する暴力やドーピングをなくし、上
げ坂の構造を改め、国際的に認知されるようなイベントに変えてくださるよう願わざる
を得ません。私は、そのための協力を惜しまない所存です。
追、
6月29日、多度大社の宮司さんの肝いりで、宮司さん、御厨総代さん、花馬の戸津地
区区長さん、権禰宜さん、馬の保護管理研究会の青木さん、そして私とで話し合いができました。
その結果、各地区の御厨組織は、青年会、中老、消防団、馬方が上げ馬の実行行為者
で、さらに馬を提供する馬主(個人、グループ)、馬を貸与する者が関わっている。ビデ
オや記録写真から暴力の行為者が特定できることから、問題点の確認と今後に向けての対
策が話し合われた。
資料請求、問合せ先
「馬の保護管理研究会」
259-0201 神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴573 アトリエ・ヤン内
TEL 0465-68-2920 FAX 0465-68-2921 E-mail epmrp@rk9.so-net.ne.jp
http: //www009.upp.so-net.ne.jp/epmrp/
「動物との共生を考える連絡会」
162-0805 東京都新宿区矢来町133 富永荘1
TEL/FAX 03-5225-0775
「青木犬猫病院」
194-0041 東京都町田市玉川学園7−8−11
TEL 042-723-2755 FAX 042-725-7365 E-mail moheji-aoki@nifty.com
[2003/08/06 14:11:10]
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