記事タイトル:国会で 学校の飼育に獣医師の関わりが必要との質疑がありました 


書き込み欄へ  ヘルプ
お名前: 中川美穂子   
○平成十六年三月十二日(金曜日)開会の第159回国会 衆議院文部科学委員会議事録より

○山際委員 どうもありがとうございます。自由民主党の山際大志郎でございます。
 基本的には、文部科学行政は、野党とか与党とかという枠にはとらわれないものじゃな
いかなと、私も今、平野議員のお話を聞いていて思いました。
 ちょっと毛色を変えて、御質問というか提案をさせていただきたいんですけれども、
きょう、委員長がきれいな赤い服を着ていらっしゃって、後ろのつい立て が白だから言う
わけではございませんけれども、国旗・国歌法がございますね。これは、学校では国旗を
掲揚して国歌を歌うということが行われているわけです けれども、国会の委員室を見て
も、どこにも国旗はないんですね。やはり立法府として、日本の国の最高の機関なんです
から、これはどこかにしっかりと掲げる ということはやるべきなんじゃないか、このよ
うに思いますので、まず冒頭に提案させていただきたいと思います。

 それから、その次に、今問題になっております鳥インフルエンザの問題に絡みまして少
し御質問させていただきたいと思います。
 実は、この鳥インフルエンザの問題は、風評被害も非常に大きな問題になっていること
は皆さん御存じのとおりですけれども、事学校、特に小学校におきまし ては、学校飼育動
物として鶏、チャボ等々を飼っているという現実があろうかと思います。そして、この学
校で飼育されている鶏、家禽が、今、風評被害に遭っ て非常に危機的な状況に陥っている
ということは、新聞等々でも報道されておりますし、私が地元に帰りましても、各学校の
先生方から相談を受けるような事案 でございます。
 一番たちがいいのは、生徒が今まで世話をしていたのをやめて、これを先生が世話をす
る、このようなことになっていますけれども、一番たちの悪いところで は、率直に、殺
してくれとか、あるいは保健所に引き取ってくれとか、このような要請が、事実、出され
ているという現実がございます。これを何とかしなくて はいけないわけですけれども、
実際には、正しい知識を教師も持っていない、もちろん生徒も持っていない、学校の長た
る校長先生も、恐らくこの鳥インフルエ ンザのことに関してはほとんど知識がない。と
なると、これは専門家からちゃんとしたレクチャーを受ける必要がある。
 ところが、この専門家は、私が獣医出身だから言っているわけじゃないですけれども、
学校と獣医師とかがかかわり合いを持つ、そういった法整備があるのか というと、今現
在ないのが現実です。ですから、個々の学校が、鳥インフルエンザの問題に限らず、地
元の獣医さんとコネクションを持って、それでいろいろな ことを相談しているという
のが現実なわけです。
 これは非常に危ういんではないか。やはり今回の一件を機に、しっかりと、学校と、
それから学校が飼育している動物を管理する専門家である獣医師とをつな ぐ法整備と
いうものをするべきではないか、このように私は思うんですけれども、その点につい
ての御所見をお伺いしたいと思います。

○河村国務大臣 山際先生、さすがに、獣医師だから言うわけじゃないとおっしゃいま
したけれども、その見地に立って、私は、非常に今の時期に大事な御指摘をいただいた
、こう思っております。
 子供たちにとって、動物を飼って、そして、いわゆる生き物に対する慈しみといいま
すか、そういうことを通じて豊かな人間性をはぐくんでいく、そういう意 味で、私は、
ほとんどの学校が何らかの動物を飼っていると思いますね。これを大切にしていくとい
うことをきちっとやはり教育の中に生かしていかなきゃなりません。
 こういう事件、こういうことが起きたものでありますから、鳥なんというのはもう全
部大変なんだ、こう思い込んで、過剰反応してもらっても困るわけであり まして、こ
ういうときにどういうふうに処置をするかということもやはり一つの教育になるわけで
ありますから、先生方はそういう思いでこの問題に対応してい ただく、そのためには、
おっしゃるように、専門家である獣医師、動物病院等々とも相談をしながらやっていた
だくのが大事じゃないかと思います。
 これは、おっしゃったように、ちゃんとやっているところ、そうでないところがあり
ますから、ちゃんとやっているところの例をもとにしながら、全国でそう いう対応を
していただくように、我々としても、全国の教育委員会に改めてそういう通達なりを出
して、そうした取り組みをやっていただくようにしたい、こう 思っております。
 獣医師と学校の連携をとることは私も必要だと思いますし、私の方にも、ちゃんとや
っているところはいいけれども、ウサギなんかを飼っているところはもう 非常に汚く
て臭くてというところがある、あれでは逆効果だ、こういう指摘も受けておりますので、
こういうことをこの機会にといいますか、災いをもって福と なすといいますが、こうい
う機会にそういう対応をちゃんとしてまいりたい、このように思います。

