記事タイトル:神戸市獣医師会「小学校教育研究理科講習会」 


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お名前: (社)神戸市獣医師会 上田幸孝   
橋本先生
ご報告ありがとうございます。
昨年の研修会がお役に立っているとのことで光栄で感無量です。
また先生の新たなテーマのお仕事内容に勇気付けられました。
校長先生の「継続的なものでなければ教育とはいえない」というお言葉に
ご自身のお仕事に対する熱意を感じます。そして校長先生の言葉を
素直に助言として受けとめ実践されているというのはすばらしいことだと思います。
昨年の研修会のあと理科部の先生や神戸市生活衛生課と今年も同じような研修会
を催す方向で話し合いました。神戸市の小学校教育研究理科部の先生方がご熱心
かつ積極的ですので、特になにも支障がなければ今年も夏頃に開催されると思います。
開催がきまりましたら日時、場所等をこの掲示板に書き込みます。

このようなご報告をいただけると獣医師たちの励みになります。
私たち獣医師は“点”のような活動しかできません。橋本先生のように、
学校の先生方がその“点”を“線”にしてどんどん延ばして太くしていく
ことで初めて獣医師の活動が子供たちにとって意義あるものになるのでしょう。

成果や失敗談等、もしまたなにかありましたらご報告ください。
すぐに消えてしまうような“点”にならないように、
先生方が受け入れがたい点にならないように、神戸市獣医師会は今後も努力して
活動を発展させたいと思います。
公で相談しにくいようなことがありましたら直接ご相談ください。
(社)神戸市獣医師会 上田幸孝
[2004/01/21 13:43:47]

お名前: 中川美穂子   
橋本先生

 ご報告ありがとうございます
先生方がこのような試みを行い、それを発表してくださることは、ありがたいことです。
これにより、動物の力を皆様が見直してくださることにつながるだろうと思います。

ただ、私は、飼育の影響というのは、継続して飼い続ける、関わり続けることが
必要で、しかもその時間的な条件は半年以上だと感じています。
 神戸市の理科の先生がたに神戸市獣医師会の方がお見せした、筑波大学付属のお子
さんの絵の変化も、7ヶ月の経時的変化を表しています。そのほかの調査も、半年以上
(大体は1年以上)飼育しているお子さんを「飼育経験あり」として扱っています。
そして其のときの動物は、哺乳類と愛玩用の鳥に限定しています。

 今回の先生の学校の試みは、
 飼育の影響というより、時間的に区切った「飼育動物との交わりの体験」だと
思います。たった1回のふれあい教室よりは、よほど長い時間であり、より深い
経験だと思いますが、それでも「継続する飼育」に比べると、ごく短期間、狭い体験
ではないかと、思います。それでも子ども達の興味がふかまり、動物の気持ちを考え
ようとする機運が見えたとのこと、子ども達は良い刺激を受け取ったことと、思います。

 飼育を教育の場で使おうとすると、その評価と時間的な条件が難しいのだと思います
が、
また来年同じことを行い、同じ生徒さんが、また応募してくださったら、他の方と
の差が見えるかも知れませんね、

 私は、飼育というのは、ひとつの刺激で、その付き合いの中からさまざまなことを
子ども達が感じ、自分のものとしていくと思っています。それには、より関心をもつ
ことが条件で、その関心は、動物が好きになり、「幸せにしたげたい」と思って初めて
培われることだと、思っています。子どもへの影響は、すぐには測れず、10年後、20年
後に現れるようなものだと、教員の方々と話しあっていますが

でも、筑波大学やそのほかの子達は、良い飼育をして1年後には、目覚しい変化を見せます、
それで、筑波大学付属でも、5年前は森田先生のクラスしか、哺乳類を飼っていませ
んでしたが、昨年は5クラスになっていると聞いています。また今年、飼ってみたい
という先生が新たに現れています。

 つまり、実際に身近な飼育に関わることが大事で、小学校では6年間に1年間は全員
で関わるやり方が良いだろうと想像しています。本当は2年間の方が、子ども自身が課
題を見つけて追求できるではないかと、思います、最初の年は動物に慣れて、理解する
ことに費やされるだろうと思いますが、2年目は課題を見つけれるだろうと思います。

 動物介在教育とは
 「人も動物も同じ生命体「意志、感情、体」である」ので
 「心情を伴う飼育で関心を培い、究極的には生命を理解する」ことが目的です。

 課題としては、
 身体の構造、動物の喜び、動物の社会のルール、自分とのかかわり
 人同士のかかわり、自然とのかかわり
  飼育のあり方:トラブルへの工夫、
  誕生、育てる、
  死、別れ (腐った卵は爆発する、など見つける子もいます)
など、子ども達が自分でどんどん見つけてくれます。