○山際委員  ぜひお願いしたいと思いますが、それに絡みまして、もう一歩踏み込ん
で、二十一世紀ということを考えますと、あらゆる意味で生き物が共生をする世紀であ
る ことは、これは間違いないわけです。この共生というものがうまくいかない限りは、
二十一世紀、人類だってうまく生きていくことはできないわけです。
 となると、この共生の中のキーワードとして、私はやはり命だと思うんです。命の大
切さというものがきちっと認識できる、そういった人間をつくっていくと いうことが
教育の根幹にあると私は思うのです。ところが、今核家族化というのが随分進んでいて、
そして、この核家族化に従って命というものに直接触れる機 会というのが非常に減って
いる現実があります。
 一つだけ例を挙げますと、昔は、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん、
あるいはまた兄弟もたくさんいる中で子供は育つわけです。当然、同じ 家の中で
お年寄りがいれば、いずれそのお年寄りはお亡くなりになる。そのお亡くなりになった
お年寄りのことを見て、初めて、命というものはどういうものな のか、あるいは死とい
うものはどういうものなのか、こういうことを自然に人間は体感して、実感して、それ
を身につけてきたんではないかと思うのです。
 ところが、今核家族化が進んでいますから、当然、おじいちゃん、おばあちゃんとは
そもそも一緒に暮らしていない。おじいちゃん、おばあちゃんは、元気な ときは別々
に暮らしていて、少し年をとってくると老人ホームに入ってしまう、施設に入る、病
気になれば病院に行く、それで病院でお亡くなりになる。そうす ると、子供たちは命
というものにじかに触れる機会が余りに少ない、私はこのように思います。
 さらに言うと、食べ物にしてもそうです。例えば、狂牛病の問題や鳥インフルエンザ
の問題等々が今出ておりますけれども、牛を見たときに、牛から牛肉が ちゃんと連想
できるか、鳥を見たときに、鳥から鳥肉が連想できるのか。今の子供たちに聞くと、
恐らく連想できないです。肉はどうやってつくられるか知って いるかい、お肉屋さん
がつくるんでしょう、スーパーがつくるんでしょう、こういう答えが普通に返ってき
ます。
 これはやはりおかしいわけでして、こういうところもしっかりと教えていかなきゃ
いけない。私は、こういうことも包括的に見たときに、やはり命の大切さを教えるの
に動物を介在させた教育というのはこれから絶対に必要になってくると思うんです。
 そこで、先ほどの質問とリンクするんですけれども、動物介在教育をやろうとする
ならば、当然、その動物が適正に飼われなくてはいけない、それも管理をし ていか
なくてはいけない、あるいは動物とのかかわり方というものも教えていかなきゃいけ
ない。先ほどの話と同じで、通達とかというレベルではなくて、やは り獣医師と学
校とがしっかりと結びつけられる、そういった法整備を早急になすべきだと私は提案
させていただきたいと思いますので、どうぞこれはお考えに なっていただきたいと
思いますが、何かありましたら。

○河村国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。そのとおり我々は努力したいと思
います。
 文部科学省が、委嘱研究といって、日本初等理科教育研究会というところが出して
いるんですが、「学校における望ましい動物飼育のあり方」、こういう手引 も出し
ておりまして、これはどうももう一つ関心が低かったと言われておりますが、今回の
インフルエンザの問題でこれが必要になってきているというので、非 常に引っ張り
だこになってまいりました。
 さっき申し上げましたように、この機会にそういうことを徹底していきたい、こう
いうふうに思います。

○山際委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それと、肉の話ばかりで恐縮なんですけれども、今度は学校給食の話です。
 実は、これは通告で出していないんですけれども、きのう、地元の方と少しお話
ししていましたら、学校給食の中でいまだに牛肉を使っていないと言うんで す。も
ちろん、鳥インフルエンザが出ましたから、鳥肉も使っていない。それじゃ、どう
やって給食をつくっているの、いや、豚肉ですと平気で言うわけです ね。
 狂牛病の問題、BSEの問題では、あれだけ全頭検査をやって、安全だ、安全だと。
今、消費のグラフを見たって、牛肉の消費量というのはもとに完全に戻っ ている。
アメリカでBSEが出ましたけれども、少しダメージがあるとしてももとのレベル
には戻っている。それで、聞いてみましたら、全国でまだ八百校も牛 肉を給食に使
っていない、そういった学校があるんだという話ですよ。鳥インフルエンザに関し
て、また出ましたから、これまた鳥肉も使わない。こんなような 話になってくると、
幾ら何でもそれはないんじゃないかと。
 やはり、きちっとした科学的なデータに基づいて安全だということを政府が言って
いるのであるならば、当然、給食の中にもこういったものも使うように徹底 的に指
導していく必要があるんじゃないかと思いますし、またそれを使って食の安全という
ものを子供たちに教えていくということも必要なんではないかと思う んですけれど
も、この点について何かございましたら、よろしくお願いいたします。

○河村国務大臣  鳥の問題、また牛肉のときもそうでありますが、その都度、我々
としては的確な情報を各県の教育委員会に出しておりまして、特に鳥について言え
ば、食物を介 して人に感染した例はありませんよということ、それから、七十度以
上加熱すれば安全であるというこれまでの厚生労働省から来ております知見をもと
にして、 あとは各教育委員会がどういうふうにされるか。
 PTAの皆さんとも相談されたりしてどうしてもという地域もあるように聞いて
おりますが、できるだけこの情報に基づいて判断をしていただこう、こういた し
ておりまして、今なお牛肉をまるでということが子供の健康上考えてどうなのかと
かいうことについても、それぞれの県の教育委員会、さらに市町村の教育委 員会
で適切に御判断をいただきたい、こう思っております。
[2004/03/27 20:59:11]

このテーマについての発言をどうぞ。
氏名
E-mail URL



記事一覧に戻る