ちなみに、今日お会いした飼育を学年で担当している4年生は、
 チャボの卵を何人も家に持って帰り、食べておいしかったという子ももちろんいました
が、温めたけどだめだったという子が多く、
 有精卵と無精卵の見分け方を教えて、と質問がありました。
  獣医師3人が、生まれたとたんに「これ無精卵だ」とわかる方法はないと答え、
  36度の環境において、暖めて1週間ごとに調べていくと、いろいろ変化があるのが
  有精卵、というような説明を、しました。子ども達は本気で聞いていました。
私としては、子ども達の温めた方法を伺いたいと、思っています。いろいろな工夫と、
結果があったと思います。

 また、このとき、卵を食べるということは、産卵をよくする月令の鶏を 常に
用意して、どんどん産ませて、1年齢を過ぎて産まなくなると鶏を取り替える
ことで、世界中の人の食べる卵を作っている、と話ました。いったいどのくらいの
鶏が毎日卵を産んでいるかと思うだけですごいだろうなと、思っています、
また、取り替えられた1歳以上の鶏はどうなるか、など、考えたら大変なことです。

 また、生まれなかった卵と、もうすぐ生まれる卵を握らせて、その暖かさの
違いを見てもらうこともあります。子ども達は、生まれなかった(死んでる)卵
のなかが見たいといい、100人が見守る中、割ってみせ、それを皆が覗き込んで
色を確かめ、匂いを確かめたこともあります。

 チャボひとつでも、いろいろなことの刺激、きっかけになると思いますので、
これら、自分の興味を追求してもらうのも、面白く、忘れられない体験になると
思います。

 最初の刺激、それを体系付け、まとめるなどは先生の役目ですが
、必要なときに獣医師を活用なさってください。
 (獣医師は、動物が幸せに扱ってもらうなら、喜んでお手伝いすると
思います。
でも、頼むときは、獣医師の都合など、お互いにやりやすいように前もって
話し合ってください)
[2003/09/09 01:26:21]

お名前: 橋本 祐一   
神戸市立菅の台小学校で飼育担当をしている橋本祐一という者です。
菅の台小学校では、8月4,5,6,11,12,13,25,26,27日の合計9日間、
夏休み飼育教室を行いました。
それを行うに当たり、7月の講習会が大変参考になり、役立ちました
ので簡単に報告したいと思います。

校長の「継続的なものでなければ教育とはいえない」
との助言があったため、複数回行うこととなりました。
私の立場が今年限りの担当者であったため、
来年以降に継続できるかを考慮した上で9日間となりました。


1週目(4,5,6)
ねらい:ウサギも人間と同じように命ある生き物であることに気づく
内容 :1.ウサギについてパワーポイントを使って説明する
    2.ウサギを抱く
    3.聴診器で心臓の音を聞く
→ 講演が大いに役立ちました。

2週目(11,12,13)
ねらい:ウサギも生活していることに気づき
    ウサギの喜ぶことをする。
内容 :1.汚れたウサギ小屋の写真などからウサギも生活していること
      を連想させる
    2.ウサギ小屋の掃除
    3.ウサギのえさの草を摘んで与える
    4.ウサギを散歩させる

3週目(25,26,27)
ねらい:1.ウサギとの活動の思い出を残す
    2.パソコン・デジカメに親しむ
内容 :1.ウサギ小屋の掃除
    2.ウサギを散歩させる
    3.デジカメで写真を撮り、コンピュータ室で
      ワープロソフトを使い写真付き日記を書く

360人程度の規模の学校ですが、参加者多い日で10人程度、
お盆と重なって少ない日は3人という日もありました。
毎日児童には感想を書かせたのですが、
1週目は「ふわふわしていた。」とか「あたたかかった。」
といったものが多かったのですが、
2週目以降は「掃除をしたからウサギが喜んでくれたと思う」
とか「なでてあげたらウサギは喜ぶと思う」
といったウサギの立場に立った感想がでてきて、ボランティアや
他者理解につながる体験になっていたのではないかと喜んでいます。

ウサギを抱く、心臓の音を聞くまではとても完成されたカリキュラム
であると感じましたが、毎回それというわけにはいきません。
2週目からは正直何をようかと悩みました。
まだまだカリキュラム開発されていない分野であることを痛感しました。
また、同時に終わってみると教師の知恵次第でいろんなねらいを持つこと
ができる非常に大きな可能性を秘めた領域であることも感じました。
夏休みで、参加児童が少数であったことも成果が上がった原因であること
も考えられます。

飼育担当者として現場にどんどん返していきたいと思いますので今後とも
是非継続して研修の機会を持ってください。
神戸市獣医師会の先生方、今回は本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
また、このようなサイトを立ち上げてくださっている中川先生
には飼育担当者として本当に感謝しています。
今後ともこのホームページの発展を願っています。
[2003/09/07 02:43:25]

お名前: 中川美穂子   
@神戸市獣医師会からの報告
   「小学校教育研究理科部主催講習会」

神戸では、平成10年以来の粘り強い獣医師会からの働きかけが、だんだん実りつつあ
るようです。
現在、8政令都市で連携が行われており、その予算は押しなべて100万円弱というと
ころですが、神戸市では年に10万円までということで、 生活衛生課の動物愛護事業
費から出ています。
 飼育の意義と獣医師会の働きが認識されることが大事だとおもい この獣医師会は、
頑張っておられます。
 またモデル校になった学校は、引き続き獣医師と信頼関係を結べるようにと、予算
はなくても学校の希望に添っているとのことです。

このようなことは、神戸で何度か講演していらっしゃる視学官方も、よく事情をわ
かっておられます。
 この報告で、状況が変わりつつあると、視学官方も少しは安心なさるかも知れませ
ん。  
                                      
      (中川)
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神戸市小学校教育研究理科部が主催した研修会に講師として招かれました。
神戸市獣医師会から私を含めて6名の獣医師が参加しました。私は講義を担当。3名
はウサギの抱き方と聴診実習。2名は記録。

参加した学校飼育動物担当教諭は神戸市内小学校177校のうち40校60名が参加しまし
た。予定より多くの方が参加されましたので驚きました。昨年までモデル事業でお付
き合いのあった教育委員会の岡部氏(現在、校長)も参加されていました。

神戸では小学校の飼育に対して、「状況が悪い」と動物愛護団体が 過剰な動
物の安楽死を持ち出したりするなど問題がおおいのですが、
今回会場になった小学校は平成14年度の学校飼育動物訪問事業モデル校に参加し、獣
医師4名が熱心に訪問して飼い方指導や徹底した去勢手術によって飼育環境が見事に
改善されました。

なんとかしなければという学校側の気持ちと熱意が獣医師たちの能力を引き出し
て、うまく協調しながら共同作業ができたようです。他のモデル校も同様です。
おそらくこの活動の成果によって学校側から獣医師に対する信頼を得ることができ、
今回の研修会につながったものと私は信じています。
概略を報告します。

学校飼育動物担当者研修会
日時 平成15年7月25日(金)午後2時〜午後4時頃
場所 神戸市立糀台小学校
主催 神戸市小学校教育研究会理科部
協力 (社)神戸市獣医師会
    神戸市保険福祉局健康部生活衛生課

?全大会14:00-14:15
 1 はじめのあいさつ
   ・神戸市保健福祉局健康部参事    富永義彦
   ・神戸市小学校教育研究会理科部長 為石 勝
 2 講師とオブザーバー紹介 神戸市保健福祉局健康部生活衛生課環境衛生係より紹介
  神戸市獣医師会講師 上田幸孝(担当理事) 小林英子 物部了(糀台小学校主担
当) 河口祐一郎、小崎雅也 
   オブザーバー・記録 八百正明(公衆衛生委員会委員長)

?グループ別研修会14:15-16:00
 参加教諭を2グループに分けて1グループは室内で講義を聴講を、1グループは動
物舎で実技を同時進行。

 後半は入れ替えてそれぞれ実習と実技を同時進行しました。
 1 講義内容(上田担当)
  ?神戸市の学校飼育動物訪問モデル事業について
  ?この事業で行っている『ふれあい教室』の具体例紹介
  ?教室内飼育について
  ?質問
 2 実習(物延、小林、河口、小崎担当)
  ?ウサギの抱き方
  ?聴診、他
  ?質問

獣医師がなぜ学校を訪問するのか理解され始めている様子で全体的になごやかなムー
ドの中で行われました。
終了後、校長室で理科部や生活衛生課担当者と談話。概ね成功ということで機会が
あったら来年も開催しましょうということになりました。

 また 中川先生からいただいた資料は理科教育の先生方にとって、非常に参考に
なったようです。有難うございました。

取り急ぎご報告まで
(社)神戸市獣医師会 上田幸孝
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日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会 (動物介在教育支援) 
              副委員長 中川 美穂子
( お茶の水女子大学 子供発達研究センター 客員研究員)
   電話 0422−53−7099

「学校飼育動物を考えるページ」http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
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[2003/08/06 19:08:09]

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